お前を蝋人形にしてやる!「肉の蝋人形」(1953年)

怪奇

お店でマネキンだと思って触ったら
お客だったということがたまにあります。

[原題]House of Wax
[製作年]1953[製作国]アメリカ
[日本公開]1953
[監督]アンドレ・ド・トス
[脚本]クレーン・ウィルバー
[原作]チャールズ・ベルデン
[音楽]デヴィッド・バトルフ
[上映時間]85

主な登場人物

ジャロッド教授(ヴィンセント・プライス):
蝋人形作家。大火傷を負うが生存。車椅子生活。

スー・アレン(フィリス・カーク):
キャシーの友人。失業中でお金に困っていた。キャシーの死の謎を追う。

その他の登場人物

イゴール(チャールズ・ブチンスキー(ブロンソン)):ジャロッド教授の弟子。口が聞けない。
トム・ブレナン警部(フランク・ラヴジョイ)
キャシー(キャロリン・ジョーンズ): ブロンド美人。バークと交際。
スコット・アンドリュース(ポール・ピサーニ): 若い彫刻家。スーにモデルになってもらい親しくなる。
バーク(ロイ・ロバーツ): 出資者
アンドリュース婦人(アンジェラ・クラーク):
ウォーレス(ポール・キャヴァナー): 美術評論家
ジム・シャナ(ダブス・グリア):

あらすじ

ジャロッド教授の蝋人形の館には歴史上の人物、クレオパトラやリンカーン、ジャンヌ・ダルク、そして教授が最高傑作と賞賛するマリー・アントワネットの人形が所狭しと置かれていた。しかし出資者のバークが保険金目当てに教授の目の前で館に火を放った。蝋でできた人形たちはまたたく間に溶け出し、火を消そうとした教授はバークと揉み合いになり館に取り残された。まんまと保険金を手にしたバークはてっきり博士は死んだものと思っていた。付き合っていたブロンドのキャシーを旅行に誘っていた。しかしその夜マントの男にロープで首を縛られエレベーターに吊るされた。キャシーは早速新しい恋人とデートだと同居人のスーに話していた。華やかなキャシーと比べスーは地味で垢抜けなかった。スーが夜遅く帰宅すると、キャシーの返事が無い。おかしいと思って部屋を開けてみるとキャシーが寝ていて動かず、死んでいいるようだった。すると暗闇からマントの男が現れ、スーは慌てて逃げ出しスコットの屋敷に。警察が遺体を収容し、安置室に数体の遺体を保管した。しかしシーツで包まれていた遺体の一つがムクリと起き上がった。マントの男が起き上がり、キャシーの遺体を確認しロープで吊るして運び出していった。警察に呼ばれていたスーたちはキャシーの遺体とバークの遺体が盗まれていると話、スーには街から出ないように忠告される。美術評論家のウォーレスがジャロッド教授の元を訪れ、博士の弟子のイゴールが出迎えた。すっかり死んだものと思っていたウォーレスは驚くが、博士は車いすになり手はすっかりケロイドでただれていたが顔はそのままだった。今度は恐怖の館を作ると乗り気の博士。ウォーレスにバークのそっくり遺体だと見せ出資を依頼した。恐怖の館は噂を呼び華々しく開館した。外では呼び込が板にボールをつけたもので客引きしていた。

どんな映画?

チャールズ・ベルデンの戯曲を元に映画化されたのが1933年の「肉の蝋人形」ですが、こちらは2度目の映画化となり公開当時なんと3Dメガネをかけて観る3Dカラー映画として上映されました。
ですので飛び出す演出のため、呼び込みシーンなど不自然に長い場面があります。

1900年代初頭のニューヨーク。
蝋人形作家のジャロッド教授。
芸術家肌のジャロッドは採算度外視で自分の好きな作品作りに没頭。
ですが出資者のバークはマダム・タッソーの蝋人形館の方が評判がいい
出資金を回収したいと言ってきます。

今すぐ金が欲しいとバークは
何と!蝋人形館を放火。
激しく燃え盛る蝋人形達。
死体は確認されませんでしたが、無事保険金を得たバーク。
愛人のブロンドちゃんキャシーと旅行に行く約束をします。

金庫の金を確認しにきたバークを襲う謎の黒マントの男。
男はバークをエレベーターに吊るし殺害します。

一方キャシーの友人スーはキャシーがベッドで死んでいるのを発見。
そしてマントの男が!!

逃げ出したスーは若い彫刻家スコットの家に逃げ込みます。
そして遺体検死所に運ばれたキャシーの遺体ですがマントの男に盗まれてしまします。

死んだかと思われたジャロッド教授ですが、車椅子を余儀なくされましたが生き延びています。

彼の新しい蝋人形館は好評。
ヘンリー8世の妃アン、マラーを風呂で刺したシャロット・コルデ、
ギロチンの首切り演出
初の電気椅子に掛けられたケムラー
拷問を受けるレディ・アン・アスキュー
現代の青ひげと呼ばれたランドルーは8人の妻を殺害
そして最近株のブローカー、バークがエレベーターで首を吊って死んだとあります。

彫刻家のスコットと館を訪れたスー。
スーはジャンヌ・ダルク像を見てキャシーにそっくりなことに驚きます。

蝋人形作家で有名なのがマダム・タッソーと呼ばれたフランスのマリー・タッソー。マダム・タッソーは1835年のロンドンの蝋人形館。目玉にこの映画で登場したような「恐怖の部屋」があり、そこにはやはり暗殺直前のマラーやロンドンの殺人鬼などが展示されています。

1933年版の「肉の蝋人形」では「キング・コング」(1933年)にも出演していたフェイ・レイがヒロインでした。前作ではジャロッド教授の名前がイゴールでした。ほんで う~んマンダムのチャールズ・ブロンソンがブチンスキー名義でイゴールとして出演しており、不気味な役で見所の一つです♪

2005年の映画「蝋人形の館」はパリス・ヒルトンも出演している一応「肉の蝋人形」を元に作られたようですが、内容は全く違うものです。

スタッフ・キャスト

監督のアンドレ・ド・トスはハンガリー出身の映画監督。1940年代にハリウッドへ渡り、「黒い河」(1944年)や「落とし穴」(1948年)などのフィルム・ノワールや、「拳銃王」(1950年)や「馬上の男」(1951年)など西部劇など多くの作品を残されていいます。

真打ち登場で、イカれた蝋人形作家を演じたのがヴィンセント・ブライス。アメリカ合衆国出身のヴィンセント・プライスはピーター・カッシング、クリストファー・リーと並ぶ「三大怪奇スター」の一人とされています。1950年代以前はオットー・プレミンジャー監督の「ローラ殺人事件」(1944年)やジーン・ティアニー主演の「哀愁の湖」(1945年)などのフィルム・ノワールで背が高くイケメンだけど脇役などが多かったのですが、この「肉の蝋人形」のヒットを皮切りに怪奇スターとしての才能を一気に開花。「蝿男の恐怖」(1958年)では実際に蝿男にはなりませんが主演、続く「蝿男の逆襲」(1959年)にも出演、同年にウィリアム・キャッスルのギミック映画「地獄へつゞく部屋」に主演、「ザ・バット」、1960年からはロジャー・コーマンので「アッシャー家の惨劇」、「恐怖の振子」(1961年)、「黒猫の怨霊」(1962年)、「忍者と悪女」(1963年)、「赤死病の仮面」(1964年)、「黒猫の棲む館」(1964年)などに出演。またSFホラーの傑作「地球最後の男」(1964年)など後年まで枚挙に暇ないのですが、最後の出演作は1990年のティム・バートン監督のファンタジー映画「シザーハンズ」になります。

殺された上にジャンヌ・ダルクにされてしまうブロンドちゃんにはキャロリン・ジョーンズは。フリッツ・ラング監督の「復讐は俺に任せろ」(1953年)で殺されるバーの女の子を、ドン・シーゲル監督の「ボディ・スナッチャー 恐怖の街」(1956年)では友人夫婦役や多くの映画に脇で出演されています。

まとめ

蝋人形の館で地獄行き

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