のぞき穴付きモーテル「サイコ」(1960年)

サスペンス

サイコは最高!

[原題]Psycho
[製作年]1960[製作国]アメリカ
[日本公開]1960
[監督・製作]アルフレッド・ヒッチコック
[原作]ロバート・ブロック
[脚本]ジョセフ・ステファノ
[音楽]バーナード・ハーマン
[タイトルデザイン]ソウル・バス
[上映時間]109

主な登場人物

ノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス):
モーテルの管理人。背の高い一見好青年。年老いた母親と暮らしているよう。

マリオン・クレーン(ジャネット・リー):
不動産会社の独身OL。バツイチの彼氏はいるが経済的な理由で結婚を躊躇されている。思い余って会社のお金に手をつけて逃走中。

その他の登場人物

ライラ・クレーン(ヴェラ・マイルズ):
マリオンの姉。行方不明になった妹マリオンを探しにベイツモーテルに辿り着く。
サム・ルーミス(ジョン・ギャヴィン): マリオンの恋人
ミルトン・アーボガスト(マーティン・バルサム):探偵
フレッド・リッチモンド(サイモン・オークランド):精神科医
アル・チェンバース(ジョン・マッキンタイア):保安官
チャーリー(ジョン・アンダーソン): 中古車販売員
ジョージ・ロウリー(ボーン・テイラー):不動産会社の社長
キャロライン(パトリシア・ヒッチコック):マリオンの同僚
パトロールの警官(モート・ミルズ):マリオンを引き止める
声の出演(ヴァージニア・グレッグ/ジャネット・ノーラン)

あらすじ

アリゾナ州フェニックス、12月11日金曜日午後マリオンは昼休みに会社を抜けて恋人のサムとホテルで逢っていた。男は親の借金や離婚後の養育費で金がなくこそこそ逢うしかなかった。不動産会社に戻ったマリオンは、社長が連れてきた客が娘の結婚祝いのプレゼントに家を買ってやると、ポンと現金で4万ドルを渡された。社長はそんな大金置いとけないので銀行で小切手に変えろと支持し、マリオンはバックに金をしまった。同僚のキャロラインはマリオンにあの客はあなたに気があると言う。マリオンは頭痛がするので早退すると伝え、そのまま家に戻り荷づくりをし金を持って車を走らせる。信号で止まっていると社長が通りかかり目があった。サムのところに行こうかと考えていたが途中車を止めて眠りこけていた。通りかかった警官に呼び止められ不振に思われる。焦ったマリオンは急いで車を買い替え横領した現金に手をつけてしまい、店のディーラー、チャーリーにも怪しく思われる。雨が降る中車を走らせたマリオンの頭の中には見つかってしまった時のことでいっぱいになっていた。雨しぶきでかすむ中マリオンの目に「ベイツ・モーテル」が浮かび上がってきた。モーテルの受付には誰もおらず近くの屋敷に人影が映り、マリオンは車のクラクションを鳴らす。慌てて出てきた背の高い青年が対応し全室空いてるという。マリオンは台帳にマリー・サミェルズと書き一号室に入る。青年はノーマンと名乗り、マリオンがどこかで食事をというと家でどうかと言う。ノーマンが仕度しに家に戻ったあとマリオンは金を新聞紙に包んでベッドサイドに置いた。屋敷から老婆の声が聞こえ、あんな女を家にいれることは許さないという会話が聞こえてくる。簡単な食事を持ってノーマンが戻ってきて事務所の応接間で一緒に食べることに。その部屋はノーマンの趣味だと言う鳥の剥製がいっぱい置かれていた。ノーマンは母の話を始め、5歳で父親が死んでから女で一つで育ててくれたが愛人が死んだ時からおかしくなったという。部屋に戻ると言うマリオンはフェニックスに戻ることを決め、クレーンとノーマンに本名を名乗る。

どんな映画?

ヒッチ先生最大のヒット作であり、スリラー映画の元祖、スラッシャー映画の元祖とされるのサスペンス映画の金字塔です。

映画「サイコ」には猟奇殺人、のぞき、女装趣味、マザコンとまさにヒッチ先生の夢と希望が詰まっていたのです♪

不動産会社のOLマリオンにはイケメンの彼氏がいるのですが
バツイチ金なしで結婚に踏み切れないことにイラついていました。

昼休みにホテルで会うなんて耐えられないし
同僚の既婚者はマウンティングしてきて何かムカつくし
結婚した~い!!

ちなみに同僚のブ○(おっと)を演じているパトリシア・ヒッチコックはヒッチ先生の一人娘♪
1950年の「舞台恐怖症」や1951年の「見知らぬ乗客」などにも出演しています。

そんな時会社で4万ドルを預かったマリオン
魔がさしてしまった彼女はそのお金を銀行に持っていかず逃走

彼氏の元へGO!!

途中不審に思われますが横領には気付かれずとりあえずどこかへ宿泊しようと辿り着いたのが
ベイツ・モーテルでした。

モーテルで出迎えたのがスラっとした若い男。
悪い印象はなく不審な所もなさそう。
宿泊客は他になくとりあえずここに泊まることになるのですが…

シャワールームでメッタ刺しにされて朦朧とする中 手を伸ばすマリオン。

タイトルの「サイコ」という単語は、今では精神異常を指す用語としてすっかり定着しておりますが、もちろんこの映画の影響です。

原作の「サイコ」はアメリカであった実在の事件をモデルにしていると言われています。
その事件つーのが1957年に発覚したエド・ゲインの事件です。2人の女性を殺害し解体しただけでなく、何年もの間に墓場から死体を掘り起こし(あちらは火葬しないので)遺体の一部で洋服やら家具を作るというあまりにもショッキングな猟奇事件でした。この衝撃的な事件はその後の小説や映画に影響を与え、「サイコ」もその中の一つと言えます。

満を辞して発表した映画「めまい」(1958年)の不調などで、低迷していたヒッチ先生が私財を投げ打っってグレース・ケリー級の大スターを起用せず低予算で作る上げました。

ヒロインのジャネット・リーが途中退場するという当時としては斬新なストーリー展開に度肝を抜き、その頃映画館は入れ替え制ではなかった為、映画が始まってからの入場が当たり前でしたが、これを逆手に取ってこの映画では途中入場を禁止しました。

ナイフでの惨殺シーンでは血糊ではなくチョコレートソースが使われたり、カラーにするとドギツクなってしまう女装シーンといいモノクロ映画の効果を充分に発揮しております。

この映画の製作顛末を映画化したのが2012年の「ヒッチコック」。ヒッチコック役をアンソニー・ホプキンスが演じております。
また、1998年にガス・ヴァン・サント監督によりリメイクされていますが、ゴールデンラズベリー賞最低リメイク賞、最低監督賞を受賞するハメになりました。

スタッフ・キャスト

原作のロバート・ブロックはアメリカの怪奇作家。1959年に発表した「サイコ」がヒットし自身の代表作となりましたが20年後に発表した「サイコ2」(1982年)は映画版「サイコ2」とは全く違った内容にされてしまいました。また、1963年にウィリアム・キャッスル製作・監督、ジョーン・クロフォードが主演した「血だらけの惨劇」や、イギリス産オムニパスホラー映画「ブラッド・ゾーン/怪奇!血のしたたる家」(1971年)の脚本を担当しています。

脚本を担当したのはジョセフ・ステファノ。マイケル・アンダーソン監督ゲイリー・クーパー主演のサスペンス映画「6年目の疑惑」(1961年)の脚本を担当。その後伝説のホラー映画「シェラ・デ・コブレの幽霊」(1964年)の監督しています。2012年の映画「ヒッチコック」では「ベスト・キッド」のラルフ・マッチオが演じておりました。

主人公ノーマン・ベイツを演じ、強烈なインパクトを残したアンソニー・パーキンス。若い頃は長身で優しげな好青年風な顔立ちでオードリー・ヘプバーン主演の大コケ映画「緑の館」(1959年)やグレゴリー・ペック主演のSFディストピア映画「渚にて」(1959年)に出演。翌年に「サイコ」への出演となるのですが、「ヒッチコック」(2012年)でもこの役を演じることで役のイメージが付き過ぎないか心配するシーンがありましたが、翌年には「さよならをもう一度」(1961年)でイングリッド・バーグマンと恋に落ちる年下の青年を演じカンヌ国際映画祭男優賞を受賞しています。1963年にはオーソン・ウェルズ監督の「審判」に主演。その後は「かわいい毒草」(1968年)、「扉の影に誰かいる」(1971年)、「シーラ号の謎」(1973年)、「オリエント急行殺人事件」(1974年)などサスペンス映画に多く出演されていました。

この映画のシャワーシーンで元祖絶叫女王に君臨することとなったマリオン役のジャネット・リー。1958年にオーソン・ウェルズ監督の「黒い罠」(1958年)に出演。この映画でも下着姿を披露していおります。ほんでもってヒッチコック監督の糟糠の妻アルマの推しによりこの「サイコ」に出演。この演技でアカデミー賞の登竜門ゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞、アカデミー賞はノミネートにとどまりました。その後は「影なき狙撃者」(1962年)や「動く標的」(1966年)などのサスペンスに出演。1980年にはジョン・カーペンター監督のホラー映画「ザ・フォッグ」で、トニー・カーティスとの間に生まれた娘、ジェイミー・リー・カーティスと共演しております。

物語後半のヒロインを演じたヴェラ・マイルズ。1956年の「間違えられた男」に主演のヘンリー・フォンダの妻役として出演し、グレース・ケリーに続くヒッチ先生のお気に入りとして5年間の契約を結ぶことに。次のスターにすべく彼女にキャステヒングされた「めまい」(1958年)は自身の妊娠によって降板。その後の「サイコ」においては重要な役割を果たしていますがジャネット・リーよりも薄い印象に留まってしまいました。1983年にはこの映画の続編「サイコ2」で20年後の同じ役で出演されています。

ヒッチ先生登場シーン

マリオンが不動産会社に入る際に窓越しに立ってる。

まとめ

ベイツ・モーテルで地獄行き

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