怪優幻魔大戦「忍者と悪女」

怪奇

おバカ対決なら負ける気がしません。

[原題]The raven
[製作年]1963[製作国]アメリカ
[日本公開]1965
[監督・製作]ロジャー・コーマン
[原作]エドガー・アラン・ポー
   「大鴉」
[脚本]リチャード・マシスン
[撮影]フロイド・クロスビー
[編集]ロナルド・シンクレア
[音楽]レス・バクスター
[上映時間]86

主な登場人物

エラスムス・クレイブン博士(ヴィンセント・プライス):
妻レノアの死を嘆く魔術師。娘のエステラと暮らしている。

アドルファス・ペドロ博士(ピーター・ローレ):
魔術師。スカラバスとの魔術戦に敗れて鴉の姿に変えられてしまったと言う。

その他の登場人物

スカラバス(ボリス・カーロフ):魔術師
レックスフォード(ジャック・ニコルソン):ペドロ息子
エステラ・クレイブン(オリーブ・スタージェス):クレイブンの娘
レノア・クレイブン(ヘーゼル・コート):クレイブンの後妻

あらすじ

寝付けないある夜誰かが扉を叩く音がする。寒い12月の頃、読書に明け暮れていてもレノアを失った悲しみは癒えなかった。カーテンの衣擦れが恐怖を呼び「夜更けの訪問者が扉を叩くのだ」と。魔術師のクレイブン博士は、2年前に亡くなった妻レノアを想い帰ってきてくれと肖像画に呼びかける。そこにクレイブンの娘エステラがもう2年も経っているのにと声をかける。エステラにとって継母だったレノアだが、クレイブンにとってはかけがえのない存在だったと嘆いた。また一人部屋に戻ったクレイブンだったが、また誰かが扉を叩く音がする。どうぞと扉を開けるが誰もおらず、窓を見ると一羽のカラスがおり、窓を開けカラスを招き入れた。するとカラスは喉が渇いたワインをくれとせかした。実は魔法でカラスに変えられた男で、クレイブンに魔法を解いてくれと頼む。死んだ父親の実験室になら元の姿に戻す道具があるかもとカラスを連れて20年間入らなかった地下室に向かった。実験室にあった「死人の毛」や「クモのゼリー」、「ハゲワシの舌」「白イタチの目」などカラスの言う通り処方し煮出した汁を作成。カラスはそれを飲むと顔がべドロ博士に戻った。ペドロはクレイブンと同じ魔術師で、魔術師の大会で会ったことがある人物だった。しかし薬が足りず体はまだカラスのままだった。責任をとってまた薬を作れと述べるペドロだったが、肝心の「死人の毛」が足りず墓場行けと言う。そこでクレイブンは地下室に父親の棺があるから大丈夫だと提案。一緒に地下室に向かう間、ペドロはカラスになった経緯を話した。魔術師同盟の同志としてスカラバス博士の城を訪れたペドロは、魔術のことで言い合いになり試合を挑んだが、自分が道具を用意する間にスカラバス博士は指で魔法をかけペドロをカラスに変えてしまったという。クレイブンは、スカラバス博士は父親の代からの宿敵で今まで避けていたという。クレイブンが、父親の棺を開け髪を切ろうとすると父親のミイラがクレイブンの襟元を掴み「用心せよ」と忠告する。父親の髪のおかげですっかり元に戻ったペドロは自分の魔術の道具を取り戻すことと、報復のためスカラバス博士の城に戻ると言う。やめておけというクレイブンに助っ人を頼むが、とんでもないと断る。しかしペドロからスカラバス博士の城で死んだはずのレノアを見たと聞き一緒にスカラバスの城に向かうことに。そこに娘のエステラが現れ危険だと止めるが二人とも聞き入れない。しかし下僕が魔法で操られ三人に襲いかかったため、家には置いておけず一緒に行くことに。ちょうどそこに、今度はペドロの息子レックスフォードが母親から父親を連れて帰るように言われてきたとやって来る。成り行きで四人でスカラバスの城に向うことになったのだが。

どんな映画?

ポーの幻想詩「大鴉」にインスパイア(?)されて低予算映画の帝王ロジャー・コーマンが監督・製作したホラー・コメディ。脚本にはSF作家のリチャード・マシスンが参加し、怪奇映画俳優ヴィンセント・プライスと、5年ぶりの映画出演のボリス・カーロフ、若き日のジャック・ニコルソンが出演していることでも知られています。

2年前に妻レノアを亡くし隠遁生活を
送る魔術師のクレイブン。
ある夜 窓を叩くカラスに気づき
窓を開けて部屋に入れてやります。
するとカラスが喋り始め
クレイブンに自分を元の姿に戻す
薬を作れと指示してきます。

人使いの荒い鴉に
お人好しの感があるクレイブンは
薬を作るために亡き父親の実験室に
向かいます。
カラスに言われた通りに処方して
薬を作成
それを飲んだカラスは何と
小さいおっさんの姿に!
顔だけ

薬が足りなかったようで
気を取り直してクレイブンの父親の
髪の毛で作った薬で
おっさんは元通りの姿に。
おっさんは魔術師のペドロで
クレイブンとは顔見知りでした。
ペドロは魔術師のスカラバスとの
魔法対決に敗れてカラスの姿に
変えられたと話すのですが…

ビビビビー

ホラー・コメディなのでほとんどバカしか出てきません。
アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)によってリリースされ、ロジャー・コーマン監督のポー・シリーズでは、ヴィンセント・プライス主演でそれまでホラー路線で来ていたのですが、ポーの詩「大鴉」をリチャード・マシスンの脚本で悪ノリ感のあるコメディに改変。「フランケンシュタイン」(1931年)でフランケンシュタインを演じたことで知られるボリス・カーロフが出演していますが、ボリス・カーロフはルー・ランダース監督の1935年の同タイトルのホラー映画「大鴉」にも出演しています。内容は全く関係ありませんが。

内容自体はくだらなく、暇だったら観てもいいかもと言う程度の作品だと思われますが、一部のファンからは熱烈に歓迎される作品です。意外(?)と公開当時も思いの他評判が良かったようです。
日本での公開時に魔法使いが忍者になっており、内容が全く理解できないタイトルになっております。おそらく魔術より忍術の方が日本人に受けいれ易いからだと思われますが、ヴィンセント・プライスが忍者王って一体?!

ラストの城炎上シーンは、ロジャー・コーマン監督お得意の「アッシャー家の惨劇」(1960年)のシーンを再利用しています。

スタッフ・キャスト

低予算映画の帝王ロジャー・コーマンが1960年代に監督した、AIP8本のエドガー・アラン・ポーの原作の「コーマン・ポー」映画の5作目が「忍者と悪女」(1963年)になります。 コーマンが監督した8本のポー作品と元にしたポー作品が
1.「アッシャー家の惨劇」(1960年)→「アッシャー家の崩壊」
2.「恐怖の振子」(1961年)→「落とし穴と振り子」
3.「姦婦の生き埋葬」(1962年)→「早すぎた埋葬」
4.「黒猫の怨霊」(1962年)→「モレラ」「黒猫」
5.「忍者と悪女」(1963年)→「大鴉」
6.「怪談呪いの霊魂」(1963年)→タイトルがポーの詩
7.「赤死病の仮面」(1964年)→「赤死病の仮面」
8.「悪猫の棲む館」(1964年)→「ライジーア」
3番目の「姦婦の生き埋葬」以外は全てヴィンセント・プライスが主演しています。ちなみに「姦婦の生き埋葬」では主演がレイ・ミランドです。

タイトルにある悪女役のレノアを演じているのが、イギリス人女優のヘイゼル・コート。1950年代から1960年代までのゴシックホラー作品に出演された女優さんとして知られています。代表作には、テレンス・フィッシャー監督、ピーター・かシング、クリストファー・リー出演の「フランケンシュタインの逆襲」(1957年)や、同じくテレンス・フィッシャー監督の「The Man Who Could Cheat Death」(1959年)などに出演。ロジャー・コーマンのポー・シリーズでは1962年の「姦婦の生き埋葬」や1964年の「赤死秒の仮面」にも出演されています。私生活では、アメリカ合衆国の俳優で映画監督のドン・テイラーの妻で、テイラーがお亡くなりになるまで添い遂げました。

まとめ

おバカ魔法対決で地獄行き

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