俳優は吸血鬼「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」

怪奇

完璧主義の人って
困るのは周りの人たちです。

[原題]Shadow of the Vampire
[製作年]2000[製作国]アメリカ・イギリス・ルクセンブルク
[日本公開]2001
[監督]E・エリアス・マーヒッジ
[脚本]スティーヴン・カッツ
[製作]ニコラス・ケイジ/ノーマン・ゴライトリー他
[音楽]ダン・ジョーンズ
[上映時間]92

主な登場人物

F・W・ムルナウ(ジョン・マルコビッチ):
映画黎明期のドイツを代表する映画監督。完璧主義。

マックス・シュレック(ウィレム・デフォー):
吸血鬼オルロック伯爵役の俳優。実は本物の吸血鬼だった。

その他の登場人物

フリッツ・ワーグナー(ケイリー・エリウィス):新しいカメラマン
グルタフ・フォン・ヴァンゲンハイム(エディー・イザード): 主人公フッター役
アルビン・グラウ(ウド・キア):プロデューサー
グレタ・シュレーダー(キャサリン・マコーマック):エレン役

あらすじ

1921年ベルリンのジョファ映画スタジオ。ドイツの偉大な映画監督フリードリヒ・W・ムルナウは小説「ドラキュラ」の映画化権を断られてしまう。そのためムルナウは主演をオルロック伯爵、タイトルを「ノスフェラトゥ」として撮影を開始。それは、かつてないほどの吸血鬼映画を創り出しーオープニングを撮影しているセットの中、ヒロイン・エレン役のグレタは不満だった。舞台出身の彼女は映画のカメラは活力を奪う気がすると言うのだ。しかし監督のムルナウはヒロインは激しい苦痛の中究極の愛を見出す難しい役所だが、演じ切ることができれば大女優になれると諌めた。監督はさらに主演の吸血鬼オルロック伯爵にラインハルト社にいたマックス・シュレックに決めていた。性格俳優のシュレックは単独で行動し撮影開始後はメイクと衣装で押し通し、撮影は夜のみとし徹底するという。吸血鬼として。遥々チェコのロケに向かったムルナウ一行は森の奥深くの古城に到着。早速主人公のフッターがオルロック伯爵の城を訪ねるシーンの撮影を開始するが、村人の婦人がセットの中に入ってきてしまう。彼女が言うには部屋の十字架を勝手に動かされては困ると言うのだ。場面にそぐわないと説得し撮影を続ける。とうとうオルロック伯爵役のマックス・シュレックが紹介された。青白い顔に異様に長い指とかなり特異な風貌だった。撮影が開始されシュレックはまるで本当のオルロック伯爵のようだった。

どんな映画?

1922年にドイツで完成された世界初の吸血鬼映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」の製作過程をもしも主演のマックス・シュレックが本物の吸血鬼だったら?と言うトンデモ設定で、E・エリアス・マーヒッジが監督した映画となっております。また、俳優のニコラス・ケイジが製作に名前を連ねております。

1921年ドイツの監督F・W・ムルナウは
「吸血鬼ドラキュラ」の映画化に乗り出していました。
撮影を開始しますが
主演女優のグレタは不満タラタラの薬漬け
吸血鬼ことオルロック伯爵役の
マックス・シュレックは役に成りきるため
初めからメイクをして登場シーンからの
参加だと言います。

クルーたちも
マックス・シュレック って誰?状態
そんなことお構いなしに
イケイケどんどんのムルナウ。
チェコの森の中に分け入って
とある村で撮影を開始します。

満を辞して登場した
マックス・シュレック。
メイクしているとはいえ何か

怪しい…

まるで本物の吸血鬼みたいなんだけどー

次第にムルナウの指示を聞かなくなってくるマックス・シュレック

F・W・ムルナウがブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」を映画化しようと意気込みますが、ストーカーの未亡人に著作権侵害で訴えられてしまいます。映画を作ってしまったムルナウは苦肉の策でタイトルを「吸血鬼ノスフェラトゥ」に改題し、主演のマックス・シュレックもオルロック伯爵に、ヒロインやその他の登場人物の名前も変えて公開します。この映画は最高のホラー映画として、監督のムルナウは後世に名を残すことになります。
当然、実在する俳優マックス・シュレックが本当の吸血鬼という事実はないのですが(たぶん)、この映画ではムルナウが本物の吸血鬼と取引してまでも映画を作り上げようという様は、迫真を通り越してほとんどギャグです。
また、本家「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922年)をご覧になってからこの映画を観るともっと笑えるかもしれません。

スタッフ・キャスト

監督はアメリカ出身のE・エリアス・マーヒッジ。1989年に実験的白黒ホラー映画「Begotten」を監督。この映画は鬱系カルト映画として一部の知られているそう。また2004年にはアーロン・エッカート主演でサスペンス映画「サスペクト・ゼロ」を監督しています。

実在の映画監督F・W・ムルナウを演じたのはアメリカの個性派俳優ジョン・マルコヴィッチ。マルコヴィッチといえば髪の薄さが印象的でしたが、1988年のスティーヴン・フリアーズ監督の「危険な関係」ではプレイボーイのヴァルモン子爵を演じています。1990年にはベルナルド・ベルトルッチ監督のイギリス・イタリア合作映画「シェルタリング・スカイ」でヒロインの夫役で出演。1996年に再びスティーヴン・フリアーズ監督の「ジキル&ハイド」でジキル博士を演じています。1999年にはスパイク・ジョーンズ監督のカルト映画「マルコヴィッチの穴」にジョン・ホレイショ・マルコヴィッチとして出演。この映画は穴がマルコヴィッチに繋がってしまうと言うトンデモ設定。今でも広く活躍されています。

プロデューサーのアルビンを演じていたのはドイツ出身の俳優ウド・キア。俳優活動初期はポール・モリセイ監督の「悪魔のはらわた」(1973年)、「処女の生血」(1974年)に主演。前者はフランケンシュタイン、後者は吸血鬼を題材にしたエロ、グロ、コメディホラーと特殊なジャンルを築いており、かなりインパクトの強い映画ですが出演者のビジュアルが皆素晴らしいのが特筆するところです♪ その後、ダリオ・アルジェント監督のホラー映画「サスペリア」(1977年)、「サスペリア・テルザ 最後の魔女」(2007年)に出演、ホラーから大作、コメディまで脇ですが重要なアクセント役として多くの映画に出演。若い頃のウド・キアは端正な顔立ちの美貌が際立って、逆に気持ち悪いという特性を活かした役柄が多い気がします。

主演女優のグレタ・シュレーダーを演じたのはイギリス人女優のキャサリン・マコーマック。1995年にメル・ギブソンが主演・監督した「ブレイブハート」のヒロイン役として映画デビュー。1998年には「娼婦ベロニカ」で主演のヴェロニカを演じ、大胆なヌードを披露しています。現在は舞台と実力派女優として活躍されていますがこの頃のキャサリン・マコーマックは若く美しく輝いていらっしゃいましたネ。

まとめ

映画のために周りが地獄行き

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