大いなるオールドミス「大いなる遺産」(1998年)

ミステリー

緑の服を着た人って…
スナフキンしか思いつきません。

[原題]Great Expectation
[製作年]1998[製作国]アメリカ
[日本公開]1998
[監督]アルフォンソ・キュアロン
[原作]チャールズ・ディケンズ
[脚本]ミッチ・グレイザー
[音楽]パトリック・ドイル
[上映時間]110

主な登場人物

フィネガン・ベル(イーサン・ホーク):
通称フィン。子供の頃海で出会った男を助けた一方地元の元大富豪の老女の家に話し相手として通う。絵が得意。

エステラ(グウィネス・パルトロー):
ディンズム夫人の美しい姪。夫人の教育により小悪魔的女性に成長。

ノーラ・ディンズムア夫人(アン・バンクロフト):
婚約者に結婚式をすっぽかされたことからおかしくなってしまった富豪の女性。

その他の登場人物

アーサー・ラスティング(ロバート・デニーロ):謎の男
ウォルター・プレイン(ハンク・アザリア): エステラの婚約者
ジョー(クリス・クーパー): 姉の恋人。フィンの育ての親。
マギー(キム・ディケンズ): フィンの姉
オーウェン(ガブリエル・マン):
ジェリー・ラグノ(ジョシュ・モステル): 弁護士

あらすじ

海辺に育ったフィンはある日一人でボートに乗っていると海の中からオレンジの服を着た囚人が現れ、夜明けにボルトカッターと食糧を持って来いと脅される。フィンは育ての親である姉のマギーとその恋人ジョーの目を盗んで囚人の言う通りにした。フィンとジョーはお使いで朽ち果てたディンズムア夫人の邸宅を訪れる。夫人は30年前結婚式をすっぽかされてから頭がおかしくなりその当時のままで生活を送っていた。その庭でフィンは長い金髪をなびかせた美少女と出会う。その後フィンは夫人に呼ばれ彼女の踊りの相手に選ばれた。そこでフィンは夫人の姪である美少女エステラと引き合わされ、彼女の絵を描くよう命じられる。室内の噴水で水を飲めばとエステラに促され、フィンが飲むとエステラが口をつけてくる。忘れられない感触に心が震えた。その後、姉のマギーは家を出ていってしまったがジョーがそのまま育ててくれた。毎週土曜日に夫人の家に行きエステラにも逢いいつの間にか高校生という歳になっていた。パーティに送って行った帰りフィンの部屋に来たエステラとキスを交わすがいいところで出ていってしまう。翌日夫人の邸宅に行くとエステラはヨーロッパに留学したと聞かされる。

どんな映画?

原作はイギリスの国民的作家チャールズ・ディケンズの小説ですが
現代のアメリカに舞台を移し、大きくアレンジされています。

まず名前が違う!?主人公はフィンではなくフィリップ・ピリップで
愛称ピップ(エレキバンじゃないですよ!)です。
フィンってアメリカ的なんですかね?
エステラとジョーはそのままですが、ディンズムア夫人ではなくミス・ハヴィシャムです。

絵の得意な少年フィンはある日海で囚人を助けます。

んで、そんなことは忘れて、フィンはお使いでディンズムア夫人の邸宅を訪ねます。
夫人の屋敷は広大ではありましたが朽ち果てていました。
そこでフィンはある女の子に出会います。
彼女は金髪の長い髪をなびかせ、大変美しい少女でした。

彼女はディンズムア夫人の姪でフィンを彼女の遊び相手に指名してきます。
夫人の屋敷に向かうフィン。そして、そこにいたのはロビンソン夫人!!!? ではなくアン・バンクロフト演じるディンズムア夫人でした。

原作のミス・ハヴィシャムは結婚式の当日に男にすっぽかされ、屋敷内のすべての時計を止め、婚礼のテーブルをそのままに、ウェディングドレスを身にまとったまま朽ち果てて暮らす、世にも恐ろしいオールド・ミスです。
1950年のビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」のシーンで主人公のウィリアム・ホールデンがかつての大女優の朽ち果てた豪邸を見て「大いなる遺産」のようだと言っています。
原作の方がインパクト大なのですが、この映画のアン・バンクロフトは緑の服を着て、派手なメイクで踊りまくります。

エステラに恋をしたフィン。
しかしエステラは気を持たせたかと思うと、すっと引いてしまいフィンの心を翻弄するのです。
そしてエステラはヨーロッパへ留学、フィンの元を去ります。

7年が過ぎ、フィンはジョーと共に漁師をしていました。
そんなある日、マイアミから弁護士が来て、フィンの夢をかなえると言うのです。
援助を申し出る人物が現れたのです。

単身NYに向かったフィン、そこでエステラと再会し二人は…

子役の二人が美しく、幻想的な雰囲気にぴったりでした。

「大いなる遺産」は何度も映像化されていますが、おそらく一番有名なのが本国イギリスで巨匠デヴィッド・リーンが監督した1946年版だと思います。ピップをイギリスの名優ジョン・ミルズが演じ、少女時代のエステラをジーン・シモンズが演じ文字通りの美少女でした。

美少女エステラは狂女の復讐の道具でした。世の中の男たちに復讐するための。
ですので彼女は何を考えているかわからず、どこか浮世離れした存在です。
本当の自分の気持ちもよく分かっていないのかもしれない、そしてそんな風に生きることを強いられている存在でした。
ある意味グウィネス・パルトローは合っていたかもしれません。

スタッフ・キャスト

監督のアルフォン、ソ・キュアロンはメキシコ出身、2004年に「ハリー・ポッター」シリーズの「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」を監督。2013年にSF恐怖映画「ゼロ・グラビディ」を監督し、アカデミー賞監督賞をはじめ7部門受賞しました。最近ではNetflixで配信された「ROMA/ローマ」で業界を賑わせました。

美女エステラを演じたグウィネス・パルトローですが、1998年のこの年は彼女のキャリアの当たり年で、「スライディング・ドア」「沈黙のジェラシー」「ダイヤルM」そしてアカデミー賞主演女優賞を受賞した「恋におちたシェイクスピア」、にどれも主演しています。まあ今だに美しいのですが、痩せすぎなのが気になります。娘さんはきれいになりましたねー

グウィネス・パルトローの身長がけっこうあるのでイーサン・ホークがちんちくりん見えてしまうのですが、180㎝ほどあるそう。
イーサン・ホークは1985年の「エクスプロラーズ」で映画デビュー。根強いファンのいる1997年の「ガタカ」や、2007年、シドニー・ルメット監督の遺作「その土曜日、7時58分」など、何度か低迷の危機を迎えながらも、着実に実力を重ね2014年の「6歳のボクが、大人になるまで。」の父親役でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。イケメンなのかちょっと微妙なラインで、ロビン・ウィリアムズ主演の1989年の「いまを生きる」の生徒役から好きな役者さんですが、キャリア30年あるのでまだこんな年なんだという印象ですね~

ディンズムア夫人役のアン・バンクロフトは1967年の「卒業」のミセス・ロビンソンが有名ですが、1962年の「奇跡の人」のサリヴァン先生の役でアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。晩年はこわいおばはんの役が多かったのですが、やはり実力のなせる業ですね。

まとめ

思いがけない遺産に地獄行き

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