神父さんがイケメンなんて
罪深いですネ
[原題]I Confess [製作年]1953
[製作国]アメリカ
[日本公開]1954
[監督・製作]アルフレッド・ヒッチコック
[脚本]ウィリアム・アーチボルト/ジョージ・タボリ
[原作]ポール・アンセルム
「Nos Deux Consciences」
[製作]シドニー・バーンスタイン
[撮影]ロバート・バークス
[編集]ルディ・フェア
[音楽]ディミトリ・ティオムキン
[上映時間]95
主な登場人物
マイケル・ローガン(モンゴメリー・クリフト):
聖マリー教会神父。移民のオットーを何かと気にかけていたが、オットーから強盗殺人の告白を受け自分に殺人の疑いをかけられてしまう。
ルース・グランフォール(アン・バクスター):
マイケルの元恋人。今は既婚者だがマイケルのことを忘れられないでいる。
その他の登場人物
ラルー警視(カール・マルデン):ローガンを疑う。
オットー・ケラー(O・E・ハッセ):ドイツ移民。事件の犯人。
アルマ・ケラー(ドリー・ハース):オットーの妻。
ウィリー・ロバートソン(ブライアン・エイハーン):検事、ルースの夫。
ベノア神父(ジル・ペルティエ):自転車を教会に入れる神父。
ヴィレット弁護士(オヴィラ・レガーレ):被害者。ローガンとルースの過去を知っておりルースを脅迫していた。
あらすじ
ケベックで男が殺害され、付近で神父の法衣姿をした男が目撃された。男は教会に行き祈りをささげていた。気づいたローガン神父は男に話し掛け、男はケラーといい神父がドイツ移民の彼に仕事などを世話していた。ケラーの力になると告白を促し二人で懺悔室に入る。するとケラーは弁護士で仕事をもらっていたビレットの家に金を盗ろうと侵入し彼を殺してしまったと告白した。ケラーは妻アルマにも話すがケラーは自首する気もなく、ローガン神父が告白を通報できないこともわかっていた。ケラーはビレットの庭の手入れをする日だったので出かける。教会で食事の支度などをしているアルマはローガン神父の動きが気になった。神父はビレットの家を訪れるとすでに警察と野次馬でいっぱいだった。家に入っていったローガン神父はラルー警視にケラーのことを聞かれ夫婦で教会で働いていると答え、ケラーが遺体の第一発見者だという。窓の外では神父が落ち着きなくうろうろし女と話しながら歩いていく所をラルー警視に目撃されていた。ローガン神父はルースにビレットが死んだことを伝え、ルースはこれで助かったと答え、夫のロバートソン検事がいる法廷で声をかけた。ロバートソン検事にラルー警視たちはは目撃者として二人の少女に会わせた。彼女たちは事件当日の11時頃ビレットの家の前を通りかかった時、ビレットの家から神父が出てきたのを見たという。ラルー警視たちは街の教会中をまわりその時間外出していた神父を探し、ローガン神父に行き当たった。警察に呼ばれたローガン神父はラルーから昨晩はどこに誰といて、翌日の朝ビレットの家の前にいた女性は誰かと尋ねるが神父は答えることができなかった。ラルー警視はロバートソン検事に電話をし彼はルースの家でパーティに参加していたが容疑者がローガン神父と聞き出ていく。ローガンの名前が出て動揺したルースは夫からまだ彼を愛しているかと聞かれ愛していると答える。ルースはローガンに電話し、明日レビーにフェリーで行くという。出かけるローガンは尾行されていたが、フェリーに乗りルースと話をする。ルースはあの夜自分と会っていたことを話すと神父に伝えるが神父はいいと言わない。
どんな映画?
サスペンス映画の王様アルフレッド・ヒッチコック監督が、フランスのジャーナリスト、作家のポール・アンセルムの戯曲を映画化。強盗殺人事件の告白を受け苦悩するカトリックの司祭を、モンゴメリー・クリフト・クリフトが演じ、元彼女役でアン・バクスターが出演しています。
カナダ ケベック州にある
聖マリー教会
深夜教会に男が入ってくるのを
見つけたローガン神父
様子を見に聖堂に行ってみると
ドイツ人移民のケラーが
何やら深刻な顔で項垂れています。
ローガンが訳を尋ねるとケラーは
「告白します」
と言ってきます。
ローガンとケラーは告解室に入り
ケラーは告白を始めます。
「弁護士ヴィレットの家に強盗に入り
見つかったためヴィレットを殺した」
何やてー!???
「自首する気はない」
何ー???
教会で働いている
ケラーは部屋に帰り
妻アルマに殺人の告白をします。
アルマは神父が警察に通報すると
言いますが、ケラーは
告解室での告白は絶対に
通報できないと知っていました。
翌日ケラーはヴィレットの家に行き
何くわぬ顔で第一発見者になります。
一方気になったローガン神父は
ヴィレットの家をウロウロ
実はローガン神父にもヴィレットと
いざこざがあり…
告解室でケラーの告白を聞くローガン神父
撮影はカナダ、カナダ東部のケベック州で行われ、レビーはケベック・シティからセント・ローレンス川を挟んですぐ南の対岸にある都市になります。
この映画は1902年に初演されたポール・アンセルムの戯曲「Nos Deux Consciences」(2つの良心)をアルフレッド・ヒッチコック監督が映画化したものです。
物語の骨子は、モンゴメリー・クリフト演じるローガン神父がカトリックの神父だということ。カトリック教徒は、司祭が告白された秘密を絶対に明かさないということを知っていますが、他宗教や、プロテスタント系には中々理解されず、役に徹底的に没入する演技法のモンゴメリー・クリフトすら、自らの生命の危険を冒してまで秘密を守ろうとする神父の演技に苦戦したそうです。ただ、実際に告解室でされたいかなる罪の告白でも、警察に通報してはいけないことになっております。自首は勧めると思いますが、この映画は、この事実を前提にしたサスペンス映画の代表作となっています。
良心の呵責に悩まされる犯人ケラーの妻アルマを演じた、ドイツ人女優ドリー・ハースの演技とその悲劇的な結末も見どころの一つです。犯人でありながら、平然と恩人でもある神父を陥れる様や、妻のためにと犯した犯罪が妻を苦しめる皮肉さなど、犯罪を犯す者の心理が表現されています。
ヒッチコック作品の中で、この映画をベストという方はほとんどいないと思われますが、現在ではヒッチコックの忘れられた傑作の一つとされており、ファンの方は必見です。
やっぱり、元彼氏が出家したりするのはショックでかいですヨ。
スタッフ・キャスト
イケメン神父ローガンを演じたのはアメリカ合衆国の俳優モンゴメリー・クリフト。モンティの愛称でも知られ、イケメン俳優としてだけではなく知的で重厚な役作りと確かな演技力で、名実共に人気のある俳優さんでした。子役時代から舞台に立ち、25歳の頃に1948年にハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン主演の西部劇「赤い河」でスクリーンデビュー。同年のフレッド・ジンネマン監督の「山河遥かなり」で、若いアメリカ人兵士役で主演し、いきなりアカデミー賞主演男優賞にノミネート。演技力とそのイケメンぶりでスター俳優の仲間入りを果たしますが、当時の俳優が当然のように契約していたスタジオ・システムに捉われず、通常よりも短く監督、脚本に意見できる権利を得て契約。1949年にウィリアム・ワイラー監督、オリヴィア・デ・ハヴィランド主演の「女相続人」に、相手役で主演。そして、ジョージ・スティーヴンス監督がセオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇」の再映画化「陽のあたる場所」(1951年)で主演のジョージを演じ、前作よりもナイーブで繊細な主人公を悲劇的に演じ、絶賛されました。その後もアルフレッド・ヒッチコック監督の「私は告白する」(1953年)での悩める神父。「逢びき」(1945年)のハリウッド版「終着駅」で、人妻ジェニファー・ジョーンズをぶん殴る役(?)で出演。フレッド・ジンネマン監督の戦争映画「地上より永遠に」(1953年)に出演しています。順調にキャリアを重ねてきましたが、健康面で悩まされるようになり私生活にも影響。1956年に交通事故に遭い顔を負傷してしまいます。1957年にはエドワード・ドミトリク監督の「愛情の花咲く樹」で、再びエリザベス・テイラーと共演。また、1959年の「去年の夏、突然に」でもエリザベス・テイラーと共演し、ビジュアル面からもベストカップルでした。1961年にジョン・ヒューストン監督、マリリン・モンロー、クラーク・ゲーブルの遺作となった「荒馬と女」に出演。同年にはスタンリー・クレイマー監督の戦争ドラマ映画「ニュールンベルグ裁判」で、証人として出演されています。その後、ジョン・ヒューストン監督「禁じられた情事の森」(1967年)に、出演予定でしたが、1966年に45歳の若さで急逝されてしまい、同役をマーロン・ブランドが演じました。
検事を演じたブライアン・エイハーンは、イギリス出身の俳優。イギリスで活躍した後、1933年にマレーネ・ディートリッヒ主演の恋愛映画「恋の凱歌」でアメリカ映画デビュー。1946年のフィルム・ノワール「危険な女」では、精神科の医師役で出演しています。また、ジョーン・フォンティンの元夫としても知られています。
ヒッチ先生登場シーン
・始まってすぐ、階段上の道を横切る。
・教会から出て来る。
まとめ
告白は告白できない地獄行き
コメント