杖で応戦「殺人者はライフルを持っている」

サスペンス

老人なめんなよ!ですよ。

[原題]Targets
[製作年]1968[製作国]アメリカ
[日本公開]未、TV放映
[監督・製作・脚本・原案]ピーター・ボグダノヴィッチ
[原案]ポリー・プラット
[上映時間]90

主な出演

バイロン・オーロック(ボリス・カーロフ):
前回と同じ画像だと思った方は、気のせいではありません。
往年の怪奇俳優。「古城の亡霊」の映画宣伝の為、ドライブインシアターに同じ衣装で登場。

ボビー・トンプソン(ティム・オケリー):
狙撃犯。フツーの家庭に育ち、フツーに働き、フツーに結婚、なぜが突然家族を撃ち殺し、大量の武器を持ち無差別殺人に乗り込む。

その他の登場人物

サム・マイケルズ(ピーター・ボグダノヴィッチ):脚本家
フランク・マーシャル

あらすじ


試写室で老怪奇俳優バイロンの最新作「古城の亡霊」を脚本家のサム、プロドューサー、中国系美人のマネージャーのジェニーと観ていた。サムが次回作の脚本を用意していたにもかかわらず、バイロンはこれを最後に俳優を引退するという。一方、バイロンが車で帰るところをライフルショップから見ていた青年はそのライフルが気に入り購入。店主はバイロン・オーロックだと言う。青年がオープンカーのトランクを開けるとその中は銃器でいっぱいだった。そのまま車で自宅まで向かい、途中の看板に明日の夜「レセダ・ドライブイン・シアター」でバイロンの舞台挨拶があると宣伝していた。ホテルでバイロンが自身の映画をテレビ放送で観ていると、サムが尋ねてくる。サムは自分の脚本がそんなにも不服かとバイロンにつめ寄るがバイロンは自分はもう年をとり過去の遺物で自分が出てももう子供も怖がらない。バイロンはサムに新聞を見せ、その記事は若者がスーパーで6人を殺害したと言うものだった。バイロンは現実の方がよっぽど恐ろしいという。サムはバイロンに人間を演じてほしいと頼むがバイロンは、ビンセント・ブライスに頼めと断る。一方、舞台当日の朝、ボビーは起きておはようのキスをしようとした妻の腹にピストルをつきつけ躊躇なく撃ったのだ。

どんな映画?

かつて一世を風靡していた怪奇俳優バイロン・オーロックは悩んでいました。
すっかり年を取った自分はもう過去の遺物だと。
新作映画もなんかイマイチだし~

若い脚本家のサムは次も自分が用意していた脚本があるのにと焦ります。

一方で何の不自由もないアメリカの中流家庭のボビー。
両親と妻と四人で平和に暮らしていました。
いえ、はずでした…

ボビーはライフルを購入します。
店でライフルの照準を合わせるとたまたまバイロン・オーロックに合ってしまいます。
ボビーは意気揚々とオープンカーに買ったばかりのライフルを乗せ家に戻ります。
外の看板には明日の夜ドライブイン・シアターでバイロン・オーロックの舞台挨拶があると出ていました。

再びホテルのバイロン。
彼を心配してやって来たサムにバイロンは、もう怪奇スターの自分は必要ない現実の方がよっぽど恐ろしいと話します。必死で説得するサムでしたが飲みすぎで倒れ、二人でベッドに寝入ってしまいます。

翌朝悲劇が始まりました。

ボビーはいきなり妻を射殺し、続いてたまたま配達に来ていた青年、母親と立て続けに殺害し、まだまだ殺すとタイプライターに残して家を出ます。無差別殺人を決行するためにー

昨日ごねたバイロンでしたが、引退は撤回しないが舞台挨拶には出ると言い出します。

そして運命のドライブイン・シアターに向かうのでした!

ど〜りゃ〜

スタッフ・キャスト

この映画は1963年のロジャー・コーマンの映画「古城の亡霊」で出演していたボリス・カーロフの契約が2日残っていたため、You何か撮っちゃいなよ!と言ったか言わないかわかりませんが、カーロフを20分以上、「古城の亡霊」を20分以上、計90分でという条件で作られたそうです。

そして監督兼原案兼脚本兼出演までこなしたのが、これが映画初監督のピーター・ボグダノヴィッチでした!
その後のピーター・ボグダノヴィッチは1971年の「ラスト・ショー」でアカデミー監督賞にノミネートされ、1973年のライアン・オニールとテータム・オニールの親子共演が話題になった「ペーパー・ムーン」でテータム・オニールに最年少アカデミー助演女優賞をもたらしました。
原案のポリー・プラットは監督の元妻で、1978年のルイ・マル監督の「プリティ・ベビー」などの脚本や1989年のダニー・デヴィート監督の「ローズ家の戦争」などの製作を担当し、女性の映画製作者の先駆けとして活躍されていました。

映画に登場するライフルによる無差別殺人鬼は1966年にアメリカで発生したテキサスタワー乱射事件を元にしていると言われています。テキサス大学の本館時計塔の上で大学院生のチャールズ・ホイットマンが下にいる人間をライフルで次々に発砲していきました。犯人はすこぶる真面目な好青年であったと言われています。

ボリス・カーロフ扮するバイロンが映画の中で述べているように、日常に突然遭遇無差別殺人鬼の方がよっぽど恐ろしいのです。

栴檀は双葉より芳し。ピーター・ボグダノヴィッチ監督の初監督スリラーです。

まとめ

ドライブイン・シアターで地獄行き

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