赤ずきんに気をつけて「狼男」

怪奇

占いは悪い方を信じるタイプです。

[原題]The Wolf Man
[製作年]1941[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開
[監督・製作]ジョージ・ワグナー
[脚本]カート・シオドマク
[上映時間]70

主な登場人物

ローレンス・タルボット(ロン・チャイニー・ジュニア):
通称ラリー。兄の死により実家に戻ってきた善良な男。狼に噛まれ狼男になってしまう。

ジョン・タルボット卿(クロード・レインズ):
ローリーの父親で現当主。

グエン(イブリン・アンカース):
雑貨屋の娘。ローリーと恋仲になる。

その他の登場人物

ベラ(ベラ・ルゴシ): ロマの占い師
ロイド(ウォーレン・ウィリア):医師
ポール・モンフォオード(ラルフ・ベラミー):警部
マレーバ(マリア・オースペンスカヤ): ロマの老婆

あらすじ

文献によると狼憑きとは自分が狼であると思い込んでしまう精神病だとされている。タルボット城の近くの小さな村では今でも狼男にまつわる恐ろしい事件があるというのだ。タルボット城に到着したのは現当主ジョン卿の息子ローレンス(ラリー)だった。卿と友人でもあるモンフォオード警部が快く出迎えた。タルボット家は代々長男が家を継ぐことになっておりそれが不満なら家を出るしかなかった。しかし兄の死によりラリーは18年ぶりにアメリカから戻って村の発展のために尽力するというのだ。ロンドンから届いた天体望遠鏡を設置し村の人々を観察。コンリフ骨董品店にいた若い女性をのぞき見して気に入ったラリー。すぐさま店に出向き彼女に声をかける。特に買うものはなかったが純銀の狼と星が着いたステッキを見つけどんな意味がと彼女に聞くと、狼と五線星形は狼男の象徴だという。狼男の話にラリーは赤ずきんの話を持ち出すが、彼女は他にもあると古い詩の一節を口ずさむ。「清らかな心の男が祈りをささげる トリカブトの咲く月夜に狼にならんことを」星の意味を尋ねると次に狼男の犠牲者になる人の手のひらに現れるという。ステッキを買いしつこく誘うラリーをかわしながら店の外に出るとロマの人々が村にやってきていた。彼らは占いをしてくるというのでラリーは彼女を8時に迎えに来ると行って城に戻った。ジョン卿にその話をすると彼女と同じ詩を口ずさんだ。ジョン卿から彼女はグエンだと聞かされ8時に店の前に行くと、グエンの後ろから友人のジェニーが現れ一緒に占いをしたいという。三人で歩いているとトリカブトを見つけジェニーもあの詩を口ずさんだ。この村で伝説を知らないものはいなかった。ロマの野営場に着きまずジェニーが占ってもらった。ジェニーが見てもらっている間二人で散歩に行くことに。望遠鏡で覗いていたことを明かすが、グエンにはすでに婚約者がいるという。一方、結婚を占っていもらっていたジェニーは占い師のベラが顔をくもらせ明日来なさいとだけしか話さない。ベラには彼女の右手に星が見えたのだ。そこからすぐに立ち去ったジェニーだが狼の鳴き声が聞こえ彼女の悲鳴があった。助けに行ったローリーは杖で叩きのめすが自分も噛まれてしまう。

どんな映画?

魔人ドラキュラ」や「フランケンシュタイン」で成功したユニバーサルが、今度はこちらの「狼男」でまたもや大ヒット。
これで「怪物くん」ファミリーが出揃います♪

兄の死により実家に戻って来たラリー。タルボット家は代々長男が城を継ぐことになっていたからです。

ラリーが望遠鏡で街をのぞいてみるとタイプの女性が。
早速彼女の雑貨屋を訪れます。
雑貨屋の娘グエンにナンパ気味に声をかけ、ステッキを買おうとします。
そのステッキの持ち手は狼に五芒星が。

グエンは村には狼男の言い伝えがあると語ります。
あまり気にせずグイグイ迫るラリー。

ちょうどロマが通りかかり
占いをしてもらえると語るグエン。
ほな、占ってもらおうとその夜
グエンの友人ジェニーと一緒に3人でロマのキャンプに。

初代ドラキュラで有名なベラ・ルゴシが占い師として登場しております。

結婚運を占ってもらっていたジェニーの手に五芒星が現れ、占い師のベラは彼女を追い出します。
しかし、ジェニーは狼に襲われ助けに入ったラリーが狼に噛まれてしまい…

そしてラリーはー

ホラーの系統として、怪物に襲われる恐怖を描くパターンと自身が怪物になってしまう恐怖を描くパターンがありますが、こちらは後者。主人公が善人であればあるほど見終わった後の悲壮感が増していきます。
1981年のジョン・ランディス監督の「狼男アメリカン」でも狼男に襲われる大学生が悲しいです。

スタッフ・キャスト

監督のジョージ・ワグナーはこの映画のヒットで有名になりました。その後はロン・チャイニー・ジュニアで「フランケンシュタインの幽霊」(1942年)、「フランケンシュタインと狼男」(1943年)を製作しております。

主演の哀しき狼男を演じたロン・チャイニー・ジュニアは、サイレント映画で怪奇俳優として活躍したロン・チャイニーの息子です。

ロン・チャイニーは1925年の「オペラの怪人」のファントム役で有名です。


1941年に出演したこの「狼男」の主演を射止め映画は大ヒットし、一躍怪奇スターの仲間入りを果たしました。その後立て続けに「フランケンシュタインの幽霊」、「ミイラの墓場」「フランケンシュタインと狼男」「夜の悪魔」「執念のミイラ」「フランケンシュタインの館」など、フランケンシュタインの怪物や、ドラキュラ、ミイラなどモンスターを演じました。晩年も活躍されましたが、中でも個人的に印象深いのが今ではカルト映画とされるロジャー・コーマン組のジャック・ヒル監督の「スパイダー・ベイビー」(1968年)での執事役です。

そこまで歳の差がないにもかかわらず父親役のクロード・レインズ。イギリス出身の俳優ですが、1933年にボリス・カーロフの代役としてジェイムズ・ホエール監督の「透明人間」に主演。ほとんど包帯だらけで顔がよくわかりませんがこの映画により広く名前が知られるようになりました。その後も「情熱なき犯罪」(1934年)「幻の合唱」(1935年)に主演、犯罪者役ですが、1943年には「オペラの怪人」のエリック役で主演しております。また、ヒッチコック監督の「汚名」(1946年)でもアクの強い悪役を演じていました。

ヒロインのイブリン・アンカースはイギリス出身の女優さんで、当時B 級映画の女王を知られていました。1950年代までに多くの怪奇映画に出演しましたが、32歳で結婚して引退しております。

狼男シリーズ

1 狼男(1941年)
2 フランケンシュタインと狼男(1943年)
3 フランケンシュタインの館(1944年)
4 ドラキュラとせむし女(1945年)
5 凸凹フランケンシュタインの巻(1948年)

まとめ

狼に噛まれて地獄行き

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