夢を追い続け「アスファルト・ジャングル」

フィルムノワール

大都市は怖くて一人で歩けません。

[原題]The Asphalt Jungle
[製作年]1950[製作国]アメリカ
[日本公開]1954
[監督・脚本]ジョン・ヒューストン
[脚本]ベン・マドー
[原作]W・R・バーネット
[音楽]ミクロス・ローザ
[上映時間]11

主な登場人物

ウィリアム・ハンドレイ(スターリング・ヘイドン):
ディックス。やたら長身のさえない36歳。故郷の農場を買い戻す夢を持っている。

ドク・リーデンシュナイダー(サム・ジャッフェ):
刑務所から出所したばかりのドイツ人詐欺師。

ドール(ジーン・ヘイゲン):
ディックスの幼馴染み。ディックスを頼って彼の部屋にやってくる。付けまつ毛が流れるくらい涙ながらにしばらく置いてくれと頼み、根負けするディックス。

その他の登場人


アンジェラ(マリリン・モンロー):エメリッヒの愛人
エメリッヒ(ルイス・カルハーン):弁護士
ガス(ジェームズ・ホイットモア):酒場の店主
ブラノム(ブラッド・デクスター):エメリッヒの相棒

あらすじ

ディックスは故郷の農場を買い戻すために、競馬で一攫千金をねらうチンピラだったが、うまくいかずくすぶっていた。ある日賭博業者コビーの元に出所してきたばかりのドイツ系のドクが宝石強盗の計画を持ちかける。ドクはコビーから資金提供者としてエメリッヒ紹介され、盗んだ宝石を彼に渡し現金化し自分はメキシコに逃亡するという手はずになっていた。有能な弁護士エメリッヒには金髪の愛人、アンジェラがいたのだが経済的には破たんしていた。ディックスの
部屋に馴染みのドールが来て、数日間おいて欲しいといい、ディックスは承諾する。エメリッヒは友人を呼び、強盗の計画を話し、宝石を全部奪う計画を立てていた。コビーはほかに金庫破りのルイス、運転手のガス、用心棒にディックスを仲間に入れた。ディックスを気に入ったドクは、いまいち信用できないエメリッヒに用心するようつたえる。ドールは家が見つかったので、ディックスに新しい住所を伝えて出ていった。決行の日、警報装置をかくぐり、ドクとディックス、ルイスで金庫内に潜入したのだが。

どんな映画?

長身で目立つ帽子の男、36歳の通称ディックスは、強盗容疑で連行されますが
警察は目撃者を上げることができません。
一方、いかにも知的な初老紳士といった風貌をした通称ドクが、出所してすぐに賭博業者
コビーの元を訪れます。
でかいヤマがある!
と、強盗の話を持ち掛けます。
そこに訪れたディックス。
ディックスは競馬で掛けては損をしていました。

ディックスを訪ねてきた幼馴染のドールは部屋を追い出された為
2,3日泊めて欲しいとやってきます。

コビーは大物弁護士エメリッヒにドクを紹介。
その話に乗ったエメリッヒはすぐに電話で強盗要員を集めるように指示します。
皆が帰ったあと
ソファで眠っていたのはかわいい愛人モンロー様!!

愛人を持つにはお金が必要です。実はエメリッヒは破産していました。

競馬で借金があるディックスには夢がありました。
いつか故郷の農場を買い戻し、都会の汚れをきれいさっぱり洗い流すこと。

そしてディックスはこの強盗話に乗ることに・・・・

こちらの映画はジョン・ヒューストン監督が「アフリカの女王」の前年に発表したフィルムノワール調の犯罪映画です。
それぞれの個性の強いキャラクターたちをうまく動かし、骨太な作品に仕上がっています。1956年のスタンリー・キューブリック監督の「現金に体を張れ」にかなり似た構成で、主人公も同じくスターリング・ヘイドンが演じています。個人的にはそれぞれに迎えるラストの哀愁感は「アスファルト・ジャングル」の方が勝っていると思います。主人公の内面の掘り下げが、昔なじみのドールを登場させることによってうまく描かれており、犯罪映画でありながら、それぞれの事情と思惑をかかえ、どのキャラクターも憎めない作りになっています。

フランス・ノワール風のラストシーンは必見です。

スタッフ・キャスト

デックスを演じたスターリング・ヘイドンは、男っぽい顔立ちで「ターザン」役をオファーを断ってこの映画に出演したそう。その後はニコラス・レイやスタンリー・キューブリック、フランシス・フォード・コッポラ、ベルナルド・ベルトルッチなど巨匠の映画に脇を固めていました。

ディックスの幼馴染ドールを演じたジーン・ヘイゲンは1952年の「雨に唄えば」でサイレント映画のスターで変な声役のリナ・ラモント役で有名です。

知能犯のドクを演じたのは個性派俳優のサム・ジャッフェ。サム・ジャッフェはこの映画の演技でヴェネツィア国際映画祭で男優賞を受賞し、第23回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。


そして、なんといってもこの映画の白眉は、ブレイク直前のマリリン・モンロー様が出演していること!悪徳弁護士エメリッヒの愛人役という何ともぴったりすぎる役!!この同じ年にはジョセフ・L・マンキーウィッツの傑作裏幕映画「イヴの総て」に新人女優役で出演、着々とスターの階段を上がっておりました。

まとめ

夢を追いかけて地獄行き

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