役者さん同士が共演がきっかけで結婚することがよくありますね。
これも職場結婚に分類されるんでしょうね~
[原題]To Have and Have Not
[製作年]1944[製作国]アメリカ
[日本公開]1947
[監督・製作]ハワード・ホークス
[原作]アーネスト・ヘミングウェイ
「持つと持たぬと」(1937)
[脚本]ウィリアム・フォークナー/ジュールス・ファースマン他
[音楽]レオ・F・フォーブステイン/フランツ・ワックスマン
[上映時間]100
主な登場人物
ハリー・モーガン船長(ハンフリー・ボガート):
通称スティーブ。観光船の船長。
マリー・ブラウニング(ローレン・バコール):
通称スリム、22歳の歌手。
その他の登場人物
フレンチー(マルセル・ダリオ): ジェラール、ホテルの支配人
エディー(ウォルター・ブレナン): ハリーの相棒、飲んだくれ
エレーヌ(ドロレス・モラン): 依頼者の妻
コーヨー警部補(シェルドン・レナード)
あらすじ
1940年フランス降伏直後マルチニック島、フォール・ド・フランスの波止場でハリーはクイーン・コンチ号に客を乗せる観光船の船長をしていた。16日間ほどジョンソンという男の釣りのために船を出していたが、最終日清算の時になって、今持ちあわせが無いので明日銀行に行ってからだと言われる。ジョンソンと飲みに行くことにしたハリーだったが、途中ジョンソンがフランスの国旗を見て「ヴィッシー政権か」というような発言に男が名前を聞いてきた。滞在先のマーキー・ホテルに戻ると支配人のジェラールが客を乗せてほしいとハリーの部屋まで来た。ハリーの部屋の開いた扉に女が立ち、ハリーにたばこの火を貸してほしいと頼みそのまま出ていく。ジェラールは彼女は今日飛行機で来た客だと言う。フランス人のジェラールに対して面倒に巻き込まれたくなかったハリーは申し出を断る。ホテルで飲んでいると、ジョンソンとさっきの女が同じテーブルにいるのを見かける。部屋に戻ろうとした彼女をハリーが呼び止め、自分の部屋に入れる。ハリーは彼女にジョンソンから盗った財布を見せろと言う。財布の中には十分な金があった。そこに船に乗せてほしいと依頼していたフランス人たちが入ってきて強硬に頼んだ。またハリーの相棒エディも入ってきて、死んだ蜂に刺されたことはあるかと聞く。結局ことわりハリーはスリムとバーに戻り、ジョンソンに財布を返し中身がそのままなことを確認させ、自分の取り分の小切手をきらせる。
どんな映画?
文豪アーネスト・ヘミングウェイの原作を元に巨匠ハワード・ホークスが映画化。
ベストカップルであるハンフリー・ボガートとローレン・バコールが出会ったきっかけとなった記念碑的作品でもあります。
戦争の影が忍び寄る1940年のフォール・ド・フランスの港で
小さな観光船の船長をしているアメリカ人のハリーは相棒の飲んだくれエディーとともにジョンソンという男に雇われ釣りに同行していました。
釣り下手のジョンソンとソリが合わず1日早めに契約解除。
しかし持ち合わせがないというので
明日また会うことに。
ジョンソンと一緒に入ったホテルのバーで支配人のジェラールがある人物を乗せて欲しいと頼みます。
政治的な興味はないと断るはリー。
一方その日に到着した客の女が
ハリーに火を貸してとハリーの部屋に入ってきます。
女はバーで歌い、口説いてきたジョンソンから財布を盗んで部屋に戻ろうとしていましたが、ハリーがすぐに跡を追い自分の部屋に彼女を連れ込みます。
彼女を“スリム“と呼び財布を戻すよう説得します。そこに支配人の知り合いだというフランス人たちが船に乗せて欲しいと頼み込むのですが、断りスリムと一緒に財布を返しに行きます。
そこで突如銃撃戦にあい…
銃を突きつけたものの実際は手が震えるスティーブ。
監督ハワード・ホークスが友人であるアーネスト・ヘミングウェイに彼の1番の駄作と言われるものを映画化しヒットさせると断言したそう。そしてもう一人の友人であるウィリアム・フォークナーに脚本を依頼。映画は成功を収め、ノーベル文学賞を獲得している2人が共同製作した唯一の映画作品となっております。
バコールが演じたスリムはホークス的女性像の典型とされています。
スリムは当時ホークスの妻だったナンシー・スリム・キースからとったものでナンシーはバコールを気に入りホークスに紹介した人物です。これによりローレン・バコールはデビュー映画にしてトップスターとなりました。
映画の中でスリムがスティーブに
「スティーブ、口笛を吹く方法を知ってる?
唇を合わせて息を吹くのよ」
と言う有名なセリフがありスタンダードとなっています。「カサブランカ」の二番煎じと揶揄されることがありますが、戦争とメロドラマ、アクションを盛り込んだ大変見応えのある映画です。
1950年にも同じ原作で「破局」として再映画化されています。
1972年のジョン・ブアマン監督の「脱出」とは全く別物です。
スタッフ・キャスト
主演のスティーブを演じたハンフリー・ボガート。この映画は人生のターニングポイントともなりました。生涯で4度の結婚をしたボガートですが、4度目にして最後の妻が親子ほど歳の離れたローレン・バコールでした。バコールとボガートがこの映画の共演で知り合った頃、ボガートは1937年に出演した「札つき女」で共演したメイヨ・メソッホと結婚していました。メイヨはアルコール依存症に陥り、やはり大酒飲みのボガートと激しくバトルを繰り広げ、その結婚生活は破綻していました。メイヨとボガートは1945年に離婚し、ボガートはその後10日ほどでバコールと再婚したのでした。バコールとはボガートが亡くなるまで結婚生活が続き夫婦仲は大変良好だったようですが、ボガートは先に亡くなったメイヨの墓に死ぬまで花を贈ることを忘れなかったそうです。
ボガートの相手役を演じたローレン・バコールはこの映画の出演で一躍スターダムに登りました。その後ハンフリー・ボガート共演で「三つ数えろ」(1946年)、「潜行者」(1947年)、「キー・ラーゴ」(1948年)に立て続けに出演。ボガートの間に一男一女をもうけ、長男の名前はこの映画にちなんでスティーブン・ボガートと名付けました。
1957年にボガートが食道がんで亡くなった時、バコールはボガートの棺の中に
「必要な時はただ笛を吹け」
という碑文の入った笛のチャームが付いたブレスレットを入れました。結婚する前にボガートがバコールにプレゼントしたものだったと言われています。うーん何とも映画みたいな話ですね~
その他のキャストも豪華で、スターになったローレン・バコールとは対照的に衰退したのが美人女優のドロレス・モラン、飲んだくれの友人役に多くの名作でいい味を出す目脇役として君臨するウォルター・ブレナンなどが出演されています。
まとめ
地獄行きでも私生活は天国行き
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