夜の顔「コールガール」

サスペンス

裏表は無い方です
全部裏が出ているので。

[原題]Klute
[製作年]1971[製作国]アメリカ
[日本公開]1971
[監督・製作]アラン・J・パクラ
[撮影]ゴードン・ウィリス
[音楽]マイケル・スモール
[上映時間]115

主な登場人物

ジョン・クルート(ドナルド・サザーランド):
トムの友人、警官。失踪したトムを探しにNYに来る。

ブリー・ダニエルズ(ジェーン・フォンダ):
女優志望で都会に出てきたが、オーディションを受けながら夜はコールガールとして働いている。

その他の登場人物

フランク・リゴーリン(ロイ・シャイダー):元締め、ブリーの元彼
ピーター・ケーブル(チャールズ・シオッフィ):トムの上司
ティナ(リタ・ガム):売春斡旋
黒人ママ(ロザリンド・キャッシュ)

あらすじ

年末からペンシルベニアの研究所で科学者をしていたトム・グルーネマンという男が失踪して半年。警察が夫人に尋ねても思い当たらなかったが、彼にはNYでコールガールを買うという裏の顔があったという。トムのデスクにコールガールにあてた卑猥な手紙があった。トムの上司でトール・アメリカ社重役のケーブルはトムの幼友達のクルートに調査を依頼する。トムが一度だけ買ったコールガール、ブリーを探りにNYに出向く。ブリーは女優志願で昼はオーディションを受けながら夜はコールガールで客を取り、その美貌で売れっ子、年間600人から700人を相手にしていた。最近ブリーはいたずら電話に悩まされ誰かにつけられているような気配を感じていた。思うようにならない女優業に比べ、コールガールでは完全に彼女が主導権を握っていた。一人で暮らすブリーのアパートにクルートがグルーネマンのことを聞きにやってくるが相手にしない。ブリーはおばさん精神科医のカウンセリングを受け自分の寂しい心内を聞いてもらっていた。それでもだめな時は顧客だが何もしない70歳の老人ゴールドファーブに彼の服の裁断工場に自ら会いに行き、彼の前で好きに話しながら脱いでいく。クルートは部屋で盗聴、盗撮をしていた。出てきたブリーを呼び止め、録音を聞かせる。ブリーはクルートを部屋に入れ、クルートはグルーネマンの写真を見せるがブリーは覚えていないと言う。しかし二年ほど前にさんざん痛めつけられたサド趣味の男がいてグルーネマンと同一人物ではないかと話す。話をしているうちにブリーは服を脱ぎ始め…

どんな映画?

原題のタイトルはそのものずばり
主人公の刑事「クルート」です。
田舎刑事のクルートの親友で研究所の科学者であるトムが失踪しました。

クルートはトムの上司であるケーブルに同意の上で、独自に捜査を開始します。

トムには家庭人のような顔の裏に、もう一つ別の顔がありました。

NYでコールガールを買っていたのです。

電話で女の子を呼び出す
いわゆるデリヘルを利用しておったというわけです。

クルートは以前トムが買ったことがあるという売れっ子コールガール、ブリーに会いにNYに向かいます。
美しくスタイルのいいブリーは、女優やモデルを目指し努力を重ねていましたが中々芽が出ずくすぶっていました。

ブリーにもまた、夜はコールガールという裏の顔がありました。

美しい女たちの中で必要とされない女優の世界とは打って変わって夜の世界でブリーは男たちに賞賛され、イニシアチブを取れるのでした。
自分は楽しんでいるし、孤独じゃないと…
もちろんいいことばかりではありません。こういった仕事には常に危険がつきまといます。ブリーもいたずら電話に悩まされていました。

そこに突如現れたのは真面目生一本のクルートでした。
ドナルド・サザーランドのいいのか悪いのかわからない独な風貌と高身長。ブリー役のジェーン・フォンダも170センチ超えの高身長なので案外お似合いだったりします。

トムの捜索の為ブリーに近づくクルートですが当然ブリーは拒絶。
仕方ないので近くに部屋を借りてブリーを盗聴、監視する事に。

ぴたぴたのボディスーツを着たブリー。
すっと両手を上にあげ、ゆっくりファスナーを下ろすシーンが印象的です。
ウルフカットにミニスカ、ニーハイブーツなど70年代ファッションのジェーン・フォンドも見どころの一つです。

盗聴されていたことに当然怒るブリーに
クルートは一言
「哀れでならない…」と答えるのでした。

一見華やかで刺激的な都会の暮らを楽しんでいるように語っていたブリー。その実孤独で精神科のカウンセリングに通いながらどこかで助けを求めていたのでした。

徐々にブリーは汚い自分も全てを受け入れてくれるクルートに惹かれていきます。
しかしそんなブリーにも魔の手が…

鼻水たらしながら号泣するジェーン・フォンダの熱演は見ものです。

スタッフ・キャスト

監督のアラン・J・パクラはこの映画の成功を皮切りに1976年に「大統領の陰謀」1982年にメリル・ストリープにアカデミー賞主演女優賞をもたらした「ソフィーの選択」を監督。その後もサスペンス映画を多く監督されていましたが70歳で交通事故死しています。

ブリー役のジェーン・フォンダは、アメリカの名優ヘンリー・フォンダの娘さんで、今年の8月に亡くなられたピーター・フォンダのお姉さんです。金髪、長身、猫目の若い頃のジェーンはフランス人監督のロジェ・ヴァディムと結婚していたこともあり、1968年のカルト映画「バーバレラ」などに出演。セクシー路線の女優としてはどうなんだろうという役所が多かったのですが、1969年製作の「ひとりぼっちの青春」の演技が評価され、この「コールガール」の初のアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。

売春婦やストリッパー、犯罪者を演じると頑張ったで賞で取れると噂されるアカデミー賞ですが、当時33歳のジェーン・フォンダの鼻水をたらしながらの名演でした。

クルート役のドナルド・サザーランドは当時36歳。カナダ出身の俳優で息子はドラマ「24」のキーファー・サザーランドです。1960年代から活躍されていて、この映画の前年に出演したロバート・アルトマン監督のヒット作「M★A★S★H マッシュ」にいい加減外科医で主演。80代に突入している現在でも多くの大作に出演されています。

脇役でちょろっと出演のロイ・シャイダーは、同年に「フレンチ・コネクション」に出演、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。1975年に出演したスピルバーグの「ジョーズ」で強い印象を残しました。

エキストラで若き日にシルヴェスター・スタローンが登場しております。

まとめ

真夜中は別の顔地獄

コメント

タイトルとURLをコピーしました