にっぽん人なら
黒澤明の映画店ろ!
手塚治虫の漫画嫁!と思っています。
[原題]わるいやつほどよくねむる
[製作年]1960[製作国]日本
[監督・製作・脚本]黒澤明
[脚本]小国英雄/久板栄二郎/菊島隆三/橋本忍
[撮影]逢沢譲
[音楽]佐藤勝
[上映時間]150
主な登場人物
西幸一(三船敏郎):
岩淵の秘書。佳子と結婚し岩淵の義理の息子になる。
岩淵(森雅之):
日本未利用土地開発公団の副総裁。
岩淵佳子(香川京子):
岩淵の一人娘。西の妻となる。
その他の登場人物
岩淵辰夫(三橋達也):佳子の兄
板倉(加藤武):西の高校の同級生
守山(志村喬):公団管理部長
白井(西村晃):公団契約課課長
和田(藤原鎌足):公団契約課課長補佐
和田の妻:菅井きん
中(笠智衆):検事
殺し屋:田中邦衛
あらすじ
結婚式の会場に押し寄せる新聞記者達。登場する花嫁は足を引きずりながら歩いてくる。佳子(よしこ)は足が不自由だった。その会場では、土地開発公団の副総裁、岩淵の娘佳子と秘書の西との結婚式が盛大に行われていた。公団と建設会社との汚職が取りざたされ、和田が警察に拘束されていた。披露宴が始まり、ケーキ入刀のケーキを見て、守山と白井は驚く。公団のビルをケーキの七階に赤いバラが刺さっており、そこは5年前公団課長補佐の古谷が飛び降りた場所だった。和田は警察に入札価格が漏れていたのではないかと追及される。釈放された三浦(大竜建設経理担当重役)は社長の信頼しているという伝言を聞き、その場でトラックに飛び込み自殺する。警察で黙秘を通した和田は死ぬために地獄谷の火口まで行くが、そこに西が現れ和田を連れていく。和田が車で連れて行かれたのは、自分の葬式だった。自分にすべての罪を擦りつけていたことがわかり、西は和田に悔しくないのかと訴える。一方白井は貸金庫の中の500万円の現金を取りに向かうが、金庫の中に現金はなく、代わりに公団の七階部分に×印がしてある写真があった。
どんな映画?
この映画の冒頭の結婚式シーンはフランシス・フォード・コッポラの「ゴッドファーザー」でも踏襲されていると言われています。
盛大な結婚式に、主要人物が一堂に集まり、新聞記者たちがご丁寧に一人一人自己紹介をしてくれます。親切設計です。
まず目を惹くのは入場した花嫁のシーン。介添え人の手を借り歩くのですが、その足元は片方が高さの違うポックリのような草履。足を引きずりながら痛々しくも思える花嫁さんの登場です。
そして、世界の三船は一体どこ?と思っているとすごい黒ブチメガネにオールバックの花婿です。ホントに三船敏郎か?と思ってしまうほど。
ケーキ入刀の時に、このケーキが運ばれます。
かつて飛び降り自殺があった7階にバラの花が刺さっています。
これを見た、水戸黄門じゃなくて白井役の西村晃は驚きます。
花嫁の父親である日本未利用土地開発公団の副総裁である岩淵、公団管理部長の守山も動揺を隠せません。
一方、公団契約課課長補佐の和田が頭ぼさぼさで地獄谷の火口をさまよっています。釈放された和田は死に場所を探していたのでした。
そこに現れたのは…
この映画は内容的にかなり好き嫌いが別れるかもしれません。
役人の腐敗と復讐を描いていますがどちらも、ちょっと中途半端になってしまい、追及しきれていないように思います。
主人公がぶれてしまうんですね。メロドラマを入れ込んでしまった結果で、そこがラストにつながる伏線だとは思いますが。
しかし設定の妙というか、辻褄を考えてしまうと荒唐無稽になりかねないのですが、一つ一つのシーンがかなり印象的なのです。
政治権力に一石を投じながら、同時に娯楽作品として完成させた監督の力量は感嘆いたします。
スタッフ・キャスト
日本が世界に誇る巨匠黒沢明監督の1960年の作品で、すでに60年近く前の作品ですが現代劇です。
娯楽時代劇に定評のある監督ですが現代劇は問題提起の多い挑戦的な作品が多いと思います。
岩淵を演じた森雅之は大正時代の文豪有島武郎の息子で、端正な男前で黄金期の日本映画には欠かせない名優の一人です。
佳子(よしこ)役の香川京子はこの撮影で事故に遭い、顔に傷を負ったそうです。女優生命も危ぶまれたそうですが、今でも上品な姿をCMなどで見られます。この頃の女優さんはやっぱり品がありますね〜
守山役の志村喬は「酔いどれ天使」(1948年)の貧乏医師役や「生きる」(1952年)の公務員役など黒澤明監督作品に欠かせない俳優さんです。
本当の悪い奴は絶対にぶれないのです。
ぶれたり、迷いが生じてしまっては負けてしまうのです。
まとめ
復讐するつもりで地獄行き
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