地獄の航海「救命艇」

サスペンス

トイレはどうするんだろう…
あっ海があるか

[原題]Lifeboat
[製作年]1943[製作国]アメリカ
[公開]1944[日本公開]劇場未公開
[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[原作]ジョン・スタインベック
[脚本]ジョー・スワーリング
[音楽]ヒューゴー・フリードホーファー
[上映時間]96

主な登場人物

コニー・ポーター(タルラー・バンクヘッド):
女性ジャーナリスト。客船がドイツに撃沈され、一人似つかわしくない小綺麗な格好で救命艇に乗っていると、次々と生存者が乗り込んで…

その他の登場人物

ガス(ウィリアム・ベンディックス): 足を負傷
ウィリー(ウォルター・スレザック): ドイツ人船員。不本意ながら船長にする。
スタンリー・スパークス(ヒューム・クローニン): 水兵。アリスを気にかける。
アリス(メアリー・アンダーソン): 不倫に悩む女性。
ヒグリー(へザー・エンジェル): 赤ん坊を亡くしたばかりの若い母親。
コバック(ジョン・ホディアク): イケすかない機関士。
リットンハウス(ヘンリー・ハル): 金持ちで仕切りたがり。
ジョー(カナダ・リー): 黒人客室係。

あらすじ

第二次世界大戦の最中、アメリカからイギリスに向かう客船がドイツのUボートに攻撃され海に沈んだ。海に浮かぶ一艘の救命艇の上に、一人タバコをくゆらせミンクのコートを羽織った夫人記者コニーが乗っていた。彼女はそこに向かって泳いでくる男にカメラを向けた。機関室にいた男はコバックと言い、爆撃の現場を意気揚揚と撮り続けていたと語る女に不快感を覚え、カメラを振り切りカメラは海に沈んだ。助けを呼ぶ声が聞こえ、次々生存者を引き入れた。足を怪我したガス、手当をするアリス、水兵のスタンリー、金持ちで初老のリット、黒人のジョーが赤ん坊を抱えた母親を連れて助けを求めてきた。母親のヒグリーは焦衰しきって赤ん坊が死んだことに気づいていなかった。次に引き上げられたのは敵であるドイツ人のウィリーという船員だった。言葉が話せるコニーに対し、ドイツ人を放り出せというコバック。小さな船の中で疑心暗記が広がる中、民主的に多数決で決めようという。子供が死んでいることに気づいたヒグリー、みんなで水葬した。彼女が取り乱さないように椅子に縛りつけていたがみなが寝ている間に海の中に沈んでいた。リットが担当を決めようと提案し、操縦をスタンリーと決めていくが、方向も何もわからない。仕方がなくウィリーを船長にすることにするのだが…

どんな映画?

救命艇を舞台としたクローズド・サークルものです。
ヒッチ先生お得意のワンシチュエーションもので後の「ロープ」(1948年)や「裏窓」(1954年)に繋がるような作りで、舞台はただただ海のみ。他の場面はありません!

原作は「二十日鼠と人間」「怒りの葡萄」や「エデンの東」で著名な作家スタインベック。人間のエゴを浮き彫りにする作風はこの「救命艇」でも発揮されております。

一人毛皮のコートに綺麗な巻髪の女性が救命艇に乗っていると、次々に生存者が救命艇に乗り込んできます。

ミンクのコートにカルティエのブレスレット、場違い感半端ないコニーは女性ジャーナリストです。そこに乗組員のコバック、水兵のスタンリー、足を負傷したガス、手当てするアリス、金持ちのリット、黒人給仕のジョーが赤ん坊を抱えた若い母親を連れて乗り込み、そして最後に追撃されたUボートに乗っていたドイツ人船員ウィリーが乗り込みます。

全ての登場人物はこの8人になります。

母親が抱えていた赤ちゃんはすでに亡くなっていたのです。
錯乱する若い母親。
ドイツ人のウィリーを責めます。
母親が出来心を起こさないようにロープで繋いでいました。
しかし、夜が明けるとロープは海に沈んでいました。

何とか生き延びようとする7人。
不本意ながら航海経験があるドイツ人船員のウィリーを船長として先導してもらうことに。
偏見があるコバックには許しがたい事でしたが多数決で決定します。

そして次々と困難が訪れ…

憔悴する乗組員たち。
次第に疲弊し、疑心暗鬼に陥る人々。
そして悪魔が語りかけるのでした。

リットが中国は4億人の市場が手付かずだと述べていますが10年足らずで今や中国の人口は14億人ですよ!10億も増えとる…

スタッフ・キャスト

船の上でももりもり化粧をするコニーを演じたのはタルラー・バンクヘッド。アメリカ人女優で映画だけでなくブロードウェイの舞台でも活躍。彼女が生まれてすぐに母親が亡くなり黒人女性の乳母によって育てられたそう。その後タルラーがホワイトハウスに招待された際に母親同然の乳母を同伴して行きました。これが史上初めて黒人がホワイトハウスに入った出来事だったとのこと!?
この映画のコニーのようにリベラルで意志の強い女性だったんでしょうね〜

水兵のスタンリーを演じたヒューム・クローニンはカナダ出身の俳優。1942年に結婚したジェシカ・タンディとはオシドリ夫婦として有名でした。

ヒッチ先生登場シーン

ガスが読んでいた新聞の痩せ薬の広告に登場。

        使用前 使用後

まとめ

撃沈されて地獄行き

コメント

タイトルとURLをコピーしました