人生泣き笑い「カビリアの夜」

ドラマ

そんなダメンズどこで知り合うの?

[原題]Le Notti di Cabiria
[製作年]1957[製作国]イタリア
[日本公開]1957
[監督・脚本・原案]フェデリコ・フェリーニ
[脚本]エンニオ・フライアーノ/トゥリオ・ピネッリ/ピピエル・パオロ・パゾリーニ
[原作]マリア・モリナーリ
[製作]ディノ・デ・ラウレンティス
[撮影]アルド・トンティ
[音楽]ニーノ・ロータ
[上映時間]111

主な登場人物

カビリア(ジュリエッタ・マシーナ):
ガラは悪いが明るく純情な娼婦。情夫に鞄を奪われた上川に突き飛ばされて殺されかける。

オスカー・ドノフォリ(フランソワ・ペリエ):
カビリアが観に行ったショーでカビリアの純粋さに心を打たれたと言って求婚する男。

その他の登場人物

ワンダ(フランカ・マルツィ):カビリアの友人。娼婦仲間
ジェシー(ドリアン・グレイ):ラツァリの恋人
催眠術師(アルド・シルヴァーニ):ショーでカビリアに催眠術をかける。
アルベルト・ラツァリ(アメデオ・ナザーリ):映画スター
ジョルジョ(フランコ・ファブリッツィ):カビリアの情夫(ノンクレジット)

あらすじ

川辺で情夫のジョルジョと戯れあっていたカビリア。すると突然ジョルジョはカビリアの鞄を奪い、彼女を川に突き落として逃走した。泳げず溺れてしまったカビリアを周囲の人々が引き上げてくれるが、意識はなく逆さまにされ水を吐かされる。意識を回復したカビリアは、ふらふらになりながらもしきりにジョルジョと叫ぶ。カビリアは、まだ安静にしていた方がいいという周囲の人々の助言にも耳を貸さず帰ろうとする。命の恩人達にまともに礼も言わないカビリアは、小さな持ち家を持つ娼婦だった。家に戻ったカビリアはドアの前でしきりにジョルジョを呼ぶが返答がない。娼婦仲間のワンダにジョルジョを知らないかと尋ねるが、当然知るよしもない。ジョルジョに盗まれたカバンの中に鍵が入っていた為カビリアはずぶ濡れのまま窓から家に入った。イライラしているカビリアを心配するワンダだが、そんなワンダにも友達ヅラするなと悪態をつく始末。ジョルジョが4万リラの為に自分を突き落とした現実を受け入れられないカビリアだったが、ワンダは本名もちゃんと言わない男が本当の恋人のはずがない警察に届けろと忠告して去っていく。ジョルジョの写真を見て、あのまま死んでたかもしれないと嘆くカビリア。落ち込んだのも束の間すぐに気を取り直してジョルジョの写真や、カビリアが貢いでやった私物を火の中にぶち込んだ。娼婦の溜まり場に来たカビリアは明るく振る舞うが、別の娼婦にジョルジョのことをからかわれ取っ組み合いのケンカになる。仲間達に引き離され車に乗せられたカビリアは、ベネト通りで降ろしてくれと話す。しかしよそ者がその通りで勝手に商売をしたら大変なことになると、カビリアに新しいヒモを持つように言うが彼女は取り合わない。客がつかず街をブラついていると、映画スターのアルベルト・ラツァリが女性と揉めているのを目撃する。

どんな映画?

フェデリコ・フェリーニ監督が、妻のジュリエッタ・マシーナを主演に監督・脚本・原案を担当した映画で、1957年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、ジュリエッタ・マシーナがカンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞しています。

原っぱで彼氏と…てゆーかヒモと
イチャイチャして
はしゃぐカビリア
彼氏に突然バッグを奪われた上 
どーんと川に
突き飛ばされ彼氏は逃走♪
泳げないカビリアは
溺れてしまいますが
周囲の人に助けられます。

意識を取り戻したカビリア
でしたが
ずぶ濡れのボロボロで
彼氏の姿を探します。
心配する周囲にも当たり
散らす始末

何だあいつ…助けてやったのに

カビリアはローマの外れに
住む娼婦でした。
同業者で友人のワンダも
カビリアを心配してくれますが
ヤケになっているカビリアは
うるせーと取り合いません。

気を取り直して商売の為に
路上に立つカビリア
暗い道で一人踊っていると
美人と揉めている男の姿が

アルベルト・ラツァリだ!

どうやら映画スターらしい男を
見てテンションが上がるカビリア
その上ラツァリはカビリアを
車に乗せて高級クラブに
さらに豪華自宅にまで招かれる
と夢のような展開に!!

みんなに自慢できるーと
思ったのも束の間
ラツァリの彼女が戻ってきて
バスルームに追いやられる
カビリア

何か酷くない?

メイクが崩れ、黒い涙を流しながら微笑むカビリア

フェデリコ・フェリーニ監督が、1951年のデビュー作「白い酋長」でちょこっとだけ登場させた娼婦カビリアのキャラクターを元に、同作でもカビリアを演じたジュリエッタ・マシーナを主演で映画化。物語にリアリティを出すために、イタリアの鬼才ピエル・パオロ・パゾリーニが脚本に参加しております。 カビリアという源氏名は、1914年のイタリアのサイレント史劇映画「カビリア」から取られたそう。

この映画も「」(1954年)と同様、主演がジュリエッタ・マシーナでなければ成立しなかった映画。ダメな男に殺されそうになっても男を探して、助けてくれたり心配してくれる人に悪態をつく始末。それでも、どこか憎めず明るく逞しい娼婦。そして美人じゃない(やっぱり失礼)ところがいい!劇中すれ違う、おそらく娼婦の美しい女性たちを尻目に、なかなか客のつかないカビリアの様子や、映画の中で浮浪者に施しをする男性が登場するのですが、カビリアが穴の中で暮らすかつての年老いた娼婦に出会い、性産業の女性の越し方行末を目の当たりにしてしまうシーンなどリアルで厳しい娼婦の生活が感じられます。
神様は助けてくれない!
イギリスのエロ小説「ファニー・ヒル」が、いかにおとぎ話なんだなぁと考えさせられる、娼婦の悲喜交々を描いた傑作映画です。

カビリアが見かけて喜ぶ映画俳優は、アメデオ・ナッツァーリ。イタリア映画界初期のスターで代表作に「道化師の晩餐」(1942年)があります。

この映画はミュージカル化されブロードウェイで上演された後、1969年にボブ・フォッシー監督、シャーリー・マクレーン主演で「スイート・チャリティー」として映画化されています。

スタッフ・キャスト

主演はフェデリコ・フェリーニのパートーナでありミューズのイタリア人女優ジュリエッタ・マシーナ。1943年にフェデリコ・フェリーニと結婚。戦後にロベルト・ロッセリーニ監督の「戦火のかなた」(1946年)に出演。アルベルト・ラトゥアーダ監督との共同監督のコメディ映画「寄席の脚光」(1950年)、「白い酋長」(1951年)に出演。1952年にはロベルト・ロッセリーニと当時の妻イングリッド・バーグマンが主演した「ヨーロッパ一九五一年」に出演。1954年にフェリーニ監督の「」で、主演のやや知能の遅れた純粋な女性ジェルソミーナを演じて世界中に知られる存在となりました。「崖」(1955年)に出演後、「カビリアの夜」(1957年)で男に裏切られながらも懸命に生きる娼婦を演じ、その演技は高く評価されました。1959年に「道」で共演したリチャード・ベースハートとヴィクトル・ヴィカス監督の「女」で再び共演しました。同年レナート・カステラーニ監督の「街の中の地獄」(1959年)に主演。1964年にフェリーニ監督の「魂のジュリエッタ」に主演し、この映画で夫の浮気に悩み現実と幻想を行き来する裕福な主婦を演じました。1969年にブライアン・フォーブス監督、キャサリン・ヘプバーン主演のアメリカ映画「シャイヨの伯爵夫人」に出演。その後しばらく映画出演はなかったのですが、1985年にフェリーニ監督の「ジンジャーとフレッド」でマルチェロ・マストロヤンニと共演し、往年の人気ダンスペアを演じ健在ぶりを発揮しました。最後の映画出演は1991年のジャン=ルイ・ベルトゥチェリ監督の「木漏れ日」で、老婦人役を演じました。

カビリアに近づくオスカーを演じたのはフランスの名優フランソワ・ペリエ。1938年にマルセル・カルネ監督のグランド・ホテル形式の犯罪ドラマ「北ホテル」に出演し映画デビュー。その後、クロード・オータン=ララ監督のファンタジー映画「乙女の星」(1949年)、ルネ・クレール監督の人情映画「沈黙は金」(1946年)、ジャン・フォーレ監督のドラマ映画「バラ色の人生」(1948年)、ジャン・コクトー監督の幻想映画「オルフェ」(1950年)では、謎の運転手役で登場し、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「巴里の空の下 セーヌは流れる」(1951年)でナレーション兼神様を、ルネ・クレマンが監督したエミール・ゾラの小説の映画化「居酒屋」(1956年)では、主人公の夫を演じています。60年代に入るとジャン=ピエール・メルヴィル監督、アラン・ドロン主演の殺し屋映画「サムライ」(1967年)での警部役や、コンスタンタン・コスタ=ガブラス監督の社会派映画「Z」(1969年)では検察官の役を、再びジャン=ピエール・メルヴィル監督のサスペンス映画「仁義」(1970年)でヤクザ役など警官役や真反対のヤクザ役などを演じておられました。

まとめ

もう殺してくれーで地獄行き

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