思い違いの恋「ラヴレター」(1945年)

サスペンス

手紙やメールで非常に饒舌な人は
実際会ってみると無口な方が
多いような気がします。

[原題]Love Letters
[製作年]1945[製作国]アメリカ
[日本公開]1948
[監督]ウィリアム・ディターレ
[製作]ハル・B・ウォリス
[撮影]リー・ガームス
[特殊効果]ゴードン・ジェニングス
[音楽]ヴィクター・ヤング
[上映時間]101

主な登場人物

アラン・クイントン(ジョゼフ・コットン):
従軍中友人のロジャーにラブレターの代筆をたのまれる。そのうちラブレターの相手の女性ヴィクトリアが気になってくる。

ヴィクトリア・レミントン/シングルトン(ジェニファー・ジョーンズ):
アランがパーティーで出会った娘。記憶に障害があるようだが、魅力的。

その他の登場人物

ベアトリス・レミントン(グラディス・クーパー): ヴィクトリアの養母
ヘレン(アニタ・ルイーズ): アランの婚約者
デリー(アン・リチャーズ):ヴィクトリアを紹介する
マック(セシル・ケラウェイ): アランの使用人

あらすじ

イタリア戦線に従軍中のアランは戦友のロジャーの為にラブレターの代筆を行っていた。情熱的でロマンチックなアランの文章はロジャーの彼女ヴィクトリアを虜にしていた。そしてアラン自身もみたこともないヴィクトリアに対していつしか特別な感情をもつようになっていた。一時帰国したロジャーはそのままヴィクトリアと結婚したが、アランは負傷しイタリアの病院で療養していた。恋人のヘレンが見舞いに来ても気分は弾まず、ロジャーが事故で死んだと聞かされやりきれない思いでいた。帰国したアランはヴィクトリアに手紙を出していた、イギリス、エセックスのロングリーチという土地の近くに、亡くなった伯母の家がベルトマーシュにありそこに住むことに決めていた。ベルトマーシュに発つ前にロンドンのデリーの家でパーティをすることになった。そこでアランはソファに横たわる若い女性を紹介されるが、彼女はシングルトンと言い名前はないという。すっかり酔って一人取り残されたアランはデリーからヴィクトリアの話にひっかかることがあり、殺人にかかわることだという。ベルトマーシュに着いたら私が普通でなかったことを思い出してと話すのだが…

どんな映画?

出会い系でもそうですが
文章だけで恋が出来ちゃうのも
よくある話です。
一度も会ったことないのにどうして?
を思うこともありますが
まあ好きになっちゃったら仕方がない
ということから始まる
ラブ・サスペンスです。

戦争中、イタリアに従軍していた
アランは戦友のロジャーに頼まれて
彼の文通相手であるヴィクトリアに
熱烈な手紙を代筆していました。
その手紙にヴィクトリアも会ったこともないロジャーに恋をしているもよう。

主人公ジョゼフ・コットン演じるアランは見たこともないヴィクトリアに
惹かれていましたが先に英国に帰国したロジャーがとっと彼女と結婚したと
聞かされます。
戦争で負傷していたアランは落胆し、婚約者のヘレンに会っても気分が乗りません。
そこで追い討ちをかけるように
ロジャーが事故で死んだと聞かされるのでした。

戦時下ということもあり終始暗い表情のジョゼフ・コットン
陰鬱な感じの復員兵として抑えて演技です。

家に戻っても鬱鬱と暮らすアランは心機一転イギリスエセックスのロングリーチがあるベルトマーシュに向かうことに。
ロングリーチはヴィクトリアの住む農園があったはず。

ベルトマーシュに行く前に壮行会をしようと弟がデリーという女性主宰のパーティーに参加します。
するとそこにソファに横たわる若い女性を紹介されます。
彼女はシングルトンと名乗り名前はないのとちょっと不思議ちゃん

その後酔っ払って独り言を繰り返すアラン。
気がつくと周りにはデリーだけになっています。
するとデリーはアランの独り言の中にヴィクトリアの話があったことが
ひっかかると言うのです。
殺人にかかわることだと話すデリー。
ベルトマーシュに行けばわかるという
謎めいた言葉を残して、アランはベルトマーシュに向かうことに…

イギリスが舞台ですが
ジョゼフ・コットンもジェニファー・ジョーンズもアメリカ人です。
代わりにヴィクトリアの養母を演じたグラディス・クーパーがイギリスの老婦人といった貫禄で登場しております。

ジョゼフ・コットンとジェニファー・ジョーンズのカップリングはその後1948年に「ジェニーの肖像」でも見られます。監督も同じくウィリアム・ディターレです。
ちなみに「ラブ・レター」のジェニファー・ジョーンズの苗字がシングルトンで「ジェニーの肖像」ではアップルトンでした。

スタッフ・キャスト

ドイツ、ハリウッドで活躍した監督のウィリアム・ディターレは、1937年にフランスの文豪エミール・ゾラの生涯を題材にした伝記映画「ゾラの生涯」を監督しています。その後モーリン・オハラをヒロインにした「ノートルダムの傴僂男」(1939年)、ラブファンタジーの「ジェニーの肖像」(1948年)、オールドミスのイタリア旅行でアバンチュールを描いた「旅愁」(1950年)などを監督されています。

ヒロインのジェニファー・ジョーンズは1940年代50年代を代表するハリウッド女優。比較的若い頃に「見知らぬ乗客」で知られるロバート・ウォーカーと結婚し、子供もいましたが離婚。その後当時の大物プロデューサーだったデヴィッド・O・セルズニックと再婚。セルズニックが製作する「君去りし後」(1944年)「白昼の決闘」(1946年)「ジェニーの肖像」(1948年)など様々なジャンルの映画に出演。「聖処女」(1943年)ではアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。セルズニックの死後、しばらく映画遠ざかりましたが1974年にパニック映画の傑作「タワーリング・インフェルノ」に落下する金持ちの未亡人を演じていました。

イギリス女優のグラディス・クーパーは1940年のヒッチコック監督の「レベッカ」やジェニファー・ジョーンズが主演した「ボヴァリー夫人」(1949年)、オードリー・ヘップバーン主演の「マイ・フェア・レディ」(1964年)などでいずれも上品な老婦人を演じています。

まとめ

代筆ラブレターで地獄行き

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