二日酔いOL「青いガーディニア」

フィルムノワール

ストローでカクテル飲むと
酔いやすいってホント?

[原題]The blue gardenia
[製作年]1953[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開・TV放映
[監督]フリッツ・ラング
[製作]アレックス・ゴットリーブ
[原案]ヴェラ・キャスパリー
[脚本]チャールズ・ホフマン
[撮影]ニック・ムスラカ
[音楽]ラオール・クロウシャー
[上映時間]90

主な登場人物

ノラ・ラーキン(アン・バクスター):
電話局に勤務する電話交換手のOL。恋人が朝鮮出兵中で遠距離を余儀なくされていたが、手紙であっさり振られてしまう。

ケイシー・メイヨ(リチャード・コンテ):
クロニクル紙の敏腕新聞記者。顔見知りの画家ハリーが殺された事に少ないからずショックを受ける。犯人が女性だと思われる遺留品に独自に、紙面で呼びかける。

その他の登場人物

クリスタル・カーペンター(アン・サザーン):ノラのルームメイト
ハリー・ブレブル(レイモンド・バー):電話局に出入りしている画家。女好き。
サリー・エリス(ジェフ・ドネル):ノラのルームメイト
サム・ヘインズ(ジョージ・リーヴス):警部
ホーマー(レイ・ウォーカー):クリスタルの元旦那
ナット・キング・コール(本人):バーの歌手
ローズ(ルース・ストーリー):レコード店で働くハリーの彼女。

あらすじ

ウェストコースト電話局に勤めるOLのノラには、朝鮮出兵中の恋人がいました。電話局の交換手は女性ばかりですが、画家のハリーやクロニクル紙の新聞記者メイヨーが出入りしていた。画家のハリー宛にローズという女性から電話が掛かった。ローズは会えないことの不満をぶちまけた。その日誕生日のノラは、流行の黒いタフタのドレスを着てテーブルに彼氏の写真と手紙を添えて1人ディナーの準備をしていた。ルームメイトのクリスタルとサリーは、それぞれ出掛けて行った。1人アパートでシャンパンを開け写真に向かった乾杯し、手紙を開けた。するとそこには、他に好きな人ができてしまった別れて欲しいと書かれていた。嘆くノラの元に電話がかかり、涙を拭って応対するとそれは画家のハリーだった。ハリーは今朝クリスタルをナンパしており彼女だと思い話していた。ノラが勘違いだと訂正してもお構いなしで誘って来た。半分ヤケになっていたノラは、帰って来たサリーに誰と話していたか告げずに、ハリーの言うハリウッド郊外の「ブルー・ガーディニア」に向かった。サリーはテーブルの上に丸められた手紙を読んで、ノラの心情を慮った。レストランバー「ブルー・ガーディニア」では、バーにメイヨーも来ておりハリーに声をかけた。ナンパした女性が来るのか面白がっていた。ノラが現れ、予想外の人物にハリーも驚くが、彼女にカクテルを勧め一緒に食事をすることにした。そこに、盲目の花売りの女性が、「青いクチナシ」はいかが?と売りに来た。ハリーが一つ買うと、そこにナット・キング・コールの「ブルー・ガーディニア」の歌が歌われた。すっかり酔っ払ってしまったノラは、ハリーに気を許し過ぎてしまい彼の部屋に行ってしまう。恋人と勘違いしてハリーのキスを受けてしまうが、我に帰ったノラはハリーを拒絶し火かき棒を振り回し抵抗する。鏡が割れ、クチナシの花が床に落ちた。気がつくとアパートのベッドに潜り込んでいたノラは、激しい二日酔いに見舞われ昨夜のことをよく覚えていなかった。ハリーの部屋では、ハリーの遺体が発見され警部たちが捜査にあたっていた。そこに女性物のパンプスが片方残され押収された。記者のメイヨーも取材に訪れ、警部はありふれた殺人事件だと述べるが、遺体がハリーだと知らされ驚きを隠せなかった。

どんな映画?

ヴェラ・キャスパリーの短編小説「ガーディニア」を元にフリッツ・ラング監督が映画化。アン・バクスターが主演し、リチャード・コンテ、レイモンド・バー、アン・サザーンが出演しております。

電話局で交換手として
働くOLのノラには
朝鮮戦争に出兵中の彼氏が!
自分の誕生日にも帰って来ない
彼氏を想いながら
当時ハヤりのタフタの黒い
ドレスを着て料理を準備

ルームメイトのクリスタルと
サリーも出かけてしまい
一人彼氏から来た手紙を
嬉しそうに開けるノラ
ところがそこには
負傷して入院した東京で
看護師をしていた彼女と結婚する
あっさりフラレてしまいます。

泣き崩れるノラ
そこに電話が掛かってきます。
相手は電話局に出入りしている
画家のハリー
女好きのハリーは
電話相手をクリスタルだと
思い込んでいたハリーは
飲みに誘って一方的に
切ってしまいます。

半分ヤケになっていたノラは
ハリーが指定した店に
一人向かいます。
ノラの登場に驚いた
ハリーでしたがノラは
美人だったので即OK
ナット・キング・コールが 歌う「ブルー・ガーディニア」が
流れる中
傷心のノラはすすめられるままに
しこたま飲酒

酔っ払ったノラはハリーの車に
どうでもいいですが飲酒運転
そのままハリーの家に行って
しまします。
当然ハリーに襲われるノラ
必死の抵抗の上
火かき棒でハリーを殴打
パンプス片方とバーで買った
「青いガーディニア」を
残して逃走します。

そのままベッドに入り
翌日起きるとひどい二日酔い
出勤すると新聞にハリーが何
者かに殺されたと載っていて…

ハリーと「ブルー・ガーディニア」でカクテルを飲むノラ

原作者のヴェラ・キャスパリーは、「ローラ殺人事件」(1944年)や、「三人の妻への手紙」(1949年)などの原作としても知られています。
もともとの小説のタイトルは「ガーディニア」でしたが、映画は「青いガーディニア」(DVDタイトル「ブルー・ガーディニア」)としていますが、こちらは1947年に起こった「ブラック・ダリア」事件が影響していると言われています。「ブラック・ダリア」事件は、女性が裸で体を真っ二つに切断され放置されていた猟奇殺人事件で未だに未解決という全米を震撼させました。またこの事件は新聞でセンセーショナルに書き立てられた事件であり、フリッツ・ラング監督は、この「青いガーディニア」で犯人の推測をおもしろおかしく書きたてるマスコミへの皮肉が込められているそうです。

二日酔いのOLが、前の晩に会っていた男が死んだと読み、思いっきりこころ当たりありありの上、自分の遺留品ばっちり。自分かもと悩みながらも、ちゃっかりタフタのドレスを燃やすなど証拠院名を図りますが、観念して警察ではなく新聞記者を頼るというもの。ノワール色は薄いのですが、当時のOLの現状が垣間見える映画となっております。

また、この映画では、アメリカの歌手ナット・キング・コールがご本人役で出演し、「ブルー・ガーディニア」の生歌を披露されていらっしゃいます。ナット・キング・コールと言えば、「Fly Me To The Moon」や「Smile」、「L-O-V-E」などの名曲は、今でもCMソングとしてしばしば使用されておりますので、一度はこの方の歌声は聞いたことがあるはず!のお方。貴重映像です。
ナット・キング・コールの出演もさることながら、この映画「スーパーマンの呪い」の元ネタになったジョージ・リーヴスが刑事役でご出演されています。この頃すでにテレビでは「スーパーマン」を演じてブレイク済みでしたが、そのイメージが定着しすぎて中々役に恵まれなくなってしまったそう。この方の謎の死が、2006年の映画「ハリウッドランド」で映画化されています。
バーでノラとハリーのテーブルに花を売りに来る盲目のフラワーガールは、元ピーター・ローレの妻で、フリッツ・ラング監督の長年の同僚であったセリア・ロフスキー。フリッツ・ラング監督の映画にしばしば登場しています。 ちなみにハリーにしつこくするローズ役を演じたのは、当時主演のリチャード・コンテの妻だったルース・ストーリーです。

スタッフ・キャスト

女好き画家のハリーを演じたのはカナダ出身の性格派俳優レイモンド・バー。アメリカのテレビドラマ、「ペリー・メイソン」の主人公の弁護士ペリー・メイソン役で非常に知られたお方ですが、数多くの映画にもご出演され、特にアルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」(1954年)での妻殺しの容疑者役での怪演は有名です。1947年にアンソニー・マン監督のフィルム・ノワール 「必死の逃避行」で悪役として出演。アンドレ・ド・トス監督の「落とし穴」(1948年)や、アンソニー・マン監督の「脱獄の掟」(1948年)、ダグラス・サーク監督の「眠りの館」(1948年)、ロイ・デル・ルース監督の「赤い灯」(1949年)、ジョセフ・ロージー監督の「M」(1951年)ではギャングの幹部、ジョン・フォロー監督の「替え玉殺人事件」(1951年)、ジョージ・スティーヴンス監督の「陽の当たる場所」(1951年)では検事役を、ハーモン・ジョーンズ監督の「ゴリラの復讐」(1954年)、アルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」(1954年)の犯人役、ジョン・ギラーミン監督の「野良犬の罠」(1967年)などのサスペンスやフィルム・ノワールなどに出演。1957年から1966年にかけてテレビドラマ「弁護士 ペリー・メイソン」で主演し人気を博しました。その後も同シリーズは何度も映像化されています。また1967年から1975年にかけて続いての当たり役「鬼警部アイアンサイド」で、半身不随になり車椅子の刑事アイアンサイドを熱演し、こちらも刑事ドラマの傑作として名高いテレビドラマとなっております。

ノラのルームメイト、クリスタルを演じたのはアメリカ合衆国の女優アン・サザーン。1930年代から多くのミュージカル映画などに出演。1949年に出演したジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の「三人の妻への手紙」では、主演の三人の妻の1人を演じています。ウォルター・グローマン監督、オリヴィア・デ・ハヴィランド主演のおばさん映画「不意打ち」(1964年)では、やはりすっかりおばさんになったアン・サザーンが売春婦役で出演されています。また、1950年代後半にはテレビドラマに出演し、人気を博しました。その後は、1973年にはカーティス・ハリソン監督のサイコ・ホラー映画「変質犯テリー/殺人コレクターの甘いうずき」で、変質犯テリーのこれまた変わった母親役としてトップクレジットされています。続いてジョナサン・デミ監督、クロリス・リーチマン主演のアクション・コメディ「クレイジー・ママ」(1975年)に祖母役で出演しております。1978年のウィリアム・ガードラー監督によるオカルト・ホラー映画「マニトゥ」にも出演されています。1987年のリンゼイ・アンダーソン監督の「八月の鯨」では、リリアン・ギッシュとベティ・デイヴィス演じる老姉妹の友人役で出演し、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。健康問題からキャリアを中断されたりが続く中でも、長く活躍されました。「三人の妻への手紙」や、この映画でもそうですが、中々キップのいい姉御肌の友人役が適役な方でした。

まとめ

フラれたヤケ酒で地獄行き

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