奇妙な絵「サスペリアPART2」

サスペンス

人形って 使い方によっては怖いですよね。

[原題]Profondo rosso
[製作年]1975[製作国]イタリア
[日本公開]1978
[監督・脚本]ダリオ・アルジェント
[脚本]ベルナルディーノ・ザッポーニ
[製作]クラウディオ・アルジェント
[音楽]ゴブリン/ジョルジオ・ガサリーニ
[上映時間]106(劇場公開版)               

主な登場人物

マーカス・デリー(デヴィッド・ヘミングス):
愛称マーク、アメリカ人ピアニスト兼作曲家。ヘルガが殺害される所を目撃してしまい成り行きで犯人探しを始める。

ジャンナ・ブレッチィ(ダリア・ニコルディ):
新聞記者。マークとヘルガの事件を追う。マークに気がある。

その他の登場人物

マーサ・マンガニエッロ(クララ・カラマイ):カルロの母。元女優。
オルガ(ニコレッタ・エルミ):マークを屋敷まで案内する少女。
ヘルガ・ウルマン(マーシャ・メリル):欧州超心霊学会、テレパシー能力の持ち主
カルロ・マンガニエッロ(ガブリエル・ラヴィア):マークの友人、アル中ぎみ。
アマンダ・リジェッティ(ジュリアーナ・カサンドラ):「現代の幽霊伝説」の作者

あらすじ

(オープニング)クリスマス、誰かを刺しているような影。ナイフが子供の足元に落ちる。
超心理学会の講演会。多くの生き物がテレパシー能力を保持していると解説する。その能力者ヘルガ・ウルマンには人の過去や現在、考えていることがわかると言う。すると壇上で発言するヘルガは突然やめてやめてと叫び始める。この会場の誰かに強い殺意を感じると彼女は取り乱し水を吐き出す。聴衆が帰った劇場でヘルガは自分の頭の中に殺人の記憶が流れ込んできたと彼女の支持者であるジョルダーニ教授に話し、犯人は分かっているのですぐに記事にしたいと述べた。しかし、劇場から人がいなくなっているにも関わらず殺意が消えないと怯えていた。何者かが黒革の手袋をゆっくりはめていた。自宅に帰り記事を書き上げて電話をするがベルが鳴り電話を切って玄関に向かう。扉が開くとヘルガは斧で滅多刺しにされる。その夜ロンドン生まれのアメリカ人ジャズ・ピアニストのマークは路上で酔っ払った友人のカルロと話していると、女の悲鳴が聞こえる。カルロは取り合わず行ってしまったが、マークは自分の住むアパートの下の階の窓からヘルガが襲われ窓ガラスで首を切り後ろに犯人の人影を目撃した。慌ててアパートまで向かったマークはヘルガの部屋に入り恐る恐る廊下を通り部屋に向かう。廊下には多くの絵画は掲げられていた。部屋の中に入り血まみれのヘルガを窓から引き離すがすでに血まみれで息絶えていた。窓から通りを見ると茶色レインコートを着た人物が歩いているのが見えた。事情聴取を受けたマーク、そこにカメラを持った新聞記者のジャンナが現れマークの写真を撮る。マークは重要参考人として警察に連れて行かれ4時間も勾留されてしまう。警察から戻るとカルロは相変わらず酔っ払っており、レインコートの人間も見ていないと言う。マークはカルロに最初に部屋に入った時にあった絵が出る時に消えていたのが引っかかっていたのだが、カルロは記憶の改ざんではないかと取り合わない。ヘルガの葬式を遠巻きに見るマークはジャンナからジョルダーニ教授のことや彼女の親友で透視能力の研究者だというマリオなどヘルガの人間関係の情報を得る。ジャンナはマークに気があるようで彼氏彼女がいない同士で協力して事件を解決しようと提案する。

どんな映画?

ダリオ・アルジェント監督が「サスペリア」の前に発表した映画で、最高のジャッロ映画の一つとされています。ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」(1967年)に出演し一躍スターになったデヴィッド・ヘミングスが主演し、ダリオ・アルジェント監督と公私共にパートナーとなるダリア・ニコルディとこれまた監督の常連バンドとなるゴブリンが初登場した映画です。

テレパシーなどが存在するという超心理学会の講演会
能力者だという美人ヘルガは相手の考えが頭の中に
入ってくると観客に訴えます。
するとヘルガは突然やめてやめて!!と叫び出し
この中に恐ろしい殺意を感じます!! と発言します。

ヘルガの頭の中に殺人者のイメージが流れ込んだのです。
彼女はその夜超能力で得た殺人事件の記事を 書くと言います。
アパートで一人記事を書き上げた彼女に
黒い皮の手袋をし大ナタのような凶器で襲い掛かります。

路上で友人のカルロと話していたアメリカ人ピアニストの
マークは女性の悲鳴を聞きます。
見上げるとアパートの窓からヘルガが何者かに襲われています。
慌てて部屋に駆けつけます。

ヘルガの部屋に入ったマーク
壁には多くの絵がかかっています。
ヘルガを窓から抱き上げますがすでにコト切れていました。
重要参考人として取り調べを受けるマーク。
記者のジャンナは事件を探るためマークに近づきます。

マークには引っかかるものがありました。

事件の時にあった絵が今は無いみたいだ!

気のせいだというカルロに腑に落ちないマークは事件を 探ろうとするのですが…

アマンダの家に突然キューピーさんのような人形が吊るされていて…

「サスペリアPART2」という監督次回作「サスペリア」の続編のような邦題が付けられてしまった本作ですが、実際は「サスペリア」より前に作られて映画にも関わらず、日本で公開されたのがヒット作の「サスペリア」の後だったため、二番煎じを狙った映画会社によって付けられてしまったタイトルであって「サスペリア」とは内容的に全く関係ありません!実際のタイトルは「Profondo rosso」英語タイトルでは「ディープレッド」で深紅と言う意味になります。
この映画はホラー映画ではなくミステリー映画でジャンル的にはジャッロ映画とされています。ジャッロ映画とは主にイタリアで製作された殺人ミステリーに、過度に残酷な殺人シーンを描写し、ドラマティックな音楽などを使用した映画ジャンルの一つです。美女が血みどろになって惨殺されるシーンや、変質的な犯人像、ある種のトラウマを抱えた犯行動機などが人気を呼び70年代のイタリアで量産されました。「サスペリアPART2」はその中でも高く評価された殺人ミステリー作品になります。

成り行きで目撃者になってしまった主人公が事件の謎を追うミステリー作品となっており、不気味な人形、黒革の手袋、ごっつい凶器、美女を残虐に殺害など、見どころ盛りだくさんとなっております。

スタッフ・キャスト

監督はイタリアン・ホラーの帝王ダリオ・アルジェント。主にマカロニウェスタンの脚本を担当された後にサスペンス・スリラー映画「歓びの毒牙(きば)」(1970年)で監督デビュー。続けて1971年に「わたしは目撃者」と「4匹の蝿」を発表。それからコメディ映画を挟んだ後に監督したのがこの「サスペリアPART2」(1975年)になります。1977年には美少女ホラー映画の金字塔「サスペリア」を発表。さらに世界中を震撼させたジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」(1978年)では音響効果を担当。1980年に「サスペリア」に続く魔女3部作の「インフェルノ」を監督。3部作は2007年の「サスペリア・テルザ 最後の魔女」で完結しています。続いてジャッロ映画に原点回帰した映画「シャドー」(1982年)、ジェニファー・コネリーを蛆虫プールの中に落とした「フェノミナ」(1985年)。ダリオ・アルジェントが製作総指揮・脚本を担当した映画館ホラー「デモンズ」。こちらはヒットを受け「デモンズ2」でも脚本・製作を担当しています。「デモンズ3」と「デモンズ4」もありますがこちらもアルジェント監督が脚本・製作に関わっていますが、「デモンズ」の続編ではありません。「サスペリア PART2」で初めてコンビを組んだダリア・ニコルディとは公私共にパートナー関係が続き、お二人の間には女優で映画監督のアーシア・アルジェントがおります。

ヒロインの新聞記者ジャンナにダリア・ニコルディはイタリヤの女優兼脚本家として活躍。「サスペリア PART2」(1976年)の出演により監督のダリオ・アルジェント出会い公私共にパートナー関係になり、1975年には娘のアーシア・アルジェントが生まれています。1977年にはこちらもイタリア・ホラー界の重鎮マリオ・バーヴァの最後の劇場用映画である「ザ・ショック」に出演。この映画は一発ショックシーンでホラーファンに知られています。またダリア・ニコルディが魔女やオカルト的な要素を含む物に造形が深く、ダリオ・アルジェント監督が世界的に知られるようになったホラー映画「サスペリア」(1977年)を監督と企画し、脚本も共同で担当されています。その後も監督の「インフェルノ」(1980年)、シャドー(1982年)、フェノミナ(1985年)に出演。何か恨みでもあるのかと思われるくらいの悲惨な殺されっぷりに感嘆します。パートナー関係を解消してからも「オペラ座/血の喝采」(1988年)や「サスペリア・テルザ 最後の魔女」(2007年)に出演されました。ダリオ・アルジェント監督の作品に影響を与え、監督の映画の重要人物です。残念ながら昨年2020年に70歳でお亡くなりになられたそうです。

カルロの変な母親を演じたのがイタリアの女優クララ・カラマイ。1940年代に活躍した女優さんで、中でも彼女を有名にしたのが1941年に出演した「La cena delle beffe(道化師の晩餐)」でした。この映画は15世紀を舞台にしたコスチューム・プレイ作品でしたが、彼女のドレスが剥ぎ取られ胸を露わにするシーンがありイタリア初のトップレスシーンとなりました。このシーン観たさに映画はヒットしクララ・カラマイは一躍知られるようになりました。日本では1942年にルキノ・ヴィスコンティ監督によって映画化された「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の出演で知られています。この映画で家の壁に飾られた写真は実際にクララ・カラマイが出演した映画シーンになります。

いきなり登場しいきなり殺される超能力者役のマーシャ・メリルはフランスで活躍された美人女優さん。フランス映画音楽の重鎮だったミシェル・ルグランと70代で再婚し、ルグランが亡くなられるまで添い遂げられました。

まとめ

革手袋レインコートの人物で地獄行き

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