ここはチャイナタウン「チャイナタウン」

フィルムノワール


日本には3大中華街があります。横浜中華街、神戸の南京町、長崎新地中華街です。

[原題]Chinatown
[製作年]1974[製作国]アメリカ
[日本公開]1975
[監督]ロマン・ポランスキ―
[脚本]ロバート・タウン
[製作]ロバート・エヴァンス
[撮影]ジョン・A・アロンゾ
[音楽]ジェリー・ゴールドスミス
[上映時間]131

主な登場人物

ジェイク・ギテス(ジャック・ニコルソン):
ロサンゼルスで開業する私立探偵。元はチャイナタウンで刑事だった。

イヴリン・モウレー(フェイ・ダナウェイ):
水道局局長モウレーの妻。ノア・クロスの娘。

ノア・クロス(ジョン・ヒューストン):
イブリンの父。土地の権力者。

その他の登場人物

アイダ・セッションズ(ダイアン・ラッド):モウレー夫人になりすます
カーリー(バート・ヤング):妻の浮気調査依頼
エヴリン家の執事:ジェームズ・ホン
農夫:ランス・ハワード
鼻を切る男:ロマン・ポランスキー

あらすじ

ジェイクはロスで、浮気調査などの探偵を仕事にしていた。ある日派手目のおばさんくさい女が事務所を訪れ、水道局の局長で夫のホリス・モウレーの浮気調査を依頼してきた。しぶしぶ依頼を受けたジェイクはダム建設の住民説明会に行き、モウレーを確認する。彼はダムは危険だとダム建設に反対していた。しかし住人たちの反撥にあっているようだった。モウレーを見張るジェイクだったが彼の頭の中には水のことしか無いようだった。ジェイクは車のタイヤの下に時計を置き、壊されt時間を確認していた。写真を撮っていたウォルシュはモウレーがパブの前で誰かともめていて、アップルコアとだけ聞こえたという。その後すぐに連絡が入りモウレーが公園でデート、マコンド・アパートという場所で女と密会している所を上から撮影して証拠と撮った。しかし、写真は何者かによって新聞社に売られ、そのスクープを撮った人物だとして有名になったが非難の的になってしまった。いきまいて事務所に戻った床屋で聞いた中国人の話をすると後ろに女性が弁護士を従えて立っていた。彼女はモウレー夫人と名乗り、依頼人の女性とは似ても似つかない美しい夫人だった。そして彼女はジェイクを訴えるというのだ。

どんな映画?

私立探偵のジェイク・ギテスは、ある日モウレー夫人と名乗る人物から夫の浮気調査を依頼されます。
ここでフィルム・ノワールの定石で行くと美人の依頼人が来るのですが、けばけばしい女性でちょっと違います。なのでテンションが上がりません。

仕方なくダム建設の住民説明会に行ったギテス。水道電力局の局長モウレーはダムは危険だから造らない方がいいと反対していました。

ギテスはモウレーを監視します。しかしモウレーは現場を訪れるばかりでなかなか女と会っている様子はありません。
一方で写真を撮らせていましたが、パブの前で誰かともめていたようですが内容はわからずじまい。するとすぐにモウレーが女とデートしていると情報が入りすぐに証拠写真を撮ります。

証拠写真は新聞社にリークされ、ギテスは見知らぬ男からも批難されるようになります。
そして事務所に戻ると後ろに立っていたのは本物のモウレー夫人でした。
最初に来た女性とは打って変わってフェイ・ダナウェイがいるではありませんか!?

彼女は弁護士を連れてギテスを訴えると言うのです。
ギテスはモウレーの事務所を訪れますが、彼には会えず彼を探そうと貯水池に向かいます。

しかし、ギテスはそこでモウレーの遺体と対面するのでした。

鼻を切られて痛々しい顔のギテス

この映画は1930年代のロサンゼルスを舞台に、水をめぐる陰謀と愛憎渦巻く人間関係を描いた70年代フィルム・ノワールの傑作の一つだと思います!
当時のロスのチャイナタウンは混沌としていて猥雑でミステリアスな場所。ギテスはかつてチャイナタウンを管轄していた元警部。あまりいい思い出はないと話します。

飽きさせない展開と構成。
シーンの一つ一つが印象深く、ギテスがポランスキー監督に鼻を切られる場面はいつ見ても思わず鼻を抑えてしまいます。
殺人、リンチや女性に対する暴力(ホントのコト言ってんのに)、タブー、陰謀etc

混沌が集約されているラストのセリフ
「Forget it,Jake.It’s Chinatown」
やり場のない怒りを残すバッドエンディング。必見です。


巧みな脚本はこの映画でアカデミー賞脚本賞を受賞したロバート・タウンです。

スタッフ・キャスト

監督のロマン・ポランスキーはご出演もされていって、ちっちゃい方です。

監督の人生はそれだけで映画が何本も撮れそうなぐらい波乱万丈すぎてほんまかいなと思うほど。
ポーランド人の監督は、ホロコーストあり、シャロン・テート虐殺事件あり、淫行疑惑事件あり、数々の女性遍歴ありと私生活ではどーなんでしょうと思うこともありますが、そういった人生経験が映画製作に活かされているのは間違いないと思われます。精神的恐怖を描いた作品は卓越しています。
1976年の「テナント/恐怖を借りた男」での女装シーンはトラウマ級です。
淫行疑惑事件によりアメリカの地を二度と踏めなくなってしまった(逮捕されます)監督ですが、まだまだ頑張っていただきたいです。

ノア・クロス役のジョン・ヒューストンは初期のフィルム・ノワールの傑作「マルタの鷹」や「アスファルト・ジャングル」を撮った巨匠。その強面の風貌からもうかがえるように豪快な方だったらしく、1951年の「アフリカの女王」のアフリカ撮影は監督がハンティングに夢中になり混迷を極めたそう。(ここら辺はクリント・イーストウッド監督の1990年の映画「ホワイトハンター・ブラックハート」に描かれています)
監督の娘がアダムスファミリーのお母さん役で有名なアンジェリカ・ヒューストンで、当時ジャック・ニコルソンと付き合っていたことが縁での出演だそう。

製作は名プロデューサーとして数々のヒット作を世に送り出したロバート・エヴァンズ。ここら辺のことは2002年の「くたばれ!ハリウッド」にさらっと描かれています。

偽のモウレー夫人を演じたダイアン・ラッドは、ブルース・ダーンの元妻で女優ローラ・ダーンのお母さんです。

ポラランスキー監督のニュー・フィルム・ノワールの傑作です!

まとめ

チャイナタウンで地獄行き

コメント

タイトルとURLをコピーしました