「お宅のご主人と不倫しています」というメールが届きます。
独身ですがなにか?
[原題]A Letter to Three Wives
[製作年]1949[製作国]アメリカ
[日本公開]1950
[監督・脚本]ジョセフ・L・マンキーウィッツ
[音楽]アルフレッド・ニューマン
[上映時間]103
主な登場人物
右から
デボラ・ビショップ(ジーン・クレイン):
ブラッドの妻。
ローラ・メイ(リンダ・ダーネル):
ポーターの妻、元貧乏暮らしだが玉の輿に乗る。
リタ・フィップス(アン・サザーン):
ジョージの妻、ラジオドラマの脚本家
その他の登場人物
ジョージ・フィップス(カーク・ダグラス):高校の音楽教師
ポーター・ホリングスウェイ(ポール・ダグラス):実業家
ブラッド・ビショップ(ジェフリー・リン):
アディ(セレステ・ホルム):声はすれど姿は見えず
セイディ(セルマ・リッター):メイド
あらすじ
大都市から列車で28分離れた近郊の街、高級住宅街や社交クラブもある。そこに住む三人の妻、デボラ、リタ、ローラメイは婦人クラブの手伝いで子供たちのキャンプに同行することに。舟付き場に集まった三人は、それぞれの夫のマドンナであるアディからの手紙を受け取る。そこには三人の妻の夫の中の一人と駆け落ちすると書かれていた。そのまま船に乗り込んだ三人は、それぞれ夫とアディの事を考えて、それは自分の夫ではないかと回想していくのだが…
どんな映画?
アディは街で評判の美人で、それぞれの夫たちの憧れの的です。
夫の女友達だから仕方なく付き合っているけど、夫が他の女を平気で褒めるのは、はっきり言って面白くもおかしくもない。
でも、アディは彼女たち三人と親友だと平気で書いてきます。
悪趣味にもほどがあります。
導入部分はまるっきり「デスパレートな妻たち」です。
夫に電話をかけるか迷いながら、公衆電話をみつめて三人は
船の上にぎりぎりで立っていました。
農家出身のデボラは自分のダサさに、育ちの良い夫のブラットと自分は釣り合ってないのではと悩んでいます。
いわゆる制服は良かったけど私服はダサい系
軍隊にいた頃は制服があったから、整った顔立ちで何とか
なったけど、選ぶドレスのセンスのなさを自覚して
一人落ち込む始末。
幼馴染のジョージと結婚して双子の子供がいるリタはラジオドラマの脚本家で仕事に邁進、音楽教師という夫の仕事に対する不満をぶつけています。
野心家の妻と、出世欲などなくマイペースに好きな音楽に打ち込める仕事に誇りを持っているジョージ。
愛し合っているはずなのに、何だか最近すれ違い気味。
電車が通るたびに揺れる家に住むローラメイは、中年バツ1のポーターと資産目当てで結婚したが、始まりが金目当てだったため素直になれずにいました。
アディの手紙によって、三人の妻たちはそれぞれ夫にとって自分はふさわしいのか?と自分を見つめなおすのです。
今、夫が「あれをしてくれない、これをしてくれない、てゆーか死ね!」って
思っている奥様方にはぜひ観ていただいて、彼女たちのように結婚生活を振り返っていただきたいものです。
アディは声や後姿のみで実際には登場しません。
残念な(?)ことに、この映画誰も死にませんが
謎かけをしたミステリータッチとも思える脚本はテンポよくお見事です。
スタッフ・キャスト
監督、脚本はジョセフ・L・マンキーウィッツ、「イヴの総て」など名作ぞろいです。マンキーウィッツはこの映画で、第22回アカデミー賞監督賞、脚色賞を受賞しています。
美人なのにセンスが残念な新妻役のジーン・クレインはアメリカ人女優。1945年にジーン・ティアニー主演のフィルム・ノワール「哀愁の湖」に出演。「三人の妻への手紙」の同年にエリア・カザン監督の映画「ピンキー」に出演。見た目が白人に見える黒人女性を熱演し高く評価されました。
キャリアアップを目指す脚本家のリタを演じるのはアン・サザーン。明るい役の似合う女優さんで晩年まで長く活躍。1987年のリンゼイ・アンダーソン監督の「八月の鯨」ではリリアン・ギッシュ、ベティ・デイヴィスの老姉妹のお友達役で出演しておりました。
若い資産家の妻を演じるリンダ・ダーネルは官能的な美人。その特徴を活かした役が多く、個人的なベスト・オブ・西部劇「荒野の決闘」(1946年)で演じたドク・ホリディの情婦役チワワが印象的でした。
妻役の3人とも有名女優ですが、
わたしが注目したのは、「裏窓」で大活躍したお手伝いさんセルマ・リッターがここでもやっぱりお手伝いさん役で出ています。
ジョージ役のカーク・ダグラスは現在100歳超えの大御大。マイケル・ダグラスのお父さんで先日元気なお姿でテレビ出演されていました。
まとめ
密告手紙で地獄行き
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