うっかり殺人「歩道の終わる所」

フィルムノワール

親みたいになりたくないと思っていても
なってしまう現実

[原題]Where sidewalk ends
[製作年]1950[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開・WOWOWで放映
[監督・製作]オットー・プレミンジャー
[原作]ウィリアム・L・スチュアート
[脚本]ベン・ヘクト
[撮影]ジョセフ・ラシェル
[音楽]シリル・J・モックリッジ
[上映時間]95

主な登場人物

マーク・ディクソン(ダナ・アンドリュー):
16分署の刑事。容疑者のペインをうっかり殺してしまう。

モーガン・テイラー(ジーン・ティアニー):
モデル。殺されたペインの妻だが3ヶ月前から別居していた。

その他の登場人物

トミー・スカリーシ(ゲイリー・メリル):ディクソンが目の敵にしているギャング
ポール・クライン(バート・フリード):マークの相棒
ジグス・テイラー(トム・テューリー):モーガンの父
トーマス警部補(カール・マルデン):署長
マーサ(ルース・ドネリー):ディクソンが通うレストランの女主人
ケン・ペイン中尉(クレイグ・スティーヴンス):モーガンの夫

あらすじ

16分署の刑事ディクソンは犯罪者に対する暴力行為を諌められていた。ディクソンはあたかも暴力を楽しんでいる節があると言うのだ。結局ディクソンは巡査部長に降格させられてしまった。管轄の街ではギャングのスカリーシが闇カジノを牛耳っており、この日は富豪のモリソンが大勝ちしていた。モリソンの側には美しいモーガンがおり、モリソンは上機嫌で帰ろうとしていた。モーガンはペインによって奴を引き止めろと指示を受ける。ペインがカモにする為にモリソンを連れてきたとわかったモーガンは、それを拒否しようとするとペインはモーガンに平手打ちした。それを見たモリソンはペインと取っ組み合いになり、ペインはモリソンを殴り気絶させる。通報がありディクソンとクラインがカジノに向うと、モリソンがナイフで刺殺されていた。現場に止まっていたスカリーシを執拗に目の敵にしていたディクソンは、悪人で殺人者だと罵る。スカリーシはなぜそこまで敵対するのか?自分にだって歩道を歩く権利があるし、ディクソンの父親も自分を気に入っていたと話そうとするとディクソンは怒りをあらわにした。そこにトーマスが到着し、スカリースは彼にモリソンが賭けに負けており、ペインが連れてきたモーガンのことでモリソンと諍いになってこうなったと偽りを告げた。ペイント追跡しろと指示を受けたディクソンはペインのアパートに向かった。ペインはモリソンが死んだことを知らず、モリソンがカジノで勝った分前をせしめようと電話で彼を呼び出していた。酔っ払っていたペインはディクソンを追い出そうと殴りつけ、取っ組み合いになった。軽く殴り返したディクソンだったが、ペインは倒れ込み死んでしまった。呆然とするディクソンだったが、かかって来た電話に恐る恐る出るとクラインからペインは戦争の英雄で古傷があるから気をつけろと忠告される。ディクソンはすぐさま電話でタクシーを呼び、ペインの遺体からコートを剥ぎ取り鞄を出し荷造りを始めた。タクシー運転手が到着し、ペインに成り済ましたディクソンがペンシルベニア駅までと伝えた。

どんな映画?

カルト的人気のあるフィルム・ノワールの名作「ローラ殺人事件」のオットー・プレミンジャー監督が、1950年に再びダナ・アンドリュージーン・ティアニー主演を起用しています。

警官のディクソンは犯罪者への暴力行為で降格。
めげないディクソンは何かと目の敵にしているギャング
スカリーシの逮捕に執念を燃やしています。

スカリーシは闇カジノを所有しており
この日も富豪のモリソンをカモにしようと画策中。
モリソンを惹きつけるためペインが連れてきた美人
モーガンを当てがっていましたが、
思惑に反してモリソンは大勝ち。
勝ち逃げしようとするモリソンを
モーガンに引き留めるよう指示をするペイン。
ペインの目論見がわかり断るモーガンを往復ビンタ!!

その後モリソンとペインは殴り合いとなります。
通報がありディクソンがカジノに行ってみると
刺されたモリソンの遺体!

ぜってー スカリーシが犯人と決め込むディクソンでしたが
のらりくらりとかわすスカリーシ
ディクソンはモリソン殺しの容疑者である
ペインの住むアパートに向かいます。

ペインに事情を聞こうとするディクソンでしたが
警官は嫌いだと殴りかかるペインを
殴り返すとそのまま倒れ込んでしまいます。
ペインには戦争の古傷があったのでした。

やばい殺っちまった!?

ディクソンはすかさず隠蔽工作。
そしてその罪をスカリーシに押し付けようと画策。
しかし、ペインの別居中の妻モーガンに惹かれ…

ディクソンの書いた手紙に書かれていたものとは?

1944年にオットー・プレミンジャー監督の「ローラ殺人事件」で共演したジーン・ティアニーダナ・アンドリューの黄金コンビで再び製作された本作でしたが、思いの他知名度も低く日本では劇場未公開です。ちなみに同年にダナ・アンドリューが出演した「恐怖の一夜」(1950年)は数年経っていますが日本でも公開されています。
この映画で登場する警官のディクソンは、犯罪者の父親のようにならないと必死で警官になったにも関わらず、同じように事故の殺人を隠蔽してしまいます。同じ人間の中にある、正義感と悪の感情との葛藤が描かれた本作はこのジャンルの古典とされています。

脚本には「暗黒街」(1927年)や「暗黒街の顔役」(1932年)などのギャング映画で知られるベン・ヘクトが参加しています。

スタッフ・キャスト

主演のディクソンを演じたのはアメリカ人俳優のダナ・アンドリュー。1940年にウィリアム・ワイラー監督の「西部の男」に出演。翌年にはジョン・フォード監督の「タバコ・ロード」でジーン・ティアニーと共演。コンスタントに映画出演を重ね、1944年に出演した「ローラ殺人事件」で殺された美人ローラの影を追う刑事役を演じたことで、このジャンルの重要人物とされています。翌年には同じくオットー・プレミンジャー監督のフィルムノワール「堕ちた天使」(1945年)に出演。この映画ではリンダ・ダーネルが出演しております。また1946年には戦後映画の名作でもあり、ダナ・アンドリューの代表作の一つである「我等の生涯の最良の年」に出演しています。翌年にエリア・カザン監督の「影なき殺人」(1947年)、オットー・プレミンジャー監督、ジョーン・クロフォード、ヘンリー・フォンダ共演の恋愛映画「哀しみの恋」、1948年に出演したスリラー映画「鉄のカーテン」では再びジーン・ティアニーと共演しています。50年代に突入してからも巨匠フリッツ・ラング監督のフィルムノワール「口紅殺人事件」(1956年)、「条理ある疑いの彼方に」(1956年)に出演。アルコールの問題を抱えながらも70年代まで映画に出演されていいました。

ギャングのボス、スカリーシを演じたのはアメリカ人俳優のゲイリー・メリル。1949年に戦争映画「頭上の敵機」に出演。翌年には「歩道の終わる所」に出演すると同時に、ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の「イヴの総て」(1950年)に出演。その他「SF巨大生物の島」(1961年)や「ある戦慄」(1967年)などに出演。 また、私生活では「イヴの総て」で共演したベティ・デイヴィスと結婚していたことでも知られています。

トーマス警部補を演じたのはオスカー俳優のカール・マルデン。1947年にダナ・アンドリューが主演している「影なき殺人」でやはり警部補を演じ、同年ヘンリー・ハサウェイ監督の「死の接吻」に出演。1951年に出演したエリア・カザン監督の「欲望という名の電車」で、ヴィヴィアン・リーに求婚するも彼女の過去が分かりヒヨるマザコン男を演じ、アカデミー賞助演男優賞を獲得しています。1953年にアルフレッド・ヒッチコック監督、モンゴメリー・クリフト、アン・バクスター主演のサスペンス映画「私は告白する」に刑事役で出演。さらに、エリア・カザン監督の「波止場」(1954年)、「ベビイ・ドール」(1956年)に出演しています。その後も晩年まで多くの映画に出演されています。

まとめ

正義と悪の間で地獄行き

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