猫にごはん「ロング・グッドバイ」

フィルムノワール

すごい久しぶりに会わない?と
言ってくる昔の友人は大体何かの勧誘です。

[原題]The Long Goodbye
[製作年]1973[製作国]アメリカ
[日本公開]1974
[監督]ロバート・アルトマン
[脚本]リイ・ブラケット
[製作総指揮]エリオット・カストナー
[原作]レイモンド・チャンドラー
   「長いお別れ」
[撮影]ヴィルモス・スィグモンド
[音楽]ジョン・ウィリアムズ
[上映時間]112

主な登場人物

フィリップ・マーロウ(エリオット・グールド):
私立探偵。猫と暮らす所に、昔の友人テリーが突然訪れて…

テリー・レノックス(ジム・バウトン):
富豪、マーロウの友人。マーロウにティファナまで車で送って欲しいと頼む。

その他の登場人物

アイリーン・ウェイド(ニーナ・ヴァン・パラント): ロジャーの妻
ロジャー・ウェイド(スターリング・ヘイドン): 作家
マーティ・オーガスティン(マーク・ライデル): テリーと関係するチンピラのボス
ドクター・ヴェリンジャー(ヘンリー・ギブソン): ロジャーの主治医
デイヴ(デビッド・キャラダイン(ノンクレジット)): ソクラテス
オーガスティンの手下(アーノルド・シュワルツェネッガー):ノンクレジット
ルターニャ・スウィート(ルターニャ・アルダ)
ハリー(デヴィッド・アーキン): オーガスティンの子分
モーガン(ウォーレン・バーリンジャー): 記者

あらすじ

アパートに猫と暮らすマーロウ、隣は裸で一晩中踊る女の子たち。ある晩キャットフードが気に入らないと出ていった猫を探していると、友人のテリーが妻のシルビアとケンカし男に追われているので助けて欲しいと尋ねてくる。マーロウはカバンを持ったテリーをロサンゼルスから近いメキシコの街ティファナまで彼の車で送る。しかし翌朝、彼の車でアパートに戻ると警官二人が待っており、昨日はどうしていたと尋問され警察に連行される。テリーは妻殺しの容疑がかかっておりマーロウは共犯者にされていた。テリーとは古い友人だと言うマーロウ。ファーマー警部にテリーの本名はと聞かれてレニー・ポッツと答える。本人からはダサいから変えたのだと聞かされていた。テリーは組織のボス、オーガスティンとも関係があり、妻は自宅で殴り殺されていたのだ。結局マーロウはどこにテリーを送っていったのか口を割ることはなく、3日間勾留された挙句あっさり釈放された。何だか釈然としないマーロウはファーマー警部に理由を尋ねると、容疑が晴れたのだと答える。テリーが死んで一見落着だと。モーガンに車で送ってもらいがてら事件のことを聞く。新聞にはテリーが遺書を残して自殺したと書かれていた。テリーはオタトクランで死んだと書かれており、ティファナではないかと疑問に思う。モーガンは自殺とあるがおそらく金の件で殺されたのではないかと話す。誰も引き取る者がおらず現地で埋葬されたと言う。テリーがシルビアを殺して自殺したなんてあり得ないと憤慨するマーロウ。バーに立ち寄ったマーロウはCCジンジャーを注文する。そこで伝言どおり電話を掛け、アイリーン・ウェイドと名乗る夫人から依頼を受けマリブを訪れることに。高級住宅地の中に立つ邸宅に入るマーロウをドーベルマンが荒々しく出迎える。そこに螺旋階段から真っ黒に日焼けしてリゾート風のロングワンピを着た美しい夫人アイリーンが駆け降りてくる。彼女は1週間前から行方不明になっている小説家の夫ロジャーを探してほしいと依頼するのだが…

どんな映画?

レイモンド・チャンドラー原作、
私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とした長編シリーズ第6作目です。
原作の舞台の1949年を1970年代の現代に置き換えたアメリカン・ニューシネマの潮流を継ぐ、クールでトラジェディな仕上がりとなったフィルム・ノワールです。

飼っている猫にたたき起こされる
スーツのままベッドに横たわっていた
フィリップ・マーロウ
餌の催促です。
ちょうど猫の好きな缶詰を切らしていた
ため、買いに出かけることに。
アパートメントの隣では若い娘達が
裸同然で踊っている。
スーパーで缶詰をさがしますが
同じ印の缶詰が見つかりません。
店員に他のものと変わらないよ
と言われ別の缶詰を買って帰ります。

アパートメントに戻り
缶詰の中身を別の缶に移し替えて
催促するにゃんこに出しますが
別のものだとわかっているのか
にゃんこは食べません!
それどころか出ていってしまいます。

にゃんこを探しに外に出たマーロウに
声をかける人物が旧知の仲のテリー・レノックスでした。

彼はメキシコ領のティファナまで送って欲しいとマーロウに頼みます。
マーロウは快く引き受け彼と別れて
部屋に戻ると待ち構えていたのは警官でした。
テリーが妻を殺したというのですが…

脱ぐだけの役で
ムキムキのシュワルツェネッガーが
出ています。

小説の中でマーロウが警察から釈放された後にテリーから「ギムレットを飲んだ後、自分のことは忘れてくれ」と手紙が届きますが、映画の中でこのシーンは登場せず、原作で有名なセリフ、「ギムレットには早すぎる」も登場しません。

映画でフィリップ・マーロウを演じていたのは「三つ数えろ」(1946年)のハンフリー・ボガート、「湖中の女」(1947年)のロバート・モンゴメリー、「ブロンドの殺人者」(1943年)のディック・パウエル、「高い窓」(1947年)のジョージ・モンゴメリー、「かわいい女」(1969年)のジェームズ・ガーナー、「さらば愛しき女よ」(1975年)のロバート・ミッチャムなどそれまで原作通り大柄なタフガイが演じていますが、ロバート・アルトマン版のエリオット・グールドは細い体の飄々とした風貌。探偵っぽくありませんが、それがまた新時代の探偵像としてクールな印象を残します。

原作では有り得ないラストが衝撃的な一本です。

スタッフ・キャスト

監督はアメリカン・ニューシネマの巨匠ロバート・アルトマン。朝鮮戦争をコケ下ろした1970年の「M★A★S★H マッシュ」、スザンナ・ヨークを主演にした幻想サスペンス「イメージズ」(1972年)、ブラック・コメディの「ナッシュビル」(1975年)、豪華キャストの西部劇「ビッグ・アメリカン」(1976年)、シェリー・ディヴァルとシシー・スペイセクが出演した「三人の女」(1977年)など1970年代に代表作と呼べる作品を量産しました。低迷時期もありましたが出演者に愛される監督さんだったと言われています。

脚本のリイ・ブランケットは女流SF作家として有名。フィリップ・マーロウが登場する小説の第一弾映画化作品である「三つ数えろ」でも脚本を担当しております。

主演のフィリップ・マーロウを演じたエリオット・クールドはモジャモジャ頭と痩せた体、アカデミー賞女優バーブラ・ストライサンドの元夫としても有名ですが現在でもテレビと映画に多数出演されています。1970年代はロバート・アルトマン監督作品、「M★A★S★H マッシュ」(1970年)、 「ナッシュビル」(1975年)などに出演しております。「カプリコン・1」(1977年)での記者役や、「サイレント・パートナー」(1978年)でのサスペンス作品での淡々とした演技は印象的です。

中年小説家を演じたスターリング・へイドンは1950年のジョン・ヒューストン監督のフィルム・ノワールの重要作「アスファルト・ジャングル」に主演。1955年「現金に体を張れ」1963年「博士の異常な愛情 ホニャラララ〜」に出演、脇役としてですが晩年まで出演されました。

テリーを追うオーガスティンを演じたマーク・ライデルは俳優業だけでなく監督作品として、「女狐」(1967年)、スティーブ・マックイーンが主演した「華麗なる週末」(1969年)、ジャニス・ジョップリンをモデルにベット・ミドラーが主演した「ローズ」(1979年)、ヘンリー・フォンダが最後に出演した「黄昏」(1981年)など名作があります。

ロジャーの妻アイリーンを演じたニーナ・ヴァン・パラントは1980年のポール・シュレイダー監督作「アメリカン・ジゴロ」では売春クラブの元締め役を演じていました。

まとめ

突然現れる友人で地獄行き

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