マンションの上の階から変な物音がすると穴でも掘られているんじゃないと気になります。
妄想ですが…
[原題]Gaslight
[製作年]1944[製作国]アメリカ
[日本公開]1947
[監督]ジョージ・キューカー
[原作]パトリック・ハミルトン
[脚本]ウォルター・ライシュ/ジョン・L・ボルダーストン
[音楽]ブロニスラウ・ケイパー
[上映時間]114
主な登場人物
ポーラ・アルキスト・アントン(イングリッド・バーグマン):
殺された有名オペラ歌手の姪。おばさんにクリソツな美しい容姿を持ち、同じオペラ歌手を目指していたがグレゴリーにプロポーズされあっさり歌手を断念して結婚を決める。
グレゴリー・アントン(シャルル・ボワイエ):
ポーラにプロポーズし夫となる。
ブライアン・キャメロン(ジョセフ・コットン):
警部。子供の頃ポーラの叔母であるアリスに会ったことがある。
その他の登場人物
ナンシー・オリヴァー(アンジェラ・ランズベリー):不愛想な若いメイド
スウェーツ(メイ・ウィッティ):近所のおせっかいおばはん
あらすじ
ロンドン、ソートン・スクエアの屋敷で有名オペラ歌手のアリス・アルキストが自宅で、何者かに殺害されて発見された。彼女の遺産をすべて引き継いだポーラは叔母の死にショックを隠せず、歌の勉強の為イタリアへ留学することに。すっかり大人になったポーラは教室の伴奏者アントンに求婚され知り合ってまだ間もないことが
気になり、一人で考える為コモ湖に旅行に行くことにする。旅行中の汽車の中で、話好きのスウェーツと知り合い叔母の殺人事件の話を持ち出される。コモ湖に着くとアントンが先周りしており二人はそのまま結ばれる。結婚し、幸せになるはずのポーラだったが、叔母の死から10年足を踏み入れていなかった。
アントンが希望するような屋敷だったためそこで新婚生活を開始することに。事件に興味を持っていたスウェーツはイタリアで会った夫人に興味津々だったが、夫はあまり快く思っていない。叔母の遺品の中に片方だけの手袋があった、片方は熱狂的なファンにあげたと言う。他の家具を見ているとピアノの中から手紙が出てくる。事件の二日前に叔母あてに送られたものだったが素早くアントンが取り上げてしまった。ご近所のスウェーツは屋敷の様子を探ろうと耳が遠いメイドに聞きだそうとする。帰宅するとアントンは若く不愛想なメイド、ナンシーを雇い入れた。ポーラがアントンと出かける際、カメオをプレゼントされる、喜んで着けようとするが君はよく物をなくすからとバックの中に入れられる。ロンドン塔に出かけ、処刑道具の説明を受けているときポーラはバックの中のカメオが無くなっていることに気づく。
二人でコイ・ヌールのダイヤモンドを見学し、不安気に外を歩くポーラをブライアンと言う警部が見つけて驚くのだった。
どんな映画?
ロンドンの屋敷で殺人事件が起きます。
有名オペラ歌手の叔母が殺され放心状態のポーラは、叔母と同じオペラ歌手を目指しイタリアへ留学します。
大人になったポーラは音楽に集中できなくなっていました。
恋をしたのです。
相手はレッスン室のピアノ伴奏者アントンでした。
知り合って半月ばかりの2人でしたが、アントンはしつこくポーラに求婚。
早すぎるとためらうポーラは考えるため、コモ湖に一人旅に。
そこでおしゃべりおばさんスウェーツさんと知り合いになります。
コモ湖で先回りしていたアントンと結ばれたポーラはロンドンで新生活を始めることに。
叔母が殺された屋敷に住むことに気乗りがしなかったポーラですが、アントンの強い
希望により二人で暮らすことになります。
幸せいっぱいのポーラでしたがロンドン塔にアントンと出かけたおり彼からもらったブローチがなくなっていることに気づきます。
不安な中、外でたまたまであったブライアン警部に会釈します。
まったく知らない人物でしたがポーラはどこか懐かしいような気がしていました。
一方、ブランドンはポーラを見て驚きました。
死んだ有名オペラ歌手にそっくりだったからです。
アントンはポーラに君は忘れっぽくなったと話しさりげなく不安を煽っているよう。
そして、ポーラは部屋のガス燈がおかしいと思い始めるのですが…
心理学で使われる「ガスライティング」という言葉はこの映画にちなんでいるそう。
夫のアントンがポーラに対して、物忘れがひどいとか物を盗んでいる、ガス燈の炎が小さくなる事を勘違いだと妻を否定し、混乱させていく心理的圧迫のことを指しているとのこと。今で言うモラルハラスメントのこの夫、夫の言うことにびくびくするその妻。
精神不安定な妻の役をイングリッド・バーグマンがやや抑え気味に演じていましたが、おどおどしたかんじが良く出ていました。この演技で当時29歳のバーグマンが第17回アカデミー賞主演女優賞を受賞し、初のオスカー獲得となりました。
実は一番恐ろしいのは直接的な殺人ではなく、精神病に仕立て上げられてしまうという心の殺人ではないでしょうか。
スタッフ・キャスト
「ガス燈」は1940年にイギリスでソロルド・ディキンソン監督により映画化されていて、イングリッド・バーグマン版は2度目の映画化作品になります。原作はイギリスの劇作家パトリック・ハミルトンの戯曲を元にしています。ハミルトンは他に1948年のアルフレッド・ヒッチコック監督の「ロープ」があります。
ポーラの夫を演じたシャルル・ボワイエはフランス出身でフランスやハリウッドで晩年まで活躍した名優。知的で端正なお顔立ちで貴族や博士役などが多かったです。
おせっかいおばさんのスウェーツを演じたメイ・ウィッティはイギリス人女優。ヒッチコック映画では1938年の「バルカン超特急」でいなくなるおばはん役、1941年の「断崖」では主人公の母親役で出演しております。
メイド役で出演していたアンジェラ・ランズベリー。現在93歳のランズベリーですが、この映画当時17歳のぴちぴちです。こちらが映画デビュー作になりますが、いきなりアカデミー助演女優賞にノミネートされる恵まれたデビューでした。
アンジェラ・ランズベリーと言えば「ジェシカおばさんの事件簿」が有名ですが、すでにおばさんになってから馴染んでいるので、この頃の若い彼女をみるとかわいいのでびっくりします!
美人がひっかかる恐怖のモラハラ男。
まとめ
結婚したら地獄行き
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