お姉さんは悪魔憑き「尼僧ヨアンナ」

怪奇

びっくりするぐらい女の魔性はありません。

[原題]Matka Joanna od aniolow
[製作年]1961[製作国]ポーランド
[日本公開]1962
[監督・脚本]イエジー・カワレロウィッチ
[原作]ヤロスワフ・イヴァシュケェビッチ
[上映時間]111

主な登場人物

ヨアンナ( ルチーナ・ウィンニッカ ):
やたら目力の強い尼僧長。どうやら悪魔に憑りつかれているらしい。

スーリン神父( ミエチスワフ・ウォイト ):
修道女たちの悪魔祓いのために派遣されたストイック神父。

その他の登場人物


シスター・マウゴージャータ( アンナ・チェヴェレフスカ ):
門番の尼僧。夢見がちな乙女で騙されやすそう。

あらすじ


ポーランドの田舎の寒村。宿の食堂で質素な食事をとるスーリン神父はその宿の女に、異形の女に惚れるだろうと占われる。神父は、その村の修道院の尼僧長であるヨアンナに取りついた悪魔を払う為に派遣されてきたのだ。悪魔が取りついたヨアンナは以前派遣されてきた若くて美男子だった神父と通じ、著しく修道院の尼僧たちの風紀を乱していった。若い神父は火刑にされたが、ヨアンナたち尼僧は悪魔に取りつかれたままだった。ヨアンナと対面するスーリン神父。穏やかで貞淑そうな仕草から、一変して悪魔が顔を出すと口汚なく彼をののしり超人的な動きを見せる。聖堂に尼僧たちと、数人の神父を集め悪魔払いを始める。ブリッジしてしゃべり始めるヨアンナ。ヨアンナは縛りつけられるが、悪魔が出現すると縄を引きちぎり、転がり回る。結局ヨアンナの中の悪魔を追い出すことができなかった。

どんな映画?

中世ポーランドのとある寒村にやってきたスーリン神父。
宿でただひたすらに祈る神父。

宿でパンを薄切りにちまちま食べるスーリン神父に向かって、小娘みたいだと言葉を投げかけるおっさん。
おっさんは宿の女に神父を占ってやれと促します。
女は神父に「異形の女に惚れるだろう」と述べるのです。

その村は不吉な空気感がありました。
荒涼とした土地に修道院がそびえ立っています。
スーリン神父は修道院の尼僧長であるヨアンナに悪魔祓いを施しに教会から派遣されてきたのでした。

神父が修道院に向かう途中
火刑の跡が物哀しく残されていました。

村の老人が神父に語り掛けます。
以前派遣されてきた神父が火刑にされた跡で
修道院の尼僧たちは嬉々として美男子であった神父を受け入れ、堕落し乱れたと言うのです。
続けて老人は
「悪魔は存在しないのかもしれない」
女には堕落する魔性があるのだと。
スーリン神父は世俗の女をよく知らないと答えます。

神父様大丈夫でしょうか?

門番の尼僧マウゴージャータが神父を出迎え、修道院の中に通されます。
そこに現れたのは美しい尼僧長ヨアンナでした。

しかし・・・

従順な態度を見せたかと思うと
その表情をガラッと変えるヨアンナ。

悪魔と言うよりも猫又が取りついたとしか思えないヨアンナ尼僧長。
一旦悪魔が顔を出すと、ヨアンナ尼僧長は神父を罵り、アクロバティックな動きを見せます。
さすがに宙に浮いたり、首が360度回転したりはしませんが
素早く身をひるがえし、尼僧服をたくし上げ…
そうです!悪魔にとり憑かれるとなってしまうのです
エロく!!

ウィリアム・フリードキン監督の1973年の映画「エクソシスト」でも、悪魔に取り憑かれた少女が発する卑猥な言葉と行動に衝撃を受けました。

ヨアンナの言葉や行動に、女に免疫のない神父スーリンも衝撃を受けます。
自ら鞭打ち彼女を救おうと彼女に近づいていくのですが、
思いもよらぬ運命が待ち受けているのでした。

一方、悪魔に取りつかれた尼僧たちをよそに、気ままに修道院を抜け出す門番の尼僧マウゴージャータ。
彼女に待っていたのは…

1930年代のフランスの町ルーダンでウルスラ修道会の修道女たちが悪魔にとり憑かれたとする「ルーダンの悪魔憑き」事件が起こり、その元凶として教会の司祭が糾弾される事件が起こりました。神父は火刑にされましたが、当時の権力抗争や尼僧たちの集団ヒステリー、疑心暗鬼に陥る町の人々。真相よりも誰かを犠牲にすることで事件を収束させる方向に一斉に進んでいったのです。本当の悪魔は誰の中にいたのか?

スタッフ・キャスト

この事件を題材にポーランドの著名作家ヤロスワフ・イヴァシュケェビッチが「尼僧ヨアンナ」を発表しました。この原作を元にこれまたポーランドの巨匠イエジー・カワレロウィッチが映画化しました。
同じ「ルーダンの悪魔憑き」事件を元にイギリスの作家オルダス・ハスクリーが小説化したものを元に映画化したのが、1971年のケン・ラッセル監督の「肉体の悪魔」です。

まとめ

ミイラとりがミイラになって地獄行き。

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