オールドミスの役が似合いますって
嬉しいですかね?
[原題]The African Queen
[製作年]1951[製作国]アメリカ・イギリス
[日本公開]1952
[監督・脚本]ジョン・ヒューストン
[脚本]ジェームズ・エイジー
[原作]セシル・スコット・フォレスター
[製作]サム・スピーゲルジョン
[撮影]ジャック・カーディフ
[音楽]アラン・グレイ
[上映時間]105
主な登場人物
チャールズ・オルナット(ハンフリー・ボガート):
通称チャーリー、クウィーン号の船長。酒飲み。
ローズ・セイヤー(キャサリン・ヘプバーン):
ロージー。宣教師の兄と共に東アフリカの奥地で布教活動を行なっていた。オールドミス。
その他の登場人物
セイヤー牧師(ロバート・モーリー): ローズの兄
艦長(ピーター・ビル):ルイゼ号の艦長
ルイゼ号船長(セオドア・ビケル)
ドイツ将校(ウォルター・ゴテル)
あらすじ
1914年9月ドイツ領東アフリカで年増のローズは牧師の兄と共に10年間原住民に布教活動を行っていた。そにはクウィーン号の船長のオルナットが定期便で郵便を彼らに運んでいた。三人でお茶を飲んでいると、オルナットは席を立ちドイツとの戦争が始まったと伝えた。興味のないオルナットは詳しいことを言わない。しかしローズたちの住む場所にもドイツ軍が押し寄せ牧師を殴りつけ村を焼き払った。心労で兄の牧師は息を引き取る。尋ねてきたオルナットはすぐに牧師を埋め、ローズをドイツ兵から逃がしてやると言う。クウィーン号に乗ったローズは、オルナットから舵を頼まれる。これからどうするという話しになり、ローズは湖に流れ込むウランガ川を通ればいいと提案するが、オルナットはドイツの警備艦であるルイゼ号がおり、川を下るにはドイツ軍の監視所のショーナを通りその後は激流と通らねばならないと言う。ローズは木箱の爆薬とボンベを見て魚雷をつくってルイゼ号に突っ込んでみようと提案するが、冗談じゃないと一蹴するがローズは聞かない。出発した二人だったのだが…
どんな映画?
この映画でハンフリー・ボガートが念願のアカデミー賞主演男優を受賞しています。一見粗野で乱暴なのに、本当は心やさしいナイスガイがよく似合います。
アフリカの奥地で牧師の兄に従い布教活動にいそしむローズ。
適齢期はとうに過ぎてしまっていますが、仕方ありません。
二人の訪れるのは、定期連絡船クウィーン号に乗って、郵便や荷物を運んでくる中年男
オルナットだけだったからです。
オルナットは小汚いかっこうに無精ひげ、酒好きで粗野な男でした。
しかしドイツとの戦争が始まり、こんな場所にもドイツ兵が訪れ
集落を焼き払って行きます。
憔悴しきったローズの兄セイヤー牧師は失意の内に亡くなります。
そこにオルナットがやって来て二人でドイツ兵から逃げることに。
クウィーン号に乗り込むローズ。
ドイツ軍が四方を固める中、進路で議論なる。
勝ち気で理路整然とオルナットに提案するローズ。
高慢な女だな~と感じるオルナット。
一緒に船に乗りながら徐々に近づいていく二人。
しかし、気を良くしたローズはまたもや無茶な提案をします。
そんな危険な事はできないとオルナットは
「この、もらい手なしのやせすぎ婆さんめ!!」
ほ、ほんとのこと言った・・・・
当然アラフォーは怒り狂います。
しかしローズの場合は静かに復讐します。
オルナットのジンをすべて川に捨てます。
けっこう陰険です。
そして無視。
かなり陰険です。
無視に耐え切れなくなったオルナットは折れ、船を進めることにするのですが・・・・
中年男女にしか出せない味わいのある冒険と恋愛。
最後のルイゼ号でのことは感動です!
ウガンダとコンゴなど、アフリカロケを敢行したこの映画。リアリティと臨場感あふれる傑作アドベンチャー映画、そして妙齢の男女が織りなす一風変わった恋愛模様、反発しながらもお互いがなくてはならない存在だと気づいていく様は感動的です!
ですがこの映画、完成までに大変な困難に見舞われました。まず監督のジョン・ヒューストンがハンティングに夢中になって撮影にならない。気候も過酷な上に、水が合わず体調不良に陥る人が続出と、どの映画のロケでもそうですが、僻地でのロケはみんなぐったりで次第におかしくなっていくのがつきもの。ここら辺のお話が1990年のクリント・イーストウッド監督の「ホワイトハンター ブラックハート」で描かれております。
スタッフ・キャスト
監督のジョン・ヒューストンとハンフリー・ボガートは好相性で監督のデビュー作である「マルタの鷹」(1941年)から、同年に脚本を担当した「ハイ・シエラ」、「パナマの死角」(1942年)、「黄金」(1948年)、「キーラーゴ」(1948年)、「悪魔をやっつけろ」(1953年)などに出演しています。
ローズ役のキャサリン・ヘプバーンはアカデミー賞を4度受賞したハリウッドを代表するスター中のスターなのですが、わたくしが思うに、このお方ほどオールドミスの役が似合う人はいないんじゃないかと!!この映画での役どころもそうなのですが、1955年の「旅情」、1956年の「天を降らす男」、1975年の「オレゴン魂」などで婚期をはるかに過ぎた女性を演じております。長身で知的な容貌、一緒にいると全部空気を吸われそうな鼻の穴、痩せてやや男性的な体つき、キャリアを追及するあまり婚期を逃した女性といった面持なのです。もちろん1967年の公私ともにパートナーだったスペンサー・トレイシーの妻役の「招かれざる客」、1981年のヘンリー・フォンダの妻役の「黄昏」などでは厳しく凛としていて、的確なアドバイスができる母親役も素敵でした。
まとめ
地獄の渡航船
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