ホントだったら今頃は…
[原題]Walk,Don’t Run
[製作年]1966[製作国]アメリカ
[日本公開]1967
[監督]チャールズ・ウォルタース
[製作]ソル・C・シーゲル
[原作]ロバート・ラッセル/フランク・ロス
[脚本]ガーソン・ケニン他
[撮影]ハリー・ストラドリング
[音楽]クインシー・ジョーンズ
[上映時間]114
主な登場人物
ウィリアム・ラトランド卿(ケーリー・グラント):
ビジネスで日本にやってきたイギリス人、母親はアメリカ人。早めに到着してしまい、オリンピック間近の日本ではホテルが取れず大使館で部屋を探すことに。
クリスティーン・イーストン(サマンサ・エッガー):
ルームシェアの相手を探していたイギリス人女性。手違いでラトランドが来てしまい、不本意ながらルームメイトになることに。変な名前の男ハヴァーサックと婚約中。
スティーヴ・デイヴィス(ジム・ハットン):
建築家の卵。実は競歩の選手として日本にやって来たアメリカ人
その他の登場人物
ジュリアス・P・ハヴァーサック(ジョン・スタンディング): 英国大使館第二秘書官、クリスティーンの婚約者
クラワ・アイコ(高橋以子): クリスティーンの友人
ユーリ・アンドレアビッチ(テッド・ハートリー): ロシア人スティーヴの友人
警官(ジョージ・タケイ): スパイ容疑でスティーヴを逮捕
アイコの父(島田テル)
あらすじ
1964年のオリンピックで活気づく東京に、商用でやってきたラトランド卿。2日早く到着してしまったためホテルはどこも満室だった。仕方なくイギリス大使館でどこか部屋を都合できないかと相談するが、大使にはあえず秘書官のハヴァーサックに早く着いたほうが悪いと失礼な態度だったが、彼がウィリアム・ラトランド卿だとわかると態度を一変させた。しかし無駄だと悟ったラトランドは掲示板に貼ってあったアパートの同居人を求むの募集を見てタクシーを走らせた。先にいアパートに入っていく女性の後ろをついていく形になってしまったが特に気にしないラトランド。アパートの住人である女性はクリスティーン・イーストンと名乗り、うっかり女性限定と書くのを忘れてしまったと言う。ラトランドは気にせずズカズカ部屋に上がり込み詳細を尋ねる。家賃は折半で週6800円だと言う。早速金を支払うラトランドに、男女が同じ部屋は無理があると言うクリスティーンの意見も気にせず強引に部屋を借りることに。生真面目なクリスティーンはラトランドにシャワーや洗面台を使う時間割を説明。翌朝クリスティーンが洗面所を使っている間にコーヒーの準備を始めるラトランド。分刻みで交代するがラトランド慣れない部屋で四苦八苦する。そこにクリスティーンの日本人の友人のアイコが迎えに来るがラトランドと鉢合わせし、少しコーヒーを飲んだ後2人は仕事に出かけた。その後ラトランドは電気製品の商談に出掛け契約を済ませ建物の外を見学していると、写真を撮っている外国人に出会う。彼らは建築を勉強しているが警官に呼び止められる。身分を確認すると彼はアメリカ人のオリンピック選手でもう一人はロシアのハードル代表選手だった。ラトランドは背の高いアメリカ人に興味を持ち何の競技だと着いていくが、中々教えない。
どんな映画
この映画は名優ケーリー・グラントの最後の出演作であり、1964年の東京オリンピックの日本を描いており、撮影自体は翌年の日本で行われていますが当時を知る貴重な映画でもあります。結構トンデモ日本を描いていてある意味見どころ満載です。
オリンピックで賑わう1964年の東京。
日本人なら昭和39年と言った方がピンとくるでしょうか?
そんな東京にやって来たのはイギリス人紳士ラトランド卿。
しかし2日早く到着してしまったため予約していたホテルは空きがないと言われてしまします。
ラトランド卿が入ったのは
虎ノ門にあるホテルオークラ東京!
現在は残念ならがこちらに登場していた本館は閉鎖されています。
ホテルの従業員は日本人らしく妙にペコペコ。
つられてラトランド卿もペコペコ。
拉致が開かないので宿を求めてイギリス大使館へ。
変な名前の大使館職員にむげにされるラトランド卿は掲示板にアパートの同居人求の募集を見て早速言ってみることに。
いかにもセットのアパートにレッツゴー!
屋根瓦に障子の外観なのに入ってみると結構洋風。
そこに住んでいたのはイギリス人独身女性のクリスティーン。
彼女が募集していたのは女性であっておじさんは困ると断るが、引き下がらないラトランド卿。
強引に部屋に入り込んでしまいます。
仕方なくルームシェアすることにしたクリスティーンは、イギリス人気質の几帳面さで分刻みにバスルームの予定を決めてしまいます。
翌日ラトランド卿は商用でビルに出向きます。そこで背の高いアメリカ人オリンピック選手スティーブと出会い…
競歩の競技中に乱入してくるラトランド卿。スティーヴの前を行くのが日本代表のタナカ選手。
この映画は1943年のジョージ・スティーブンス監督の「陽気なルームメイト」のリメイクになります。「陽気なルームメイト」では当時第二次世界大戦中の住宅難によって仕方なく同居するという設定でしたが、それをオリンピックで塞がるホテル事情に置き換えています。
2020年、何もなければ今頃東京のホテルは国内外から来る人たちで埋め尽くされていたので、こんな出会いが生まれていたかもしれませんね。
スタッフ・キャスト
監督のチャールズ・ウォルタースは主にミュージカル映画で活躍した人物。1948年にジュディ・ガーランドとフレッド・アステアが主演した「イースター・パレード」、1955年にはビング・クロスビー、グレース・ケリー、フランク・シナトラが主演したミュージカル・コメディ映画「上流社会」などを監督しています。映画監督としてはこの1966年の「歩け走るな!」が最後の作品となってしまいましたが、その後はテレビで活躍されました。
「歩け走るな!」が最後の出演になった名優ケーリー・グラント。1965年に女優のダイアン・キャノン(「デス・トラップ 死の罠」に出演)と結婚し、この映画の同年に娘が生まれています。60歳過ぎてから初めて実子のパパになったケーリー・グラント。実はこの娘さんの養育のために62歳で俳優業を引退したということです。結婚生活は破綻していて娘のジェニファー・グラントが2歳の時にダイアン・キャノンとは離婚しています。
実際にイギリス人のサマンサ・エッガー。前年の1965年に出演したウィリアム・ワイラー監督の「コレクター」のヒロイン役で注目され、この映画ではラブコメに挑戦していますが、その後は何でかホラー映画の出演が多くなっています。中でも1979年のデヴィッド・クローネンバーグ監督のホラー映画「ザ・ブルード/怒りのメタファー」で衝撃的な姿を披露しております。何でキャスティングされたかというと、当時離婚問題で憔悴していたクローネンバーグ監督の元妻がサマンサ・エッガーに似ていたということ。サマンサ・エッガーからしてみたら複雑だったと思いますが映画は面白いです。
サマンサ・エッがーの相手役を演じたのはアメリカ人俳優のジム・ハットン。現在俳優のティモシー・ハットンの父親としても知られていますが、アメリカではエラリー・クイーンのテレビシリーズで有名です。しかし45歳の若さでがんで亡くなられています。ちなみにノンクレジットですが、アルドリッチ監督の「地獄へ秒読み」で爆弾現場の労働者として登場しています。
まとめ
突然のルームメイトで地獄行きかと思ったら天国行き
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