吸血鬼の掟「魔人ドラキュラ」

怪奇

吸血鬼はルールに則って行動します。

[原題]Dracula
[製作年]1931[製作国]アメリカ
[日本公開]1931
[監督]トッド・プラウニング/カール・フロイント
[原作]ブラム・ストーカー
[製作]トッド・ブラウニング/カール・レムリ・Jr
[脚本]ギャレット・フォート
[音楽]フィリップ・グラス(1999年版)
[上映時間]75

主な登場人物

ドラキュラ伯爵(ベラ・ルゴシ):
おどろおどろしい城に住む伯爵。イギリスに不動産購入を希望しレンフィールドを呼び寄せる。

ミナ(ヘレン・チャンドラー):
セワード博士の美しい娘。

ヴァン・ヘルシング博士(エドワード・ヴァン・スローン):
セワード博士から相談を受ける吸血鬼ハンター。吸血鬼の研究をし、習性や弱点を知り尽くしている。

その他の登場人物

ジョン・ハーカー(デヴィッド・マナーズ): ミナの婚約者
レンフィールド(ドワイト・フライ): 事務弁護士

あらすじ

乗り合い馬車でボルゴ峠に向かっていたレンフィールドは、同乗の男が今夜は邪悪なるヴァルプルギスの夜(ケルトの伝承、魔女がサバトを開く)だと聞かされる。宿に到着したが、レンフィールドはこのまま峠のヴァンバイア城に行きたいと話す。宿の者たちは口々にあそこには吸血鬼とその奥方たちが夜な夜な棺から這い出していると止めた。しかしレンフィールドは迷信だと意に介さず、そのまま馬車に乗った。途中、別の馬車が迎えに来ており、それに乗ると猛スピードで駆け抜けて行った。城に着くと扉が開き、レンフィールドは恐る恐る暗くコウモリが飛び交い、クモの巣だらけ、アルマジロ(?!)が出てくる城の中に入った。階段から燭台を持った伯爵が降りて来て自分はドラキュラだと自己紹介。黒いマントに正装、オールバックに整えられた髪、どことなく気品のある身のこなしの伯爵は、レンフィールドに食事を用意したとテーブルに座らせた。早速目的の不動産の賃貸契約書を確認。明日の晩、持ち物は棺三個でイギリスに渡ると言う。うっかり紙で指を切ってしまったレンフィールドの指の血をじっと見つめる伯爵、しかし来る途中に渡されていた十字架を見て、ぱっと離れる。ワインを飲んでばったり倒れたレンフィールドに三人の白いドレスを着た女性が寄って来るが、伯爵は彼女たちを遠ざけ、自分が彼に寄って行った。イギリスに向かうヴェスタ号はひどい嵐に見舞われていた。すっかり伯爵の下僕と化したレンフィールド。何とか到着したが、船長や乗組員は死亡、唯一の生存者レンフィールドは精神を病んでいると病院送りになった。一方ロンドンに到着したドラキュラ伯爵、花売の女性を襲った後劇場に足を運ぶ。桟敷席にいたセワード博士に声を掛け、自分は隣の屋敷に引っ越しってきたと自己紹介をする。博士は同席していた娘のミナとその婚約者のハ―カー、ミナの友人ルーシーを紹介する。伯爵はトランシルヴァニアの城から来たと話す。その夜、眠ったルーシーのベッドの窓からコウモリに変身したドラキュラ伯爵が侵入しルーシーに静かに襲いかかった。

どんな映画?

チャ〜チャ〜チャ〜
と何故かオープニングに白鳥の湖が流れます。
ブラム・ストーカー原作のヒット小説「ドラキュラ」は、1922年にF・W・ムルナウ監督によって「吸血鬼ノスフェラトゥ」として一度映画化されていますが、こちらは遺族から許可が得られていなかったためなかったことに。
「ドラキュラ」の名実ともに正規初映画化がこちらの1931年に製作された「魔人ドラキュラ」になります。

ロンドンの家を売るためにトランシルヴァニアに向かう弁護士のレンフィールド。
おどろおどろしい土地と屋敷にビクビクして向かうと、屋敷の中なのに何故かアルマジロ?!

階段から降りてきたのはドラキュラ伯爵。
オールバックにマント、ごてごてした正装。独特の雰囲気です。
この映画の大ヒットのおかげで、おなじくユニバーサルの「フランケンシュタイン」の怪物同様、現在ではこのイメージがドラキュラ伯爵として定着しております。脚本のギャレット・フォートは「フランケンシュタイン」の脚本も担当しております。

レンフィールドは伯爵の下僕となり
精神病院へ
首尾よくロンドンにやってきたドラキュラ伯爵は早速、お隣のセワード博士と娘のミナに近づきます。
まず手始めに狙われたのはミナの友人ルーシー。
彼女が死亡し、次に伯爵の魔の手がミナに忍び寄る。
婚約者ハーカーは著名なヴァンパイアハンターであるヴァン・ヘルシング教授と共に伯爵に挑むのですが…

「吸血鬼ノスフェラトゥ」では登場しない影の主人公ヴァン・ヘルシング教授
その後ピーター・カッシングが演じたりゲームではイケメンになっていたりと具視化されていますが、この映画では原作通り60歳くらいとなっております。

ヘルシング教授によりドラキュラの特徴が明言されます。
 ①招待されなければ部屋に入れない
 ②鏡に姿が映らない
 ③トリカブト(原作ではニンニク)が嫌い
 ④十字架が嫌い
 ⑤昼間は棺桶で寝てる
 ⑥心臓を杭で打たれると消滅

吸血鬼ドラキュラのアイコン的作品でホラー映画ファンでなくても必見の一本です。

スタッフ・キャスト

監督のトッド・ブラウニングはアメリカの映画監督。サイレント映画から活躍されていた監督さんですが、ホラー映画ファンでしたら1932年「フリークス」の監督として知られているかと思います。この「フリークス」、当時日本でのタイトルは「怪物園」というとんでも映画でイギリスでは長らく公開禁止となっていたもの。見世物小屋が舞台で実在の有名な身体に障害がある方達が登場する映画で、個人的には記録映画的要素があるかと思いますが、この映画の影響でトッド・ブラウニング監督は事実上のキャリアを失うことに。

ブラウニング監督はドラキュラ伯爵とキャスティングしていたロン・チャイニーでしたが、急死した為代わりに選ばれたのがハンガリー出身のベラ・ルゴシ。当時49歳のベラ・ルゴシは、それ以前のサイレント映画時代から多数の映画に出演しておりましたがこの映画のヒットにより「ドラキュラ伯爵」の地位を確立しました。その後も1932年の「モルグ街の殺人」、1932年の「恐怖城」、「獣人島」、1934年の「黒猫」、1941年の「狼男」などユニバーサル系のホラー映画に多数出演しました。1950年代頃から薬物依存や離婚などの問題を抱えるようになり低迷したと言われましたが、史上最低の映画監督と知られるエド・ウッド監督が敬愛し自身の映画作品に出演。この監督とベラ・ルゴシの交流の様子がティム・バートン監督の1994年の映画「エド・ウッド」で描かれております。

影の薄いイケメン、ジョン・ハーカーはデヴィッド・マナーズ。1932年の「ミイラ再生」でもヒロインの恋人役で出演しております。

続編

1936年「女ドラキュラ」オットー・クルーガー
1943年「夜の悪魔」ロン・チャイニー・Jr
1944年「フランケンシュタインの館」ジョン・キャラダイン
1945年「ドラキュラとせむし女」ジョン・キャラダイン
1948年「凸凹フランケンシュタインの巻」ベラ・ルゴシ

まとめ

吸血鬼に出会って地獄行き

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