ダイヤル電話どころか、公衆電話をかけられない子が多いそうですね。
[原題]Sorry,Wrong Number
[製作年]1948[製作国]アメリカ
[日本公開]1950
[監督・製作]アナトール・リトヴァク
[脚本・原作]ルシル・フレッチャー
[製作]ハル・B・ウォリス
[音楽]フランツ・ワックスマン
[上映時間]89
主な登場人物
レオナ・コターレル(バーバラ・スタンウィック):
コターレル製薬の令嬢。女子大生の時に知り合ったヘンリーを略奪婚。しかし心臓病を患いほぼ寝たきりの生活に。
ヘンリー・スティーブンソン(バート・ランカスター):
レオナと結婚してコターレル製薬の福社長に収まるが、姑であるレオナの父親の社長とあまりうまくいっていない。
ロード夫人(アン・リチャーズ):
旧姓サリー・ハント、レオナの大学時代の同級生。レオナにヘンリーを奪われるがその後結婚し子供がいる。
その他の登場人物
Dr.アレクサンダー(ウェンデル・コーリイ):レオナの主治医
ジェームズ・コターレル(エド・べグリー): レオナの父。コターレル製薬の社長
フレッド(リーフ・エリクソン):サリーの夫、地方検事局勤務
モラノ(ウィリアム・コンラッド): 故買屋
あらすじ
電話線が運ぶのは人生と幸せ恐怖と孤独、そして死。
コターレル製薬の副社長で夫である、ヘンリー・スティーブンソンのオフィスに交換手を通じてベッドの中で電話をかけ続けていたレオナは、ずっと話中でいらだっていた。ところがラインが混線し男同士が電話しているのが聞こえてしまう。それは11時15分に男が女の家に侵入し強盗に見せかけて殺すという殺人計画だった。女の住所を聞く前に切れてしまいもう一度交換手にかけるがつないでもらえない。自分は病人で動けないし使用人や看護婦も出かけていない夫とも電話がつながらないと交換手にまくしたてると警察に電話しろとあしらわれる。次に警察に電話したレオナ、老刑事は迷子の黒人の赤ちゃんをあやしていたためやはりあなたが殺されるならと言って相手にしてくれない。次にシカゴの父に電話をすると父は喜ぶが、ヘンリーに明日の朝電話しろと伝えろという。次にカジノにいるヘンリーの秘書のジェニングに電話をしヘンリーのことを尋ねると、ヘンリーあてにロード夫人と名乗るそこそこの美人が尋ねてきて、ヘンリーは彼女と会う約束を出ていった。自分は六時半に会社を出て毎週一回エバンスという人物から電話があるだけだと言う。たまらずレオナはロード夫人の家に電話をかけてみるが電話に出たロード夫人はヘンリーに妻からの電話だとばれないように話を料理の話に変えて話す。
どんな映画?
こちらの映画は間違い電話を題材に
自分が殺されるかもしれない恐怖を
描いた作品になっております。
原作はアメリカ人女流作家のルシル・フレッチャー。彼女は「市民ケーン」の音楽を担当したバーナード・ハーマンと結婚、その後離婚してしまいましたが、この映画は作者の実体験が元になっているそうです。
おばさんが半狂乱でベッドの上でひたすらがなってるというコンセプトで進むこの映画。
ベッドから出られないというシチュエーション・スリラー仕立ては、ヒッチコック監督の「裏窓」の足を怪我していて動けない主人公を彷彿とさせます。
1940年代電話はまず局舎に電話をし、女性交換手がコードを穴にさして電話を繋ぐというものでした。
主人公のレオナは、社長令嬢ですが心臓が弱くほぼ寝たきりの状態で、生活は専らベッドの上です。
外界とのコンタクト手段は電話のみ。
夫のヘンリーに電話をかけますがなかなか繋がらずいらついていました。
やっと繋がったと思ったら
どうも男同士が相談している声が聞こえてきます。
なんと今日の夜に女を殺すというも
の!?
こりゃ大変とさっきの通話相手は誰かとかとか警察に通報したりと
ベッドにいながら奔走するも
まるっきり相手にされません。
でもひょっとしてこの殺される女って…
1989年にはロニ・アンダーソン主演でテレビ向けにリメイクされております。
スタッフ・キャスト
監督のアナトール・リトヴァクはロシア出身の映画監督。戦前にフランスで「うたかたの戀」(1936年)を発表し、その後ハリウッドに渡り「黄昏」(1938年)、「追想」(1956年)、「さよならをもう一度」(1961年)などの傑作メロドラマを輩出する一方で、こちらの「私は殺される」(1948年)や、精神病院を扱った「蛇の穴」(1948年)、売春婦殺人の「将軍たちの夜」(1967年)などの特殊なシチュエーションのサスペンスも発表しています。
主演のバーバラ・スタンウィックこの映画の迫真の演技でアカデミー賞主演女優賞に4度目のノミネートされましたが惜しくも逃しています。結果的に言えばこれが最後のノミネートになり、無冠の女王となってしまいました。
夫のヘンリーを演じたバート・ランカスターはサーカス出身の身のこなしと男らしい顔つきで初期はフィルム・ノワールに多く出演していましたが、自らのプロデュースによりアクションスターとして成功。1953年には真珠湾攻撃映画「地上より永遠に」に出演し、デボラ・カーとの浜辺のラブ・シーンは非常に有名です。1960年に「エルマー・ガントリー/魅せられた男」で初のアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。その後「大空港」(1970年)「カサンドラ・クロス」(1976年)などのオールスターキャストの一員としてや、ヨーロッパで文芸大作に出演。
80年代的には1989年のケヴィン・コスナーの大ヒット映画「フィールド・オブ・ドリームス」にかつてのプロ野球選手の老人を演じて強い印象を残しています。
この映画の頃はまだ若く、初期のバート・ランカスターを観られる貴重な作品です。
まとめ
間違い電話で地獄行き
コメント