原作者を実際見るとがっかりということがよくあります。
[原題]In a Lonely Place
[製作年]1950[製作国]アメリカ
[日本公開]1996
[監督]ニコラス・レイ
[脚本]アンドリュー・ソルト
[原作]ドロシー・B・ヒューズ
[撮影]バーネット・ガフィ
[音楽]ジョージ・アンタイル
[上映時間]94
主な登場人物
ディクソン・スティール(ハンフリー・ボガート):
通称ディック、脚本家。才能があるが気難しく時に暴力的な一面を見せる男。
ローレル・グレイ(グロリア・グレアム):
ディクソンの向かいに住む女性。ディクソンのアリバイを証明したことにより彼と親しくなる。
その他の登場人物
ブラブ・ニコライ刑事(フランク・ラヴジョイ):ディクソンの軍隊時代の部下。
ロックナー警部(カール・ベントン・リード):ディクソンを疑う。
メル・リップマン(アート・スミス):ディクソンのマネージャー。
ミルドレッド・アトキンソン(マーサ・スチュワート):バーのクローク係。殺される。
あらすじ
有名脚本家のディックは昔気質で気難しく、周囲と衝突することも多かった。その日バーで業界人と飲み、ある本の脚本化の話をされる。その席で映画会社の二代目社長のかつての名優に対する失礼な態度に憤慨し彼を殴りつけた。その後、原作本を読んでいたミルドレッドという若い娘を、脚本の役に立つかもしれないと家まで連れて行くことに。ディックとミルドレッドはアパートの前で女性とスレ違った。ディックの隣人のようだったがディックは会ったのは初めてだと言う。そのままミルドレッドを部屋まで入れ、脚本の話をする。彼女は夢中になって自分の構想する脚本の話をし、時折演技がっかったセリフも織り交ぜた。気がつくと12時半になっていて、彼女を外までは送らず帰らせた。その後朝の5時頃に旧知の仲の刑事ブラブがディックの部屋のブザーを鳴らした。ロックナー警部に呼ばれていると着替えて警察に出向いたディック。ブラブとは戦時中上官と部下の関係だった。ロックナー警部は昨夜の彼女が殺され、車から捨てられていたというのだ。死因は腕で絞殺されたものだった。ディックはその話を聞いてもさほど動揺することもなく冷静に応対していた。写真を見せられ、アリバイを尋ねられたが唯一思いついたのが隣の女性とスレ違ったことだった。すぐに参考人としてローレルが呼び出された。彼女は直接ディックのことを知らなかったが家主から有名人がいると聞かされていたという。その日は12時半にバルコニーに立った時、ディックがミルドレッドを送り出したのを見ていた。そしてその時お互いに目があったと証言した。刑事に男の顔を見るのかと聞かれると彼女がタイプだったからと答えた。アリバイが証明され帰宅したディックだったが、刑事たちは少しでも関わった女性が殺されたことにあまりにも冷静なことに不審感を拭えなかった。ブラブはディックの無実を主張するが、警部は彼は異常人格者なのではと話す。
どんな映画?
小説家やクリエイターはどんなに性格が破綻していようとも作品が素晴らしければオールOK!
ただし犯罪以外はですが…
戦前数々のヒット映画の脚本を手掛けたディックでしたが
義理堅く頑固な職人気質のため
自分の気に入らない原作本の仕事はしないと戦後はヒット作に恵まれていませんでした。
ディックはバーにいた若いクローク係の娘に自分の家に来て、脚本を読み上げて欲しいと頼みます。
後日警察に呼ばれたディック。
彼女がディックの部屋を出た後
車の中で殺され路上に遺棄されたというのです。
さして驚きもしないディックに
疑いをかけるロックナー警部。
しかしアリバイを証言してくれたのが向かいに住む美女ローレルでした。
クールにヒロインを演じるのはグロリア・グレアムです。
激しい気質で時として暴力的。
ボガートの雰囲気に合っています。
何でスイッチ入っちゃうかわかんない
ドキドキ感と情熱的な愛情表現。
まんまDV男にハマる心理状態です。
ジェットコースターのように感情の起伏が激しいディックに惹かれながらも
一抹の不安がよぎるローレル。
こいつマジで殺ってない?
「はかなく終わった 私の人生よ」
公開当時こそ振るわなかったものの現在では再評価されノワール映画の秀作とされています。
感傷的な余韻を残す大人の映画です。
スタッフ・キャスト
主演のハンフリー・ボガートがハワード・ヒューズからニコラス・レイを譲り受け、自らのプロダクションで映画を製作しました。監督のニコラス・レイはアメリカ映画界の巨匠。1947年にボウイandキーチの殺人カップルを描いた「夜の人々」で監督デビュー。1949年にハンフリー・ボガートが弁護士を演じた「暗黒への転落」、アイダ・ルピノが盲目の女性を演じたフィルムノワール 「危険な場所で」(1951年)、ジョーン・クロフォード主演の西部劇「大砂塵」(1954年)でヒットを飛ばし、24歳でこの世を去った伝説の俳優ジェームズ・ディーンの代表的作品となった「理由なき反抗」(1955年)、チャールトン・ヘストン主演の大作「北京の55日」の撮影から病気のため残念ながら引退状態となりました。1978年にヴィム・ヴェンダースとの共同監督の「ニックス・ムービー水上の稲妻」では、病気のニコラス・レイとドキュメンタリーとも言えない不思議な映画でしたが、アイパッチのご尊顔を拝せます。
そんなニコラス・レイと当時結婚していたのがヒロインのグロリア・グレアム。1948年に結婚し、1949年には監督の「女の秘密」に出演しましたが、この「孤独な場所で」の撮影時にはすでに結婚生活は破綻し、別居状態で公開後に別れてしまっそうです。ですので何とな〜く映画にもピリピリ感が出ております。ちなみにグレアムの2番目の夫がニコラス・レイで4番目の夫が息子のアンソニー・レイでした。女優とては好調で、1952年にはたて続けにノワール調の映画に出演、フリッツ・ラング監督の「復讐は俺に任せろ」(1953年)・「仕組まれた罠」(1954年)でファムファタールぶりを発揮しております。
まとめ
疑って地獄行き
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