おしどりは仲がいいから一緒にいるわけではなく、
オスはメスが浮気しないよう見張るためにくっついているそうです。
[原題]Witness for the Prosecution
[製作年]1957[製作国]アメリカ
[日本公開]1958
[監督・脚本]ビリー・ワイルダー
[原作]アガサ・クリスティ
[脚本]ハリー・カーニッツ
[上映時間]116
主な登場人物
レナード・ヴォール(タイロン・パワー):
未亡人殺しの容疑者。クリスチーネというドイツ人妻がいる。
クリスチーネ・ヘルム(マレーネ・ディートリッヒ):
レナードのドイツ人妻。
ウィルフリッド・ロバーツ(チャールズ・ロートン):右。
高名な弁護士。心臓病から生還するも看護師付き。
ミス・プリムソン(エルザ・ランチェスター):左
ロバーツの看護師。口うるさい。
その他の登場人物
ブローガンムーア(ジョン・ウィリアムス):法廷弁護士
ジャネット(ウナ・オコナー):未亡人宅の家政婦の老女
あらすじ
ロンドンで、金持ちの未亡人が殺される。疑われたのは夫人のところに通っていたレナードというセールスマンだった。ちょうどその頃、重い心臓病を患い看護士同伴で病院から帰宅したロバーツ卿。彼は高名な弁護人だった。そこへレナードと事務弁護士がロバーツ卿を訪れ弁護して欲しいと言うのだ。レナードは一見ハンサムで好青年という印象だったが、夫人の遺産が彼に入ることになり新聞に犯人だと書きたてられた。アリバイは妻が証言する帰宅時間のみで不利な状態だった。レナードは必死に無実を訴え、ロバーツ卿も彼は信頼できると弁護を引き受けたが、警察が訪れレナードを逮捕してしまう。次に夫人であるクリスチーネが弁護事務所に訪れ、レナードのアリバイについてどうも歯切れが悪い。年上の妻であるクリスチーネは、レナードがドイツに出兵中に出会った。バーで歌手として出演していた彼女にはすでに夫がおり、レナードとは正式な夫婦ではなかった。クリスチーネの態度の不信を感じたロバーツ卿は、他の証人を探すべく動いた。公判が始まり、弁護人と検察側の攻防は続き、メイドの老婆の証言や、夫人が殺される少し前に若い女性と旅行代理店に行き申し込みをしていたとレナードには、不利な条件が続いた。そして検察側の証人としてクリスチーネが現れた。
どんな映画?
イギリス、法曹界の重鎮ウィルフリッド卿は大病を患いましたが、何とか退院。
しかし口うるさい看護師付きでした。
事務所に戻っても何かと指図する看護師さんはウィルフリッド卿扮するチャールズ・ロートンの実際の妻で女優のエルザ・ランチェスターです。
本当に息ぴったりの二人の掛け合いがこの映画の見どころの一つです。
看護師のミス・プリムソンはちゃんとウィルフリッド卿が杖の中に葉巻を仕込んでいるのも見抜きます。
そんなウィルフリッド卿の元には弁護の依頼が殺到、その中で事務弁護人のメイヒョーが依頼人を連れてやってきます。
依頼人のレナード・ヴォールは一見ハンサムな中年男性。彼には裕福な未亡人殺しの容疑がかかっていました。彼に未亡人の遺産が入ると言うのです。
ウィルフリッド卿は片眼鏡の反射光を相手に当ててテストをしています。
卿のテストは合格。
ヴォール夫人を呼べという卿の前に、ヴォール夫人のクリスチーネが姿を現します。
クリスチーネは検察側の証人として法廷に立ち、夫のアリバイを証言すると言います。
しかし夫人の態度から卿は何か釈然としません。
片眼鏡のテストの結果はレナードとは正反対の物でした。
レナードはドイツ、ハンブルクに兵士として駐留中立ち寄った酒場で、アコーディオンを手に歌っているクリスチーネと出会います。
パンツ姿で歌っているクリスチーネに兵士達が「足を見せろ」と襲い掛かりズボンを破かれもみくちゃにされます。
御年56歳のマレーネ・ディートリッヒが大胆に脚を披露していることでも有名です。
いよいよ開廷し、レナードが有罪か無罪か検事と弁護人の攻防が続きます。
そしていよいよ検察側の証人としてクリスチーネが登場するのですが…
法廷で再び片眼鏡のテスト。
この映画はアガサ・クリスティ原作の「検察側の証人」(1933年刊行)を映画化したものです。
結末のどんでん返しが有名で、映画のラストに「この映画の結末を見ていない人に話さないでください」とナレーションが流れたそうです。この手の手法は1951年のフランス映画「悪魔のような女」、1960年のヒッチコック映画「サイコ」にも見られます。
マレーネ・デートリッヒが今までにないような役柄に挑戦したことと、若い頃は二枚目俳優として活躍しましたが演技力はちょっとというタイロン・パワーが好演しその演技が高く評価されました。ですが、タイロン・パワーは自作の撮影中に急死してしまい、実質この映画が遺作となってしまいました。
どんでん返しと言えば必ずタイトルが上がる映画です。
スタッフ・キャスト
監督のビリー・ワイルダーは言わずと知れた巨匠。コメディ作品に定評がありますが、こういったサスペンスもお得意。1943年「熱砂の秘密」1944年「深夜の告白」1953年「第十七捕虜収容所」など名作ぞろいです。
ウィルフリッド卿を演じたチャールズ・ロートンはイギリス出身の名優。恰幅のいい風貌から、悪役から貴人と多くの映画に出演しました。監督は1955年のカルト映画「狩人の夜」のみで、映画の失敗もあってかその後は監督業を行っていません。「狩人の夜」はその後の映画にも影響を与えている作品でもあるので、一本だけにとどまったのは残念ですね~エルザ・ランチェスターは実際の夫婦で、彼女は「フランケンシュタインの花嫁」の花嫁役で有名です。変な髪型でインパクトがあり若い頃はきれいでした。「情婦」の演技ででゴールデングローブ賞 助演女優賞を受賞しました。
まとめ
法廷で地獄行き
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