「粋な黒塀」を「粋な九郎兵衛」
だと思っていました。
[原題]Chase a Crooked Shadow
[製作年]1958[製作国]イギリス
[日本公開]1958
[監督]マイケル・アンダーソン
[製作]トーマス・クライド/ダグラス・フェアバンクス・Jr
[脚本]デヴィッド・オズボーン/チャールズ・シンクレア
[撮影]アーウィン・ヒリアー
[音楽]マティアス・セイバー
[上映時間]87
主な登場人物
キンバリー・プレスコット(アン・バクスター):
キム。資産家の娘。1年前に自殺し、ショックの為入院していたことがある。療養のためスペインの別荘で過ごすことにする。
ウォード・プレスコット(リチャード・トッド):
キムの兄(と名乗る男)。アマチュアレーサー。
その他の登場人物
ヴァルガス(ハーバート・ロム):現地警察の署長
チャンドラー・ブリソン(アレクサンダー・ノックス):キムたちの叔父
エレイン・ホイットマン(フィエス・ブルック):ウォードの友人だという女
(結末は話さないで):ダグラス・フェアバンクス・Jr
あらすじ
セレブで知られるキム・ブレスコットが、今週スペインにある海辺の別荘で過ごすと雑誌に掲載されていた。ダイヤモンドで財を成していた父親が1年前に自殺しており莫大な遺産と宝石を相続していた。その夜、謎の男が勝手に別荘に入ってきて、アマチュアレーサーでキムの兄であるウォードだと言う。キムはすぐに警察に電話をし、警察署長のヴァルガスが来ることになったヴァルガスが男に免許証やパスポートを見せるように要求すると、男は笑って差し出す。それを確認したヴァルガスは何の冗談ですか?と言ってキムにパスポートを見せた。そこにはキムの兄ウォード・ブレスコットの名前と男の写真があった。キムは兄はずがない、兄は1年前に南アフリカで死んだはずだと主張する。車で崖から落下し、遺体も確認したのだと。ヴァルガスはパスポートの写真が男のものだと間違い無いと言うと、キムは兄の写真があるはずと取りに行こうとする。するとヴァルガスはメイドのマリアに命じ写真を取りに行かせる。その間ヴァルガスは男に事故のことを尋ねると、1年前に実際事故はあり、別の男が運転し自分は意識不明で入院していたのだと語る。叔父のチャンドラーが知っていると言い、キムはすぐにチャンドラー叔父さんに電話をかけたが繋がらなかった。そこで持って来た兄の写真を見ると、写真立てにあった写真はまさに目の前の男だった。いたずらはやめてほしいと帰ろうとするヴァルカスをキムはそんなはず無いと静止して、そう言えば兄の右手首に猫のタトゥーがあったと主張。男が袖を捲ってタトゥーを見せると、キムは思いあまって男をひっぱたいた。ヴァルガスは呆れ、ヴァルガスは、ウォードにキムを医者に診せた方がいいのではと提案し、別荘を跡にした。二人になったキムとウォードと名乗る男。キムはウォードに目的はわかっている、自分の宝石が狙いでしょうと言い、自分の胸元にあった大粒のダイヤを外しこれで出ていってと差し出した。するとウォードはピアノを弾いて、思い出を語り始める。この男は兄ではないと確信するキムは困惑し、外に飛び出し車に乗り込もうとするが、キーが刺さっていなかった。そこにウォードがキーを差し出し、出ていってもいいが逃げればまた病院送りだと話し始めた。
どんな映画?
俳優として知られるダグラス・フェアバンクス・Jrのベンチャー企業が製作し、イギリスのマイケル・アンダーソンが監督。アメリカ合衆国の女優アン・バクスター、イギリスの俳優リチャード・トッドが主演しており、現在では知る人ぞ知るミステリー映画の佳作とされています。
1年前にダイヤモンド王として
知られていた父親が
ダイヤモンドが盗まれたことを苦に自殺し
傷心の令嬢キムは精神的に
錯乱ししばらく入院していました。
その後1年が過ぎスペインの別荘で
静養することに。
美人でセレブのキムの動向は
雑誌にも書かれていました。
その夜キムはアレクサンダーおじさんと
次の日にランチを約束して
別荘に戻ると
茂みの影から男が
誰?!
と驚くキムに男は
「兄さんだよ」
と意味不明なことを言ってきます。
何言ってんねん
兄のウォードは1年前に
死んでるっちゅーねん!!
キムはすぐに警察に電話
署長のヴァルガスがすぐに
別荘に来てくれました。
ヴァルガスが男に身分証や
パスポートを要求。
確認するとまさに兄のウォードでした。
他にもその男がウォードである
証拠しか出てこず困惑するキム。
呆れたヴァルガスは
兄のウォードに医者に診せた方が
いいのではと提案します。
絶対に兄は死んでる!
あの男の目的は何?
私の宝石??
まさか命???
追いつめられたキムが口にしたのはー
この映画は公開当時、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の「悪魔のような女」(1955年)やアルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」(1960年)のように、ネタバレ禁止を警告してたそうです。映画で「この映画のオチは誰にしゃべらないで」と発するのは製作のダグラス・フェアバンクス・Jrで、彼は往年のサイレント映画の剣戟俳優としてトップスターだったダグラス・フェアバンクスの息子で俳優として活躍されていたお方です。
アン・バクスター演じるヒロインが、謎の人物たちに追いつめられていくシナリオがかなり巧妙に描かれており、イギリス人女優のフェイス・ブルックが演じるホイットマン夫人の存在も結構怖いです。また、謎の男を演じたリチャード・トッドも、計画なのにキムに惹かれている微妙な男を巧みに演じています。
現在でも、どんでん返しのオチがすごい映画の一つとして有名で、アン・バクスターの演技力の高さも見所の一つです。
スタッフ・キャスト
監督はイギリス出身の映画監督マイケル・アンダーソン。1955年にリチャード・トッド主演の戦争映画「暁の出撃」を監督。この映画で英国アカデミー賞の総合作品賞、英国作品賞を獲得。翌年に「八十日間世界一周」(1956年)を監督し、デヴィッド・ニーヴン主演で英米豪華キャストのこの映画は大ヒットしただけでなく、第29回アカデミー賞で作品賞を始めとする5部門を獲得しました。同年、ディストピア小説の代表格の「1984」を監督。その後アメリカで、ゲイリー・クーパーとチャールトン・ヘストンを主演にした海洋活劇「メリー・ディア号の難破」(1959年)、イギリス・アメリカ合作のサスペンス映画「六年目の疑惑」(1961年)でもゲイリー・クーパーが主演し、この映画がゲイリー・クーパーの遺作となりました。1964に大映も共同製作し、芦屋を舞台にした海難救助の軍隊の活躍を描いた「あしやからの飛行」を監督。イギリス・アメリカ合作のスパイ・サスペンス映画「さらばベルリンの灯」(1966年)、アンソニー・クイン主演の「栄光の座」(1968年)を監督。1976年に、2300年に人口爆発の対策として30歳を超えた者は殺されるディストピア映画「2300年未来への旅」を監督しています。また1977年には、アメリカ・イタリア合作のシャチ・パニック映画「オルカ」を監督しています。
警察署長のヴァルカスを演じたのはオーストリア=ハンガリーのプラハ出身の俳優ハーバート・ロム。1930年代にイギリスに移住し、1950年にジュールズ・ダッシン監督のイギリスのフィルム・ノワール「街の野獣」に出演。1956年のキング・ヴィダー監督のアメリカ映画「戦争と平和」では、ナポレオンを演じています。アレクサンダー・マッケンドリック監督の犯罪コメディ映画「マダムと泥棒」(1955年)や、カーク・ダグラス主演、スタンリー・キューブリック監督の歴史映画「スパルタカス」(1960年)、アメリカのSF映画「SF巨大生物の島」(1961年)などに出演後、1962年の「オペラの怪人」では、ファントムを演じています。1974年にはアガサ・クリスティ原作小説の3度目の映画化「そして誰もいなくなった」に 出演しています。また、ハーバート・ロスは「ピンク・パンサー」シリーズのドレフュス主任警部役で広く知られ、1993年の「ピンク・パンサーの息子」まで計7回出演されました。
まとめ
死んだはずの男が現れて地獄行き
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