Love & Hate「狩人の夜」

サスペンス

子供と動物に好かれない人は、やっぱり何かあるんでしょうか?

[原題]The Night of the Hunter
[製作年]1955[製作国]アメリカ
[日本公開]1990(「殺人者のバラード」テレビ放映あり)
[監督]チャールズ・ロートン
[脚本]ジェームズ・エイジー
[撮影]スタンリー・コルテス
[音楽]ウォルター・シューマン
[上映時間]93

主な登場人物

ハリー・パウエル(ロバート・ミッチャム):
インチキ伝道師。左手の指の甲にHATE、右手にLOVEの刺青が彫ってある。

ウィラ・ハーパー(シェリー・ウィンタース):
ベンの妻、後家。ジョンとパールの母親。ハリーに口説かれ結婚してしまう。

レイチェル・クーパー(リリアン・ギッシュ):
慈善家老婦人。兄妹を助けて、自宅に住まわせる。

その他の登場人物

ベン・ハーパー(ピーター・グレイブス): ウィラの夫、銀行強盗
アイシー・スプーン(イヴリン・ヴァーデン): アイス店の夫人
ウォルト・スプーン(ドン・ベドー): アイスクリーム店主

あらすじ

未亡人が殺されているのを遊んでいた子供たちが見つけた。しかし犯人である伝道師の格好をした男は意気揚揚と次の犠牲者の未亡人を探し車を走らせていた。ヌード小屋でショーを見ていた男は左手を握りしめ指の甲に彫ってある刺青にHATEとかかれ、ポケットに手を突っ込みナイフを突きたてる。そこを警官に呼び止められ、ハリー・パウエルは車の窃盗の罪で30日の刑に処せられた。花畑で遊ぶジョンと妹のパールの元に、車で父親のベンが血を流して現れ、一万ドルの現金を隠せと言う。考えたベンは金をあるところに隠し、ジョンに金のありかを黙っていることとパールを守ることを誓わせ追って来た警官に逮捕される。ベンは銀行強盗と二人を殺した罪で絞首刑が宣告された。同室になったハリーはなんとか一万ドルのありかを聞き出そうとするがベンはハリーが偽伝道師ととりわなかった。ベンの絞首刑後、ハリーは列車でベンの未亡人の元に向かうことを誓う。ジョンとパールは犯罪者の子供として学校にもいけずショウウィンドウの懐中時計を眺めるだけだった。母親のウィラはスプーン夫妻のアイスクリーム店で働いていたが、夫人に再婚をすすめられる。ジョンは川沿いのボートを管理している老人バーディと仲が良く遊びに行っていたがバーディからベンの知り合いだという男が尋ねてきたと聞き慌ててスプーンの店に行くと、ハリーが伝道師として刑務所で働いていてベンの最期を見取ったとウィラを涙させた。ハリーはジョンとパールに自分の指の甲の刺青を見せ、左手のHATE憎しみ、右手のLOVE愛を指を絡めて愛が勝ちそうだと言う。町の人たちでピクニックに出かけ、スプーン夫人はウィラにハリーとの再婚をすすめ、ハリーと二人で話をするようにする。ベンの金のありをうその告白をしすっきりしたウィラ。二人は結婚を決め、ジョンの反発をよそにとっとと二人で新婚旅行に出かけてしまうのだが…

どんな映画?

名優チャールズ・ロートンの、初の監督作品にして最後の監督作品です。
公開当時は興行的に振るわず、失望したチャールズ・ロートンを俳優業に専念させるきっかけとなった映画ですが、その後カルト的人気を誇る映画になりました。

まずインパクト大なのが主人公の
ハリー・パウエル演じるロバート・ミッチャムです。
インチキ伝道師姿でぶつぶつ言いながら車を運転。
神の啓示よろしくと平気で未亡人を殺していくサイコ野郎です。

一方幼いジョンと妹のパールのもとに
突然父のベンが現れ大金を渡し、
ジョンに誰にも言わないこととパールを守ると誓わせます。
そこに警察が訪れたベンを捕まえて行きました。
ベンは貧しさから銀行強盗を犯し二人も殺害していました。

シリアルキラーは発覚せず
ひょんなことから警察に捕まったハリーは刑務所でベンと知り合います。
ハリーはベンに何とか 金のありかを 
聞き出そうとしますがハリーの正体を見破っていたベンは取り合いません。

ベンの絞首刑後
子供が何か知っていると悟ったハリーは
子供たちのもとに向かいます。

そこに未亡人となったウィラと子供たちの前に突然現れたハリーでしたが
人々を取り込み、ウィラまで術中にハマってしまいます。

ジョンとパールの兄妹。

ウィラはハリーとの再婚を決めてしまいます。
そして兄妹二人に最悪の展開が…

縄で縛られ車ごと川に沈められるウィラ
恐ろしくも美しく印象に残るシーンです。

スタッフ・キャスト

監督のチャールズ・ロートンは イングランド出身、ハリウッドで活躍した名優ですが、監督作品はこの「狩人の夜」一本のみに止まりました。多くの映画に出演し、1947年のヒッチコック監督の「パラダイン夫人の恋」、1948年「大時計」、1957年には長年連れ添っていた妻であるエルザ・ランチェスターと共演した「情婦」などその恰幅のいい独特の容貌で作品に濃厚な味わいを添えていました。

この映画でもでもやっぱり死んでしまう未亡人役のシェリー・ウィンターズ。
1951年の「陽のあたる場所」ではモンゴメリー・クリフトに殺され、1962年の「ロリータ」では事故死。1970年の「血まみれギャングママ」ではガンガンに撃たれて死にました。

孤児たちの面倒を見ている慈善家の夫人を演じたのがサイレント映画のミューズ、リリアン・ギッシュです。子役からキャリアをスタートさせた90歳を超えてもなお女優として活躍されました。1916年のアメリカ映画史に残る大作「イントレランス」にて、ゆりかごの側にたたずむ女性として登場しています。1950年代当時でもう初老の扱いですがとても可愛らしいおばあちゃんといったかんじで、1987年の「八月の鯨」ではベティ・デイヴィスと姉妹を演じておりました。

眠たそうな目つきで独特の雰囲気を醸し出すロバート・ミッチャム。西部劇からフィルムノワール 、サスペンス、コメディなど幅広い映画に出演。1962年の「恐怖の岬」でもイカれた犯罪者を演じていましたが、こちらのリメイク版の1991年「ケープフィアー」で同じ役を演じていたロバート・デニーロの刺青は「狩人の夜」のハリーの指の甲の刺青にインスパイされていると言われています♪

まとめ

インチキ伝道師は地獄行き

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