ねずみ男の恐怖「ノスフェラトゥ」

怪奇

昔のヨーロッパ映画見てて
「このすごい美人は誰っ?」って思うと大抵
イザベル・アジャーニだったりします。

[原題]Nosferatu the Vampyre
[製作年]1979[製作国]西ドイツ・フランス
[日本公開]1985
[監督・脚本・製作]ヴェルナー・ヘルツォーク
[脚本]F・W・ムルナウ
[音楽]ボボル・ヴー
[上映時間]107

主な登場人物

ドラキュラ伯爵(クラウス・キンスキー):
トランシルヴァニアに住む伯爵。青白く尖った耳にネズミのような歯という異様な容貌。不動産を購入したいと希望し、ジョナサンが派遣される。

ルーシー・ハーカー(イザベル・アジャーニ):
ジョナサンの美しい妻。夢遊病のケがあり、ジョナサンを心配するあまり寝ている最中フラフラ出歩いてしまう。何故だかジョナサンをとても愛しているよう。

その他の登場人物

ジョナサン・ハーカー(ブルーノ・ガンツ):不動産仲介人
レンフィールド(ローラン・トポール):ジョナサンの上司
ヴァン・ヘルシング教授(ワルター・ラーデンガスト):吸血鬼の専門家

あらすじ

美しい妻を持つ不動産仲介人のジョナサンに仕事の依頼が来た。トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵から屋敷を購入したいというものだった。上司のレンフィールドから支持を受け、カルパチア山脈の先でかなり長旅になるが報酬も良かった。ジョナサンの家の近くに廃墟同然の屋敷がありそこを紹介するという。荷造りをするジョナサンに妻のルーシーは胸騒ぎがするので行かないで欲しいとお願いするが彼は取り合わない。一人馬に乗って旅立ったジョナサン。立ち寄った宿でドラキュラ伯爵の城に行くと話すと、皆凍りついた。夜は危ないし皆行くなとジョナサンを説得し、そんな城は無いと話す。その夜は宿泊し、おばさんが本を渡してきた。その本にはヴァンパイアのことが書かれており、己の肉を食らう死体、眠っている女を犯す生きる屍、ナイトストーカーなどと書かれていた。前頁には吸血鬼ノスフェラトゥの呪いとあったがジョナサンは鼻で笑った。翌朝馬車を頼んでも誰も応じず、ジョナサンは徒歩で峠を超えることにした。すっかり日が暮れて夜になって怪しい雰囲気に包まれると、突然馬車が通りかかりジョナサンをドラキュラ伯爵の城まで運んでくれた。扉が開くと伯爵が待ち構えており、ジョナサンを快く城の中に入れた。早速屋敷の書類を開くが、先に食事をと勧められる。召使は帰らせているとジョナサンが食事をするのを怪しく眺める白い顔に髪がなく耳はとんがり歯が出ているという風貌の伯爵。ジョナサンがパンを切っていると誤って自分の指を切ってしまう。すると伯爵はおかしくなったようにジョナサンの指に吸い付き、こうしたほうが良いと後ずさりするジョナサンに迫ってくる。その夜ルーシーの部屋にコウモリが入ってきてひどく驚く。翌朝ジョナサンは椅子に座ったまま寝ていたことに気づき、城を見回すが誰もいないような感じだった。ジョナサンは郵便の代わりに日記を認めた。その夜再び伯爵が現れ、契約書にサインするとその際ジョナサンのペンダントをみられ、そこにはルーシーの肖像画が入っていた。

どんな映画?

1922年にブラム・ストーカー版の「吸血鬼ドラキュラ」を勝手に映画化した、F・W・ムルナウ監督の「吸血鬼ノスフェラトゥ」のリメイクになります。今度は1979年の著作権切れを待って製作され日本では映画祭で上映された後テレビ放映のみで一般公開されませんでしたが、1985年にやっと劇場公開されました。

悪夢にうなされる美しい妻ルーシー。

その日夫のジョナサンが出勤すると
上司のレンフィールドからカルパチアの古城に住むドラキュラ伯爵から不動産契約を取り付けろと指示を受けます。
危険な長旅になりますが報酬が高く
ジョナサンはルーシーに家を買ってやれると喜びます。

しかし不吉な予感がするルーシーは不安を隠せません。
ルーシーを友人たちに任せて旅立つ
ジョナサン。

ドラキュラ伯爵の城に行くというと村の人々は一斉に固まります。宿にある本には「ドラキュラ ナイトストーカー」と書かれています。
静止を振り切り旅を続けるジョナサン。

うっそうとした城の中から現れたのは異様な風貌のドラキュラ伯爵でした。

ルーシーの血を吸うドラキュラ伯爵。


ルーシー役を演じたのはフランスを代表する美人女優イザベル・アジャーニ。友人のミナとルーシーの名前が入れ替わっていますが、この映画の彼女はまだ20代前半で、病的なまでに透き通る白い肌と夢見るような瞳で本当に美しいです。

美しい映像と風景描写、美しいイザベル・アジャーニ、ネズミ男のクラウス・キンスキー、ハンガリーから輸入された大量のネズミ、見応えのある作品になっております。

スタッフ・キャスト

監督はニュー・ジャーマン・シネマを牽引してきた一人であるヴェルナー・ヘルツォーク。クラウス・キンスキーを起用した作品で有名ですが、殺し合いにでも発展するんじゃないかと思われるくらいのクラウス・キンスキーとの愛憎劇がさらに有名です。「カスパー・ハウザーの謎」(1974年)や「狂気の行方」(2009年)など実在の事件をテーマにしたものや、ドキュメンタリー作品も多く1999年には「キンスキー、我が最愛の敵」などがあります。

ドラキュラ伯爵を演じたのがドイツの怪優クラウス・キンスキー。なんとも言えない風貌で、イケメンなのかキモいのか、美しいのか醜いのか役によって全く印象の違う稀有なお方。尊大な態度と莫大な自尊心で強烈な個性を発揮し、ヨーロッパを中心に主演、脇役に拘らず数々の映画に出演。中でもヴェルナー・ヘルツォーク監督作品の「アギーレ/神の怒り」(1972年)、「ノスフェラトゥ」(1979年)、「ヴォイツェク」(1979年)、「フィッツカラルド」(1982年)、「コブラ・ヴェルデ」(1987年)
など5本の作品に主演しております。個人的にはマカロニ・ウェスタンでの出演や、エログロ映画、晩年の「クロール・スペース」などの怪奇映画での怪演が印象的です。
このお方からあの美しかったナスターシャ・キンスキーが作られたとは思えません。私生活ではかなり非人道的な行為があったとされていますが、俳優としては強烈な風貌とやり過ぎ演技に映画の内容を忘れるくらいのインパクトがあります。
そう言えば「アギーレ/神の怒り」では15歳の自分の娘と結婚しようとしてましたね~。

ルーシー役のイザベル・アジャーニ。フランスでもスター中のスターと言われていますがもう60代なんですね~。1975年に19歳でフランソワ・トリュフォー監督の「アデルの恋の物語」に出演し高く評価され、翌年にはポランスキー監督の「テナント/恐怖を借りた男」に出演。この「ノスフェラトゥ」に出演した1979年には「ザ・ドライバー」や「ブロンテ姉妹」に出演しています。「ポゼッション」(1981年)や「死への逃避行」(1982年)、「殺意の夏」(1982年)、「カミーユ・クローデル」(1988年)など美しさの中に狂気を孕んだ役がとても似合う女優さんです。

ジョナサンを演じたのはドイツで活躍したスイス人俳優ブルーノ・ガンツ。この映画の同年には「ブラジルから来た少年」(1978年)に出演、彼を世界的に有名にしたのが1987年のヴィム・ヴェンダースのアート系ファンタジー映画「ベルリン・天使の詩」のおっさん天使でした。その後も多くの作品に出演され、残念ながら昨年77歳で亡くなられています。

まとめ

クラウス・キンスキーで地獄行き

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