閉じ込められて「死刑台のエレベーター」

サスペンス

「愛してる」って言葉
実生活で発したことありますか?
わたくしは言っても言われても爆笑してしまいます。

[原題]Ascenseur pour l’e’chafaud
[製作年]1958 [製作国]フランス
[日本公開]1958
[監督・脚本]ルイ・マル
[原作]ノエル・カレフ
[音楽]マイルス・デイヴィス
[撮影]アンリ・ドカエ
[上映時間]92

主な登場人物

フロランス・カララ(ジャンヌ・モロー):
カララ商会社長夫人。社員のジュリアンとともに社長を殺し逃亡を計画する。

ジュリアン・タヴェルニエ(モーリス・ロネ):
フロランスの愛人、元戦場の英雄で大尉。ジュリアンの為に社長を殺害するがエレベーターに閉じ込められてしまう。

その他の登場人物

ルイ(ジョルジュ・プージュリイ):車を盗むチンピラ
刑事(リノ・ヴァンチェラ):社長死亡の謎を追う
ベロニク(ヨリ・ベルタン):花屋で働く娘。ルイの恋人
サイモン・カララ(ジャン・ウォール):カララ商会の社長
モーテルの男(ジャン=クロード・ブリアリ)
警部補(シャルル・デネ)

あらすじ

「愛してる だからやるのよ」と電話越しでジュリアンに語りかける社長夫人のフロランス。会社にいるジュリアンと電話ボックスのフロランスは愛を語りあった。時刻は朝の7時、30分後「こと」が終わったらロワイヤル・カメのカフェで待っていると言う。フロランスの夫が社長のカララ商会に務めるジュリアンはその日、社長を殺害しフロランスと逃亡する計画を立てていたのだ。ジュリアンは手袋とロープ、拳銃用意しロープをかけ窓伝いに社長の部屋に赴いた。その日社員はおらず電話受付の女性と警備の男だけだった。社長を自殺に見せかけて拳銃で殺害し、何食わぬ顔で受付と警備と一緒にエレベーターに乗り込んだ。そのまま車に乗り込んだジュリアンだったがふとビルを見上げると社長の部屋によじ登った時のロープがそのままになっていることに気づいた。慌てて車を放置しエレベーターに乗り込む。しかし、警備員がブレーカーを落としたためジュリアンを閉じ込めたまま停止してしまう。一方ビルの1階の花屋で働く若い娘ベロニクとその彼氏のルイはジュリアンが慌てて車から飛び降りるのを目撃していた。元々素行の悪いルイはキーがかかりっぱなしの車に乗り込み、止めるベロニクと一緒に車を走らせる。カフェのオープン席に座ってジュリアンを待っていたフロランスは目の前をジュリアンに貸した車が通りすぎるのを見る。フロランスは窓から顔を出していたベロニクの姿を見て、ジュリアンが計画を実行せず若い娘を連れて逃げたのだと思い込んだ。

どんな映画?

若干25歳のルイ・マル監督のデビュー作として非常に有名なこの映画ですが、当時29歳のジャンヌ・モローの存在を日本で知らしめた映画としても有名です。

わたくしはこの映画を初見では 上映会の大スクリーンで観たのですが

冒頭 ジャンヌ・モローのどアップ!!!!
「ジュテーム ジュテーム」のコンボに

思わず笑ってしまいました(笑)

社長夫人とその愛人が社長を自殺に見せかけて 殺害しようと話し合う
どシリアスな展開なのですが
それだけに笑ってしまいました。スミマセン。

そんな感じ(?)で社長夫人のフロランスと交際しているジュリアンは計画を実行。
拳銃で殺害した社長の手に銃を握らせ自殺に偽装。
最初の目撃者は黒猫。
このビルの高さで窓の外で猫がノコノコ歩いているのは
不自然な気がしますが…

何食わぬ顔で会社をあとにしようと
間抜けなことに社長室への侵入に使ったロープを
回収し忘れていることに気づきます。
やべぇ
と慌てて高級車を乗り捨ててビルに戻るジュリアン。

それを見ていたのがチンピラのルイと彼女の花屋の娘。
元々素行の悪いルイは車に乗り込みそのまま逃走。
盗んだ車はメルセデスベンツ300SLです♪
わたくし自身車のことは全く詳しくないのですが
とにかくすごい車だな〜
ということはわかります。

ビルに戻ったジュリアンはエレベーターに
乗り込むのですがブレーカーを落とされ
そのまま閉じ込められてしまうのでした。

何とか脱出しようともがくジュリアン。
有名なシーンです。

計画に失敗し、彼氏に裏切られたと思った社長夫人。パリの街をあてもなくさまよい歩くジャンヌ・モローの姿が印象的な映画です。また、マイルス・デイヴィスのジャズがいっそう焦燥感と絶望感を醸し出しています。小型カメラなどの小道具が生きてるラストやセリフは忘れられない一本です。どうでもいいけど最後の写真は一体誰が撮ったのかしらん?

2010年に日本でリメイクされていますがわたくしはまだ観ていません。阿部寛は大好きですが。

スタッフ・キャスト

監督はフランス、ヌーベルヴァーグを代表する監督の一人ルイ・マル。「死刑台のエレベーター」で長編監督デヴューを果たし、その後もやはりジャンヌ・モローを起用した「恋人たち」(1958年)、カトリーヌ・ドモンジョを一躍子役スターにしたコメディ映画「地下鉄のザジ」(1960年)、再びモーリス・ロネ、ジャンヌ・モローを出演させた自殺をテーマにしたシリアス映画「鬼火」(1963年)、ホラーオムニパス映画「世にも怪奇な物語」(1967年)の中の一本、「影を殺した男」などヒット作、話題作など多岐に渡り監督。アメリカ移住後の1978年に当時12歳のブルック・シールズが娼婦を演じ物議を醸した「プリティ・ベビー」を監督しています。この「プリティ・ベビー」は個人的にはブルック・シールズの少女ヌードと言うよりも前張りがバッチリ映っていたことに度肝を抜かれましたが、とにかくすごい(?)監督さんだと思います。あっあとジュリエット・ビノシュとキモかっこいいジェレミー・アイアンズが出演した「ダメージ」(1992年)も個人的に忘れられない一本です。

ヒロインを演じたジャンヌ・モローもやはりヌーヴェルヴァーグを代表する女優の一人。1950年から映画に出演し始め、1954年にジャン・ギャバン主演のギャング映画「現金(げんなま)に手を出すな」に出演。「死刑台のエレベーター」(1957年)に出演後は、ロジェ・ヴァディム監督の「危険な関係」(1959年)、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「夜」(1961年)、ゲスト出演ですがジャン=リュック・ゴダール監督の「女は女である」(1961年)、フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」(1962年)、ジョセフ・ロージー監督の「エヴァの匂い」(1962年)、オーソン・ウェルズ監督の「審判」(1963年)、ルイス・ブニュエル監督の「小間使の日記」(1964年)など巨匠中の巨匠たちに愛されました。すんごい美人ではないかと思われますが、ツンと上を向いた鼻、気だるい物腰はファム・ファタールの雰囲気そのままです。個人的にはオーソン・ウェルズ監督のテレビ映画「不滅の物語」(1968年)のトウを過ぎた娼婦の役が一番スキですが、そのオーソン・ウェルズに偉大な女優と言わしめたほど伝説的な女優さんです。

社長夫人の愛人役のモーリス・ロネは「死刑台のエレベーター」の出演でも有名ですが、特に知られているのが1960年にアラン・ドロンと共演したルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」ではないでしょうか。モーリス・ロネは主人公に殺害される金持ち息子の役で、アラン・ドロンに隠れてしまっていますがこちらも男前。数多くのフランス・イタリアの映画に出演しておられましたが1983年に55歳で亡くなられています。

刑事役のリノ・ヴァンチェラはジャン・ギャバンの後継者としてギャング映画にかかせなかったスター俳優。元レスラーだけあってかなりいかついですがロベール・アンリコ監督の「冒険者たち」(1967年)ではアラン・ドロンを差し置いてヒロインを演じたジョアンナ・シムカスに選ばれる男を演じていました。

チンピラを演じたジョルジュ・プージュリイはルネ・クレマン監督の名作映画「禁じられた遊び」(1952年)の子役(ミシェル)で知られています。また、アンドレ・カイヤット監督の「われわれはみな暗殺者」(1952年)やアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の「悪魔のような女」(1955年)、ロジェ・ヴァディム監督の「素直な悪女」(1956年)などに出演しております。

まとめ

エレベーターで地獄行き

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