美人なのにどーしても顔が覚えられない人がいます。
[原題]Rebecca
[製作年]1940[製作国]アメリカ
[日本公開]1951
[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[製作]デヴィッド・O・セルズニック
[脚本]ロバート・E・シャーウッド/ジョーン・ハリソン
[原作]ダフネ・デュ・モーリア
[音楽]フランツ・ワックスマン
[上映時間]130
主な登場人物
わたし(ジョーン・フォンティン):
両親を亡くし金持ち女性の付添人をやっていたところ金持ちのマキシムと出会い玉の輿の電撃婚。幸せを掴んだかにみえたのだが…
マキシム・ド・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ):
大金持ちの紳士。妻を亡くしたばかりの男やもめ。
ダンヴァース夫人(ジュディス・アンダーソン):
マンダレーの屋敷のメイド長。元は亡きマキシム夫人レベッカの専属世話係。顔が怖い。
ジャック・ファヴェル(ジョージ・サンダース):
突然マンダレーを訪れ、レベッカの知り合いだと言う男。何か秘密を知っていそう。かなり胡散臭い。
その他の登場人物
フランク・クローリー(レジナルド・デニー):不動産管理人
ジュリアン大佐(C・オーブリー・スミス):警察署長
ベイカー医師(レオ・G・キャロル):レベッカの主治医
ベアトリス・レイシー(グラディス・クーパー):マキシムの姉
ベアトリスの夫(ナイジェル・ブルース)
あらすじ
南フランス、モンテカルロにホッパーさんの連れとして避暑に来ていた私は、断崖で波をみつめる男に心配になって声をかける。それがきっかけとなり妻を亡くしたウィンターと知り合いになる。両親を亡くし私の雇い主であるホッパーさんもウィンターを狙っていたが彼は私を頻繁にドライブやダンスに誘ってくれた。ホッパーさんから彼が妻を心から愛したが、妻はボートから落ちて帰らぬ人となり今だに立ち直れないのでは無いかときかされる。彼を愛しはじめていた私はうなされ彼とドライブ中に何故自分なんかを誘ってくれるのだと問いただし返ってウィンターに叱られてしまう。夢の様な時間を過ごすうちホッパーさんが自分の都合で急にニューヨークに戻るという。荷造りもすんで出発の朝どうしても別れを告げたかった私はウィンターの部屋に行く。彼はニューヨークとマンダレーどちらがいいと話して、私と結婚しようと言ってくれた。すぐにホッパーさんに伝えそのままイギリス、マンダレーに向かった。雨の中重厚で何か陰湿な感じがする屋敷が見えた。中に入ると出迎えの使用人達がずらりと並び気後れしてしまう。なかでも前妻の世話をしていたダンヴァース夫人はとっつきにくそうな気がした。西側の最も美しい部屋は元の妻の部屋で現在は使われていないという。マキシムから不動産管理人のクローリーを紹介され、これから姉夫婦がくると告げられ二人は出かけて行った。一人残された私は書斎に行くがRと書かれている帳面を見つける。
どんな映画?
金持ち女に同行者として雇われている“わたし”は旅行先で
金持ちの男性にいきなりプロポーズされ、そのまま彼の屋敷のある
マンダレーに向かいます。
天にも登る気分も束の間
屋敷に到着すると
そのゴシック風の屋敷に圧倒されてしまいます。
多くの使用人に怖気付く“わたし”
タイトルにレベッカとありますが
レベッカは夫となったウィンターの亡くなった妻です。
作中レベッカ自身は回想でも姿を現さないし(肖像画では登場します
が)、主人公のジョーン・フォンテインに至っては最後まで名前も明
かされません。
そんな姿が見えない亡霊におびえる主人公。
そこに追い打ちをかけるのがレッベッカの使い魔ダンヴァース夫人。
「オーメン」のベイロック夫人なみに怖いです。
名前も呼ばれない主人公とは対照的に、周囲の人々は口々にレベッカ
、レベッカとそのゴージャスな名前を連呼し彼女の美しさと人柄をほ
めたたえるのです。そして至るところに目にする”R”というイニシャル。
いつの世においても亡くなった前妻というものは
格別に美化されるものです。
こんなのつらすぎるだろーと思いますが
”わたし”はマキシムを愛しているのです。
がんばるのです、から回るのです。
んで、自己嫌悪です。
ダンヴァース夫人は囁きます。
「あなたは彼女に勝てない」
どこまでも盲目にレベッカを崇拝するダンヴァース夫人。
レベッカの思惑通りに行動していくのです。
死せる孔明、生ける仲達を走らす です。
この夫人のレベッカに対する想いは同性愛的なものも
感じますし、同時に悪魔崇拝に近いのではと思うのです。
スタッフ・キャスト
ダフネ・デュ・モーリアの原作をアルフレッド・ヒッチコックが映画化したゴシック・サスペンスです。
雰囲気ばっちり、配役ぴったりの名作です。
イギリス人であるヒッチコックの渡米第一作目の作品がこの「レベッカ」ですが、ヒッチコック作品らしくない女性映画になっていると思います。製作者であるデヴィッド・O・セルズニックの指示がうるさく彼自身の作品になってしまているようです。第13回アカデミー作品賞を受賞しております。
主演のジョーン・フォンテインは、華やかさに欠けますが整った顔の美人。線が細く繊細そうで、精神的な危うさを感じさせます。そういう意味では彼女はぴったりに思えます。実姉のオリヴィア・デ・ハヴィラントのようなかわいらしい感じの美人ではちょっとイメージが違うでしょう。
そしてマキシムにはイギリスの名優、ハゲる前のローレンス・オリヴィエ。
レベッカと何らかの関係していたと思われる従兄弟と名乗るジャックに、やっぱり怪しげなジョージ・サンダース。
ゴシックサスペンス好きには必見の一本です。
ヒッチ先生登場シーン
ジョージ・サンダース扮するジャックが電話ボックスから出た後警官から呼び止められている後ろを通り過ぎる。
まとめ
マンダレーで地獄行き
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