生き埋め地獄「姦婦の生き埋葬」

怪奇

生き埋めにさせないように
正しい落とし穴の作り方は
心得ておきたいものです。

[原題] Premature Burial
[製作年]1962[製作国]アメリカ
[日本公開]1964
[監督・製作]ロジャー・コーマン
[製作]サミュエル・Z・アーコフ
[原作]エドガー・アラン・ポー
[脚本]チャールズ・ボーモント/レイ・ラッセル
[撮影]フロイド・クロスビー
[音楽]ロナルド・シンクレア
[上映時間]81

主な登場人物

ガイ・キャロル(レイ・ミランド):
キャロル家の当主。家系に伝わる「硬直症」という奇病があり、仮死状態で埋葬されるのを極端に恐れている。

エミリー・ゴールド(ヘイゼル・コート):
病気は気にしないとガイの妻になる。献身的に夫のガイを支えようとするのだが…

その他の登場人物

ケイト(ヘザー・エンジェル):ガイの妹
ゴールド博士(アラン・ネイピア):エミリーの父
モグラ(ディック・ミラー):墓掘り
マイスター(ブレンダン・ディロン):墓掘り
マイルズ・アーチャー(リチャード・ネイ):医師、ガイの友人

あらすじ

ガイの屋敷を訪れたエミリー。ガイの妹ケイトが出迎えるが、ガイとは会えないと断られてしまう。ガイとの結婚を望んでいたエミリーはそれでは納得がいかないと、半ば強引に屋敷に入った。ケイトはガイから自分の一族には持病の「硬直症」があり、それは仮死状態になる奇病だという。その為実際に死んではいないのに医師に死亡したと診断され、自分の父親も生きたまま埋葬にされてしまったのではないかと語る。研究心から父親の棺を開けたガイは、生き埋めにされた父親が悶え苦しんだ形跡を見て、その恐怖から誰かと家庭も持つことは考えられないと述べる。しかし、エミリーは自分が看病すると強い意志を示し、ガイは承諾して二人は結婚式を挙げた。花嫁のエミリーが「モリー・マローン」をピアノで弾くとガイは不快になり、エミリーに演奏をやめさせ自室に戻った。その夜、嵐の中物音がしたためガイが外に出てみると、ケイトの足元に飼い犬が倒れていた。埋葬してやらないと言った瞬間、犬は起き出して走って行った。気絶していただけだったのを埋葬していたらと考えたガイはゾッとしていた。エミリーはガイの様子がおかしいと、ガイの友人であるアーチャー医師を呼び治療に協力してほしいと依頼する。二人で離れに作られてガイが籠っている部屋を訪れた。ガイはこの部屋で自己治療をしていると二人に述べる。ガイは自分が「硬直症」で埋葬された時のために、中から開けられる棺など不思議な装置と、最後には毒の入った盃を見せた。屋敷に戻ったエミリーとアーチャー医師は二人でお茶を飲みながら、アーチャーは使っていいと言われていた地下の研究室を使用するためにこれからも度々訪問するとエミリーに伝えた。エミリーは喜んでいたが、部屋の外ではケイトが聞き耳を立てていた。アーチャー医師はカエルの電流実験をガイに見せ、二人でベニスに新婚旅行でも行けば解決すると述べた。ガイとエミリーが二人で森を散歩していると物音に気付きガイは一人森の奥に走り出したガイは怪しい墓掘りたちと会い、倒れ込んでしまう。気づくと棺の中に入っていたガイは慌てて暴れ棺から出るが自分の部屋は朽ち果て毒の入った杯は虫がこぼれ落ちた。気づくと男たちはおらずエミリーが声をかけた。エミリーはガイにこんな不吉な部屋は取り壊してとガイに涙ながらに訴え部屋を爆破する。

どんな映画?

ロジャー・コーマン監督がアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)で製作した、8本のエドガー・アラン・ポーシリーズの中の3作目になります。

ガイはある目的の為
自分の父親の墓を暴くことにしました。
棺は掘り起こされ
蓋を開けるとその裏には
いくつも血のついた引っ掻き傷が
そして棺の中のミイラは
苦しんで死んだような
苦悶の顔を浮かべていたのです。

疑惑を確信したガイは
恋人のエミリーを遠ざけます。
納得いかん!
と無理くり屋敷を訪れたエミリー
ガイの妹ケイトはいい顔をしません。

ガイはエミリーに
一族に伝わる「硬直症」という
仮死状態になる奇病があると
伝え結婚はできないと話します。
そんなのカンケーねーと
逆プロポーズしたエミリー
半ば強引にガイと結婚。

しかしガイは生きながら
埋葬されてしまう恐怖から
次第に奇行が目立つようになり…

とうとう生きたまま埋葬されてしまうガイ

エドガー・アラン・ポーが1844年に発表された短編小説「早すぎた埋葬」から着想を得て、ロジャー・コーマン監督が映画化。ヨーロッパでは埋葬の際、土葬が一般的であるため、実際は死んでしないのに埋葬され、生き埋めになったまま土の中に埋められる恐怖心は根強くあったそうです。日本では現在火葬が主流ですが、生きたまま火葬も辛いですネ。 そんな恐怖心を根底として、仮死状態に陥る奇病を持ち常に生き埋めの恐怖に苛まれている主人公を、名優レイ・ミランドが熱演(?)されております。特に作中の幻想シーンは高い評価を得ています。 ラストのレイ・ミランドによる怒涛の復讐劇も、「ダイヤルMを回せ!」(1954年)の妻の殺害を計画する夫や、「X線の眼を持つ男」(1963年)でのマッドサイエンティスト役を演じた説得力。 原題のタイトルは「Premature Burial(早すぎた埋葬)」であるものの、日本では「姦婦の生き埋葬」とされてしまいネタバレしてしまっています。

劇中エミリーが結婚式でピアノを弾くシーンがあるのですが、その曲をガイが激しく拒否します。エミリーが弾いた曲「モリー・マローン」は、アイルランドのダブリン市に伝わる曲で、熱病で死んだ若く美しいモリーが、幽霊となって一輪車を押して貝を売り続けるという内容のものです。

スタッフ・キャスト

ガイの妹ケイトを演じたのはイギリス人女優のヘザー・エンジェル。1935年にクロード・レインズ主演の「幻しの合唱」や、ジョン・フォード監督の「男の敵」に出演。1941年のアルフレッド・ヒッチコック監督の「断崖」のメイド役での出演や、1944年公開の「救命艇」では、赤ん坊を亡くしたばかりの若い母親役を演じています。

ガイの友人アーチャーを演じたのはアメリカ人俳優のリチャード・ネイ。俳優としてはあまり有名なお方ではありませんが、1942年に出演した「ミニヴァー夫人」で、ミニヴァー夫人の長男ヴィンを演じています。この映画で母親役のミニヴァー夫人を演じたグリア・ガースンと恋愛に発展。翌年には年の差婚を果たしましたが、結婚生活は短命に終わったことで知られている俳優さんです。その他の映画出演は、ジェーン・フォンテインが悪女を演じたフィルム・ノワール「アイヴィー」(1947年)や、ヴィックター・フレミングが監督した「ジャンヌ・ダルク」(1948年)などに出演しています。

墓掘り役でちょこっと登場しているのは、ロジャー・コーマン監督作品常連のアメリカ合衆国の俳優兼脚本家のディック・ミラー。ロジャー・コーマン監督作品では、「荒野の待伏せ」(1955年)、「早射血女拳銃」(1956年)、「金星人地球を征服」(1956年)、「美女とエイリアン」(1957年)、「ごろつき酒場」(1957年)、「悪魔と魔女の世界」(1957年)とほぼちょいやくですが立て続けに出演。それから、今やカルト映画として知られる「血のバケツ」で主演のウェイターを演じ不気味な存在感を発揮しました。その他「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1960年)、「古城の亡霊」(1963年)、「X線の眼を持つ男」(1963年)、「ワイルド・エンジェル」(1966年)、「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」(1967年)、「白昼の幻想」(1967年)などにも出演しています。また、ロジャー・コーマン監督作品だけでなく、デイヴィッド・ミラー監督の「ダラスの熱い日」(1973年)、マーティン・スコセッシ監督の「ニューヨーク・ニューヨーク」(1977年)、ジョー・ダンテ監督の「ピラニア」(1978年)、「ハウリング」(1981年)、「グレムリン」(1984年)などにも出演され、2019年に90歳でお亡くなりになるまでに200本近くの映画にご出演されました。

まとめ

復讐の鬼と化して地獄行き

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