地獄の鬼ごっこ「バニー・レークは行方不明」

ミステリー

保育園のお迎えは
いつも父親でしたねぇ

[原題]Bunny Lake Is Missing
[製作年]1965[製作国]イギリス・アメリカ
[日本公開]1966
[監督・製作]オットー・プレミンジャー
[原作]イヴリン・パイパー(メリアム・モデル)
「バニーレークは行方不明」
[脚本]ジョン・モーティマー/ペネロープ・モーティマー
[タイトルデザイン]ソウル・バス
[上映時間]105

主な登場人物

アン・レーク(キャロル・リンレー):
ロンドンに越してきたアメリカ人女性。4歳の娘バニーがおり未婚の母だと主張している

スティーヴン・レーク(キア・デュリア):
アンの兄。ロンドン支局の記者。妹をアニーと呼び溺愛している。

その他の登場人物

ニューハウス警視(ローレンス・オリヴィエ):バニー・レーク捜索の担当
エルヴァイラ・スモレット(アンナ・マッセイ):保育士、園長が不在の為、園を取り仕切っている。
エイダ・フォード(マーティタ・ハント): 保育園の創設者の1人。幼児心理研究で本も出している。
調理番(ルチー・マンハイム):保育園の調理師
看護婦(キカ・マーカム):アンの治療に当たる
アンドリュース捜査官(クライブ・レヴィル):ニューハウス警視の捜査パートナー
ホレイショー・ウィルソン(ノエル・カワード):家主。詩人兼朗読家。やたら絡んでくる。

あらすじ

アメリカからロンドンに来たばかりのアンは、4歳の娘バニー・レークの保育園初日に、先生が見つからず調理室に入って料理番の女性に急いでいるので先生が来るまで見てもらうように頼んで園を後にした。運送業者を待たせていた為、慌てて家に戻ると兄のスティーブンから電話があり今日の帰る時間を伝えられる。荷解きをしようとしていると、突然犬を抱き抱えた家主のウィルソンが入ってきて、夜に歓迎会をしたいと言う。急いで用事を済ませ、保育園にバニーを迎えに行ったアンだったが、園長不在の為園は混乱し迎えにきた親たちでごった返していた。教室に行ってもバニーはおらず、アンは他の保育士に尋ねると4歳児クラスの先生は歯痛で帰ったしまった言う。さらに、バニーを頼んだコックの女性は11時ごろにそのまま辞めてしまった。エルヴィラにバニーを尋ねるが、聞き覚えがないという。園の杜撰な対応に、話にならないとアンはスティーヴンに電話をかける。スティーヴンは急いでアンの元に駆けつけ、エルヴィラにバニーは誰かに連れ去られたのではないかと責め立てた。スティーヴンは自分たちで見つけると、アンと2人園を探し回る。階上の部屋から子供の声が聞こえ、扉を開けてみると女性が録音テープを回していた。彼女がフォードと名乗り、園長と2人でこの保育園を始めたが自分は引退したという。今は本を出していて、子供の空想について研究していると話す。少し変わったフォードだが、一緒にバニーを探してくれる。エルヴィラは勝手に部屋に入るなんてと三人を非難するが、フォードは取り合わなかった。とうとうエルヴィラの反対を押し切ってスティーヴンは警察に電話してしまう。園に警官が派遣され捜索が開始された。責任者のニューハウス警視は、アンにバニーの詳細を尋ねるのだが…

どんな映画?

アメリカ合衆国の女流作家メリアム・モデル(ペンネームはイヴリン・パイパー)原作の小説「バニー・レークは行方不明」を、オットー・プレミンジャー監督が舞台をロンドンに変えて映画化。アメリカの女優キャロル・リンレーと俳優キア・デュリアに加え、イギリスの名優ローレンス・オリヴィエが現地警察役で出演されております。

アメリカから兄の赴任先である
イギリスにやって来たアンは
4歳の娘バニーを保育園に初登園
ですが先生がおらず
調理室に行って文句ばかりの
調理番に娘のことを頼んで
急いでアパートに戻ります。

アンがアパートで荷物の
片付けをしていると
チワワを抱えた怪しいおっさんが
勝手に入ってきます。
ウィルソンと名乗り大家だと言います。
なんか馴れ馴れしいなと
適当にあしらって買い物へ

保育園にバニーを迎えに行くアン
たくさんの保護者と子供たちの中で
バニーを見つけられません。

バニーはどこ?!

と必死で探すアンに

保育園側は
そんな子預かってませんよ。
ってかあんた誰?状態

園の無責任な態度にむかついたアンは
兄のスティーヴンに電話
スティーヴンはすぐに
保育園に駆けつけます。
2人はバニーを探し回るのですが…

目隠し鬼しよー!っとはしゃぐ兄スティーヴン

原作のイヴリン・パイパーは、ベティ・デイヴィス主演の「妖婆の家」(1966年)の原作者としても知られています。原作はアメリカ、ニューヨークが舞台でしたが、オットー・プレミンジャー監督がロンドンでの仕事を好み、舞台がロンドンに変更されています。

イギリスで揃えたキャスティングも豪華で、現地警察役では名優ローレンス・オリヴィエに、クライブ・レヴィル。園の創始者の1人エイダを演じたマーティタ・ハントは1946年にデヴィッド・リーン監督の「大いなる遺産」で、ミス・ハヴィシャム役を演じたことで知られています。また、園長代理の保育士を演じていたアンナ・マッセイは、マイケル・パウエル監督の「血を吸うカメラ」(1960年)や、アルフレッド・ヒッチコック監督の「フレンジー」(1972年)に出演されています。

冒頭で登場するジャンケットは、牛乳を使ったデザートの一種です。 また、パブのテレビで流れていたり、ラジオから流れているのはイギリスのロックバンドのザ・ゾンビーズで、テレビ上でご本人方も出演されています。この映画で使用されている楽曲は、「Remember You」、「Just Out of Reach」、「Nothing’s Changed」になります。ザ・ゾンビーズはイギリスのバンドで、日本でも知られているのが「ふたりのシーズン」でしょうかネ。昔車のCMで使用されていました。

若い母親が、娘だと言うバニーが行方不明になったと騒ぎ始めるのですが、実際にバニーに当たる子供を登場させていない為、映画を観ている方も本当に子供が存在するのかわからないままお話が進みます。主人公が頼りっきりになっている兄の存在も不気味ですし、父親のいないシンママで、兄弟で暮らすというし、おまけに兄のスティーヴンが「バニーはアンの子供時代のイマジナリーフレンドにつけていた名前」だと言い出します。 このイマジナリーフレンドですが、欧米の子供では割とよく見られるらしく、子供が作り出す空想上の友人のことを指します。欧米よりも比較的幸福な子供時代を過ごす日本人にはあまりないようで、赤ちゃんの頃から1人で過ごす時間が多い欧米の子供には当然いたでしょ?みたいな感覚のようです。イマジナリーフレンドは、通常大人になると自然にいなくなるらしく、これを元にした映画ではジェームズ・ステュアート主演の「ハーヴェイ」(1950年)があります。

果たしてバニーは本当に存在するのか?

この映画は公開当時、1960年の「サイコ」と同様映画館の途中入場が禁止されていました。ある意味オチが一番怖い映画となっております。

スタッフ・キャスト

不安定な主人公アンを演じたのは、アメリカ合衆国出身の女優キャロル・リンレー。少女モデルとして活躍したのち、テレビや映画に出演し始め、1959年に舞台と同じ配役で映画化された「ゆきすぎた遊び」に主演。この映画で15歳で妊娠してしまう少女役を演じ、映画自体は当時物議を醸しましたが、キャロル・リンレーの演技は新人賞にノミネートされるなど高く評価されました。その後も、ジャック・レモン主演のセックス・コメディ「ヤムヤム・ガールズ」(1963年)、オットー・プレミンジャー監督の「枢機卿」(1963年)などに出演し、成人しても可愛らしいルックスで人気を博しますが、1965年に伝説のセックス・シンボル、ジーン・ハーロウ役を演じた映画に出演しますが、同年に別の映画会社でキャロル・ベイカー主演の「ハーロー」(1965年)が公開されるなど不運もあり興行的に失敗。「バニー・レークは行方不明」(1965年)に主演した後、イギリスでデヴィッド・グリーン監督のホラー映画「太陽の爪あと」(1966年)やセス・ホルト監督のスパイサスペンス映画「謀略ルート」(1967年)などに主要な役で出演しますが映画自体は成功せず、徐々に人気も低迷。1972年に出演した「ポセイドン・アドベンチャー」では、女性歌手役で出演されています。ちなみにキャロル・リンレーが劇中で口パクで歌った歌が主題歌の「モーニング・アフター」です。70年代に入るとテレビ出演も多くなりますが脇役に周り、1978年に出演した「猫とカナリア」のリメイク版「遺言シネマ殺人事件」で主要なキャラクターを演じますが、この頃には誰これ?状態になっておられました。この映画はモノクロなので残縁ですが、若い頃のキャロル・リンレーは金髪の本当に可愛いらしい女優さんでしたネ

アンの兄スティーヴンを演じたのはアメリカ合衆国出身の俳優キア・デュリア。1962年にフランク・ペリー監督のヒューマン映画「リサの瞳の中に」で、精神を病んだ青年を好演。1965年にラナ・ターナー主演の「マダムX」の映画化「母の旅路」では、ラナ・ターナーの息子役で出演されています。マーク・ライデル監督の「女狐」(1967年)に出演した後、SF映画の金字塔、スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」(1968年)で、ボーマン船長を演じ世界的に知られる存在となりました。1984年の「2010年」でも同じ役で出演されています。その後出演した「異常な快楽」(1969年)で主演のマルキ・ド・サドを演じこれが不評。イギリス・フランス合作の「ポールとミシェル」(1970年)の続編「続フレンズ/ポールとミシェル」(1973年)に出演。カナダ産スラッシャー映画「暗闇にベルが鳴る」(1974年)や、イギリス・カナダ合作、ミア・フォロー主演のホラー映画「ジュリア 幽霊と遊ぶ女」(1976年)などに出演。近年でも様々な映画にご出演されていますが、メカみたいに整った容姿が、余計に人間らしからぬ雰囲気を醸し出していらっしゃるお方です。

まとめ

病的シスコンで地獄行き

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