私が吸血鬼になっても「地球最後の男」

怪奇

真っ先に逃げて転ぶタイプです。

[原題]The Last Man on Earth
[製作年]1964 [製作国]アメリカ・イタリア
[日本公開]劇場未公開
[監督]シドニー・サルコウ/ウバルド・ラゴーナ
[原作・脚本]リチャード・マシスン(脚本はローガン・スワンソン名義)
[製作総指揮]サミュエル・Z・アーコフ
[音楽]ポール・ソーテル/バート・シェフター
[上映時間]86

主な登場人物

ロバート・モーガン(ヴィンセント・プライス):
科学者。昼間にバンパイア狩りを行っている。

その他の登場人物

ルース・コリンズ(フランカ・ベットヤード):新人類のスパイ
ヴァージニア(エマ・ダニエリ):モーガンの妻
ベン・コートマン(ジャコモ・ロッシ=スチュアート):モーガンの友人、同僚
キャシー・モーガン(クリスティ・コートランド):モーガンの娘

あらすじ

死体が横たわる閑散とする大都市。目覚ましを止めたモーガンにまた同じような一日が始まる。この生活は1965年の12月から始まりもう3年も続いているという。モーガンは車にガソリンを入れ、先を鋭利に尖らせた杭をカバンにしまった。古いニンニクで家を防御し庭に転がっている遺体を車に載せ、新しいニンニクとガソリンを仕入れに街へ向かった。ガスマスクを装着したネビルは崖下の焼却場に遺体を投げ入れ燃やした。誰もいないスーパーマーケットからニンニクを調達し、夜になる前に今度は鏡を調達した。モーガンは民家に入り生きる屍となった者たちの心臓に次々と杭を打ち遺体を崖に投げ入れ燃やし続けた。夜になり家に戻ったモーガンだったが休む暇もなく、今度は生きる屍たちが次から次へとモーガンの家を取り囲んだ。窓ガラスを割って入ろうとするがニンニクなどで防備されている家には入ってこれない。そんな生活を続けるモーガンに披露の色が隠せなかった。翌朝憔悴しきったモーガンは教会に向かい妻のヴァージニアに想いを馳せた。うっかり居眠りをしてしまったモーガンは慌てて外に飛び出すがすでに日が暮れてしまい、墓場からは多くの屍が這い出しモーガンに襲いかかった。家に戻ったモーガンは8ミリ動画でまだ幸せだった頃の妻と娘のキャシーを見て笑い涙する。すべての始まりは3年前、モーガンは娘キャシーの誕生日パーティーを開いていた。そこにモーガンの同僚ベンがプレゼントを持ってやって来た。ベンはモーガンに伝染病により数百人の死亡者が出ているという新聞記事を見せる。ウイルスが風で運ばれるという記事に科学者のモーガンは推測にすぎないと否定的だった。やがてウイルスが広がり娘のキャシーが感染し寝たきり状態になってしまった。モーガンはマーサー科学研究所でウイルスの研究を行っていたが有効な手段を見つけられないでいた。ベンは感染者は昼間の明かりを嫌がり、死亡者は埋葬後夜中に生き返る吸血鬼になると聞いていると述べるが、ここでもモーガンは噂に過ぎないと否定するのだが。

どんな映画?

アメリカのSF小説の大家リチャード・マシスンの長編小説「吸血鬼」の初の映画化作品です。
主演にエドガー・アラン・ポー原作の映画化作品で知られるホラー界の重鎮ヴィンセント・プライスが主演していますが、撮影はイタリアのローマで行われれ、ヴィンセント・プライス以外のスタッフ・キャストは主にイタリア人が担当し低予算で製作されています。

モーガンは一人戦っていました。
家の中はニンニクを飾り鏡でガード
木の先を尖らせた杭をカバンの中に入れてGO。
昼間は家の前や道路に死体が転がっています。
その遺体を拾っては丘の下の焼却場に投げ入れます。
民家に侵入し横たわる遺体にトドメを刺すため
杭を打ち込みます。

しかし夜になると遺体は這い上がり
モーガンの棲む家に群がり次々と襲いかかるです。

絶望的な毎日にモーガンは3年前を振り返ります。

3年前科学者のモーガンには美しい妻と年の割には 幼い娘の幸せな家庭がありました。
しかし、謎の伝染病が発生しすぐにモーガンの娘や 妻を蝕みます。

なぜ自分だけが生き残ったのか?

モーガンが火葬をためらった妻マージの遺体が吸血鬼になって家に戻って来ちゃいます♪

原作者マシスンも脚本に参加しており、ほぼ原作を踏襲したストーリーとなっていますが、主人公の名前はロバート・ネビルからロバート・モーガンに、職業が工場勤務から科学者に変更されています。しかしながらマシスンはこの映画の出来に満足しておらす、脚本もリチャード・マシスンは使わずローガン・スワンソン名にしています。

吸血鬼というより、夜に這い出しゆっくり歩く、集団で襲いかかる様はまさにゾンビそのもので、後のジョージ・A・ロメオ監督のゾンビ映画の金字塔「ナイト・オブ・ザ・リビングデット」(1968年)に踏襲されています。
映画自体の評価は公開当時それほど高くなかったようですが、死体が蘇り集団で家を襲撃、その中で生存者が格闘する場面や、8ミリで在りし日の家族の姿を観ながら涙するシーン、妻が生きる屍になって戻って来るシーンなど後の映画の定番がこの映画にみられ、価値あるホラー映画の一本になっています。

その後2本リメイクされ、1971年にチャールトン・ヘストン主演の「地球最後の男 オメガマン」、2007年にウィル・スミス主演の「アイ・アム・レジェンド」としてリメイクされています。

スタッフ・キャスト

原作はSFやホラー小説の重鎮リチャード・マシスン。1953年に長編小説「愛人関係」を発表。この小説は1974年にフランスでアラン・ドロン、ミレーユ・ダルく主演で映画化されています。1957年には「縮みゆく男」が映画化され、エドガー・アラン・ポー原作ロジャー・コーマン監督の「アッシャー家の惨劇」(1960年)、「黒猫の怨霊」(1962年)、「忍者と悪女」(1963年)の脚本に参加。また、スティーヴン・スピルバーグが監督したテレビ映画「激突!」の原作、脚本。パメラ・フランクリンが出演したホラー映画「ヘルハウス」(1973年)の原作、脚本を担当しています。また異色ロマンティックSF作品「ある日どこかで」(1980年)の原作としても知られ、こちらの映画ではカメオ出演されています。

監督の一人であるシドニー・サルコウはアメリカの映画監督、脚本家、プロデューサー。1940年代に当時人気のあった俳優ウォーレン・ウィリアムが主演した「ローンウルフ」シリーズを監督。
「地球最後の男」製作の前年の1963年に同じくヴィンセント・プライス主演のホラー・アンソロジー映画「恐怖の夜」を監督しています。また、もう一人の監督のウバルド・ラゴーナはイタリア出身の映画監督兼脚本家。主にドキュメンタリーを製作。「地球最後の男」ではイタリア語版の脚本にも参加しています。

主演はホラー界の重鎮ヴィンセント・プライス。「地球最後の男」は当時あまり評価を得られていませんでしたが、ご本人はこの役がお気に入りだったようです。この映画の同年にはロジャー・コーマン監督の「赤死病の仮面」と「黒猫の棲む館」に出演されています。

モーガンの友人ベンを演じたのはイタリアの俳優ジャコモ・ロッシ=スチュアート。長身のイケメン俳優でイタリアではマカロニ・ウエスタンからホラーまで数多くの映画に出演されています。また、イタリアのイケメン俳優で映画監督でもあるキム・ロッシ=スチュワートはこのお方の息子さんです。

まとめ

生き残っても地獄行き

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