集めちゃいけないもの「コレクター」

サスペンス

昔はもったいなくて捨てらなかったものが、今は恥ずかしくて捨てられません。

[原題]The Collector
[製作年]1965[製作国]イギリス・アメリカ
[日本公開]1965
[監督]ウィリアム・ワイラー
[原作]ジョン・ファウルズ
[脚本]スタンリー・マン/テリー・サザーン(ゴーストライター)
[音楽]モーリス・ジャール
[上映時間]119

主な登場人物

フレディ・クレッグ(テレンス・スタンプ):
元銀行員。宝くじが当たり自分の理想とする生活をすることに。ということで目を付けた女性を拉致監禁。

ミランダ・グレイ(サマンサ・エッガー):
美大生。男となんかあったよう。

その他の登場人物


アニーおばさん(モナ・ウォッシュボーン):くじが当たったと知らせる
隣人:モーリス・ダリモア

あらすじ

昆虫採集が趣味の冴えない青年フレディは、ある日孤立した野原に彼の妄想を掻きたてるような売り家を見つける。彼は車の中でクロロフォルムを準備し、かねてから狙いをつけた美しい娘ミランダを誘拐する。彼は手に入れていた家の監禁用に整えていた部屋にミランダを優しく運んだ。雨の中成功を喜ぶフレディ、彼は銀行に務めるものの同僚たちの笑い者だった。しかし伯母から彼の元にフットボールの賭けで、7万1千ポンドの大金が手に入ったと知らせてきたのだ。気がついたミランダは異常な状況に激しく動揺する。そこに正装したフレディがお茶を持って現れる。出して欲しいと懇願するミランダを閉じ込め、食器棚の隠し扉になっていた。ミランダに食事を運んできたフレディは出ていこうとするミランダを抱きしめ、愛していると告げる。彼はレディングでいつもミランダと同じバスに乗っていて一目惚れしたと告げるが、ミランダには誘拐する理由がわからなかった。仮病を使ったり何とか逃げ出そうとするミランダだが、強く拒否するフレディ。四週間経ったら出すという申し出を、お風呂や手紙、絵を描く道具という条件と引き換えにしぶしぶ飲むことにするのだが…

どんな映画?

ロンドンの美術学校から出てくる美人(?)女子大生を車から怪しく見つめる男フレディ。
そして彼女が一人になった所をクロロフォルムを嗅がせて車で拉致。

むぐぅー

彼女をくじで購入した屋敷の地下室に監禁します。
あまりにもうまいこと成功して、雨の中でうふふあははとはしゃぎまくるフレディ。
もう、きもいことこの上なしの演技が素晴らしい、テレンス・スタンプ

拉致された女子大生ミランダが目覚めるとそこは家具が揃えられ、洋服ダンスには洋服や下着もびっちり。
好みだろうと思われる服や小物が整えられている地下室は、何だか「オペラ座の怪人」を彷彿とさせます。
やはりモテない男が考えることは共通なんでしょうか?

「私の体が目的???」と言うミランダに
「いや、君はお客さんだから」とフレディ。

あっそっかー てなわけあるかい!!

どうやらフレディはバスの中でミランダに一目惚れをしてしまったらしい。
(ミランダ役のサマンサ・エッガーが美人かどうかは横に置いといて…)
だからって何で誘拐?まったく理解できないミランダ。
そりゃそうだ!

なだめたり、すかしたり、時には脅してみたり、同情を煽ったりと
何とか脱出を試みるミランダでしたが…

おそらくこの映画のおかげで拉致監禁方法はクロロフォルムで眠らせると言うのが定番になっていますが
実際にはクロロフォルムで眠らせるのは不可能だそう。

原作はジョン・ファウルズの同名小説の映画化になります。
拉致監禁もののスタンダードになる程多大な影響を与えたこの映画。
そんなジャンル存在するのかという感じですが、やはり同類の拉致監禁ものが存在します。

女性から見たら不快感この上ないこの映画。
一体誰に感情移入して良いのやら。
例え道ですれ違っても、知り合えることはまずない二人。住む世界が違うのです。
なので強引に近づいた所で、コミュ障のオタク青年と表面的な知的美人とは一方通行、不毛な会話が続きます。

フレディは何とか歩み寄ろうとミランダが好きなものに接するため「ライ麦畑でつかまえて」を読んでみますが、フレディは否定的で話しにならない。ピカソもだめ、まったく趣味が合わないし、フレディはミランダたちのようなインテリに対して卑屈な態度しかしません。好きな蝶々の事は嬉々として話しますが、ミランダはそれらの標本部屋を死の部屋だと表現します。

外見だけで一方的に抱く思春期の幻想と生身の女性と対峙した時のオタク気質の青年の反応が見事に演じているのです!
そして混乱を極めるミランダの演技も見事でした。

スタッフ・キャスト

監督はハリウッドを代表する名匠中の名匠ウィリアム・ワイルダー。1938年「黒蘭の女」1940年「月光の女」1941年「偽りの花園」のベティ・デイヴィス、1939年「嵐が丘」のマール・オベロン、1942年「ミニヴァー夫人」のグリア・ガースン、1949年「女相続人」オリヴィア・デ・ハヴィランド、1952年「黄昏」のジェニファー・ジョーンズ、1953年「ローマの休日」1961年「噂の二人」1966年「おしゃれ泥棒」のオードリー・ヘプバーンなど文芸映画や女性映画を撮るのに長けている一方、フィルム・ノワールや西部劇など才能は多岐にわたりました。やはり最大のヒット作である1959年「ベン・ハー」は、今後リメイクも難しいでしょうね~。

フレディ役のテレンス・スタンプはこの見事な怪演でカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞しました。何を考えているかわからないようなうつろな目で変わった役が多いように思います。1968年のオムニバス怪奇映画「世にも怪奇な物語」の3話目、フェデリコ・フェリーニ監督作の「悪魔の首飾り」ではアル中のスターを演じ、同年のピエロ・パオロ・パゾリーニ監督の「テオレマ」では、家族を破滅させる青年やくなど。そうかと思うと、1980年の「スーパーマン」ではヒゲのゾッド将軍を演じておりました。特にすごいなーと思ったのが1994年のオーストラリア映画「プリシラ」で年増のオカマ役。けっこう似合っていました。
現在、80歳ですがまだまだご活躍されています。

ラストの衝撃と脱力感がハンパないこの映画。てゆーかおめー全然懲りてねーじゃん

まとめ

監禁されて地獄行き

コメント

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