カウントダウンが始まると
焦るタイプです。
[原題]the Seconds To Hell
[製作年]1959[製作国]イギリス・西ドイツ
[日本公開]未公開、TV放映(「地獄へ10秒」)
[監督・脚本]ロバート・アルドリッチ
[製作]マイケル・カレラス
[撮影]アーネスト・ラズロ
[上映時間]93
主な登場人物
エリック・コートナー(ジャック・バランス):
爆弾処理係。戦前は建築家だった。
カール・ワーツ(ジェフ・チャンドラー):
コートナーの同室。自分だけは生き残ろうと考える狡猾な男。大金を手にしたいと考えている。
その他の登場人物
マーゴ(マルティーヌ・キャロル):宿泊所の女主人
ルーフラー(ロバート・コーンスウェイト):動物好き
スルケ(ウェズリー・アディ):妻子持ち
あらすじ
第二次世界大戦直後のドイツ、ベルリン。列車から降りてくる6人の男たち。彼らは戦争中行く度となく落とされた爆弾の、不発弾を処理する係だった。戦後の復興の為にも、6人は命がけの作業を課せられているが、必ずしも報酬は高いものではなかった。6人は報酬の半分を出し合い最後に生き残った者が全額もらえるよう賭けを始める。少佐からの仕事の依頼を連絡係を通して受けることになった。コートナーの宿泊先はワーツと同じで、マーゴという女主人がいた。爆弾処理中に一番の若者が死んだ。コートナーは情報収集を始めたが原因がわからなかった。英国の情報を得ようとした。次に爆弾処理を行った際、ロープをつかい、成功した。ワーツは女主人を狙っていて無理やり口説いたが、コートナーは黙っていられなかった。次々に不発弾の処理中仲間が死んで行き…
どんな映画?
ローレンス・バックマンの「不死鳥」を原作としたロバート・アルドリッチ監督作品です。
第二次世界大戦中に落とされた何100万個の爆弾。
それが終戦後不発弾のまま市街に残され住民にとっては生活を脅かすものとなっていました。
戦後70年以上経った日本でも
地下を掘っていると未だに見つかる
不発弾。
落とす方もその後のことは何も考えてないですね~。
まさに戦争でボコボコになった
ドイツベルリン。
そこに降り立ったのはナチに屈しなかった元ドイツ兵で爆弾処理の経験者たち6人。
最初に全員の自己紹介がある親切仕様。おまけに主人公をべたボメ。
仕事にありつけたと喜ぶ仲間たちに
気乗りしていないのがリーダー格の
コートナーでした。
すでに仲間が死んでいる危険な仕事。
特に妻子持ちのスルケにはやめたほうがいいと声をかけます。
自分は生き残るというコートナーに
ワーツは誰が最後まで生き残るのか賭けをしようと提案。
そこで6人はそれぞれの給料を賭け
最後まで生き残った者が全額受け取れるという地獄の賭けを始めることに…
仲間で協力しないと爆弾撤去はできません、しかし裏切り者がいたら…
ベルリンで10週間に渡って撮影が行われました。ベルトルッチ監督は爆弾の処置に細心の注意を払ったそう。ロマンスの部分は薄いのですが特殊な職業ものとして珍しい一本です。
スタッフ・キャスト
アメリカ出身のロバート・アルドリッチは、1955年にトンデモフィルムノワールの傑作「キッスで殺せ!」と芸能界の裏幕フィルムノワール「悪徳」を監督。「悪徳」では、この映画でも主人公を演じているジャック・パランスを起用。翌年にもジャック・パランス主演の戦争映画「攻撃」を監督しますが、反戦的な内容による批判とその後の映画会社との契約トラブルによりアメリカで仕事が回ってこずヨーロッパへ。そんな時監督したのがこの「地獄へ秒読み」でした。イタリアで「ソドムとゴモラ」を撮影した後、ワーナー・ブラザーズで恐怖(?)映画「何がジェーンに起こったか?」を監督・製作します。監督最大のヒットは1967年の「特攻大作戦」ですが、醜悪な姉妹のドロドロを描いた「何がジェーンに起こったか?」は大女優ベティ・デイヴィスを妖怪に変えた伝説的映画です。10年ごとにヒット作を出すと自嘲するほどヒットと世紀の興行失敗を繰り替えした貴重な映画監督です。2人の大女優ジョーン・クロフォードとベティ・デイヴィスの確執描いた2017年のドラマ「フュード/確執 ベティVSジョーン」ではアルドリッチ監督をアルフレッド・モリーナが演じていました。
主演のジャック・パランスは顔の形に特徴があり、ぱっと見悪役の風貌です。
1950年にエリア・カザン監督の「暗黒の恐怖」で映画デビュー。この映画で伝染病にかかった逃亡犯を熱演。1952年の「突然の恐怖」ではジョーン・クロフォード演じるオールドミスの脚本家と結婚し、その命を狙う若い夫役を。「突然の恐怖」ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。その後1955年にアルドリッチ監督が自ら立ち上げた映画製作会社の第一弾作品「悪徳」で、暴力的な有名俳優役を演じ、翌年には同じくアルドリッチ監督の「攻撃」に主演。いずれもアクが強く存在感大有りでした。西部劇からホラーまで様々な映画で活躍し、中でも老齢になってから出演した「バグダット・カフェ」(1987年)で演じた画家役は、主演のふくよか女性のヌードに度肝を抜かれ忘れられない一本です。
ジャック・パランスのライバル役のジェフ・チャンドラーは一時期ユニヴァーサルの看板スターでした。1950年のジェームズ・スチュアート主演の西部劇「折れた矢」でアパッチの族長を演じアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、名前を広く知られるようになりました。1962年のサミュエル・フラー監督の「陽動作戦」に出演中、脊髄を損傷し手術の合併症により41歳の若さで亡くなっています。白い髪と高い鼻印象的です。
ヒロインは元祖フランス産グラマー女優のマルティーヌ・キャロル。この映画では添え物的な扱いで彼女のセックス・アピールがあまりない残念な感じがありますが、1950年代のマルティーヌ・キャロルは「夜ごとの美女」(1952年)、「ボルジア家の毒薬」(1953年)「歴史は女で作られる」(1955年)などまさに美女役で出演しておりました。ですが1960年代には人気が失墜してしまいました。
製作のマイケル・カレラスは1972「王女テラの棺」などを監督、
ロバート・コーンスウェイトは「遊星よりの物体X」に出演しております。
まとめ
カウントダウンで地獄行き
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