声の甲高い人は妙に気になります。
[原題]Capote
[製作年]2005[製作国]アメリカ
[日本公開]2006
[監督]ベネット・ミラー
[脚本]ダン・ファターマン
[製作総指揮]ダン・ファターマン/フィリップ・シーモア・ホフマン
[音楽]マイケル・ダナ
[上映時間]117
主な出演
トルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン):
作家。「ティファニーで朝食を」で一躍時の人となったが低迷していた。そんななかある凄惨な事件が起こり…
ネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー):
カポーティの幼馴染。著書の「アラバマ物語」が映画化される。
その他の登場人物
ペリー・スミス(クリフト・コリンズ・Jr):犯人の青年
ディック・ヒコック(マーク・ペルグリノ):ペリーの共犯
アルヴィン・デューイ(クリス・クーパー):カンザス州捜査局
ジャック・ダンフィ(ブルース・グリーンウッド):カポーティの友人
ウィリアム・ショーン(ボブ・バラバン):ニューヨーカーの編集者
マリー・デューイ(エイミー・ライアン):デューイ刑事の妻
看守(マーシャル・ベル)
あらすじ
1959年11月15日カンザス州の田舎町で一家四人が銃で撃たれ惨殺されていた。1955年に発表した小説「ティファニーで朝食を」で、一躍時代の兆児になったカポーティは社交界やパーティでも、そのトーク力で人気だった。しかし次に何を書くのかを考えあぐねていた。そんな頃NYタイムズを読むカポーティの目に裕福な農場主と家族三人が殺された事件が止まり、すぐにニューヨーカー誌の編集者に連絡し取材のためカンザスに向かうことに。カポーティは幼なじみで作家のネル・ハーパー・リーを誘った。ネルとカンザス州捜査局のデューイ刑事を訪れたニューヨーカー誌のカポーティと名乗り取材を申し出たが相手にされない。ネルとカポーティはデューイ刑事の妻マリーが彼らのファンで、彼らを家に招待したことにより刑事とも懇意になることができた。遺体の写真を見せてもらい、カポーティは長男を撃ち殺す前になぜ頭の下に枕を置いたのか気になった。ホテルに戻るとちょうどネルの小説「アラバマ物語」が出版されることになり、電話越しのジャックとともに祝杯を挙げた。犯人逮捕もありうるかもしれないとクリスマスもカンザスに残った。そして1960年1月6日とうとう犯人が逮捕された。
どんな映画?
1959年11月にカンザス州で起こった一家4人惨殺事件に興味を持ったのは、何かとお騒がせセレブ、トルーマン・カポーティでした。
カポーティは幼馴染のネル・ハーパー・リーを連れて現地に向かいます。
ハーパー・リーはこの映画の中でも描かれていますが、1960年に発表した小説「アラバマ物語」の作者として有名です。「アラバマ物語」はアメリカ南部を舞台に黒人の白人女性暴行容疑裁判を軸に描かれており、自分自身と自分の父親の弁護士をモデルにしていると言われています。その中に出てくる主人公スカウトの友人ディルがカポーティをモデルにしているそうです。
↑こんな感じの子供だったのかも。
取材を進めていくカポーティ。
カンザス州捜査局のアルヴィン・デューイに近づき捜査の内容を知ることに成功します。デューイ役のクリス・クーパーは1991年の「アメリカン・ビューティー」のホモ大佐役で強い印象を残してます。
カポーティは小説のタイトルを「冷血」にしようと話します。
この「冷血」は「ノンフィックション・ノベル」という新しいジャンルを切り開きました。
ファッション写真家としても高名なリチャード・アヴェドンが彼らとカポーティの写真を撮るシーンで登場します。
しかし、カポーティは次第にペリー・スミスに自らの生い立ちを重ね合わせ同情するようになってしまいます。
そして、ペリーを失うことに寂しさを覚えていました。その後カポーティの取り計らいで連邦裁での再審のため死刑が延期になります。ここでまた問題が、ペリーと懇意になればなるほど彼に死んでほしくないと思う自分と、彼らが死ななければ、小説の結末を書けないと言うジレンマに陥ってしまうのです。
ネルの小説「アラバマ物語」が映画化され
プレミアム試写会に訪れるも気分が浮かないカポーティ
映画に対しても面白くないと一言
ですがこの映画は公開直後大ヒットを記録しました。
↓映画はこちら
スタッフ・キャスト
監督のベネット・ミラーは監督二作目、脚本のダン・フッターマンと主演のフィリップ・シーモア・ホフマン昔からの友人とのこと。2011年ブラッド・ピット主演の「マネーボール」、2014年の「フォックスキャッチャー」など実録ものが多い監督さんです。
トルーマン・カポーティを形態模写と声帯模写までしたフィリップ・シーモア・ホフマン。カポーティの甲高い声と独特の話し方、変な手の動きなどよく似せていました。トルーマン・カポーティのお姿は1976年の映画「名探偵登場」でお目にかかれます。フィリップ・シーモア・ホフマンは1990年代の初めごろから多くの映画に出演し、この2005年の「カポーティ」でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。2007年「チャーリー・ウィルソンズウォー」、2008年「ダウト~あるカトリック学校で~」、2012年「ザ・マスター」ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、確かな演技力と独特の存在感がある俳優さんでしたが、2014年に46歳の若さで亡くなりました。カポーティと同じくアルコールと薬物中毒に苦しんだそうです。
誰かの人生を知ることは、同時に誰かの人生を背負ってしまうということ。
まとめ
実録小説で地獄行き
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