大人になるまで待ってて「ジェニーの肖像」

ドラマ

昔国宝展で「頼朝像」を見て大変感動したのですが
今じゃ頼朝じゃないとかもと言われていて
びっくりです。

[原題]Portrait of Jennie
[製作年]1947[製作国]アメリカ
[日本公開]1951
[監督]ウィリアム・ディターレ
[製作・脚本]デヴィッド・O・セルズニック
[原作]ロバート・ネイサン
[脚本]ポール・オズボーン/ベン・ヘクト・ピーター・バーネイズ他
[撮影]ジョセフ・オーガスト
[編集]ウィリアム・モーガン
[音楽監督、作曲]ディミトリ・ティオムキン
[上映時間]86

主な登場人物

イーベン・アダムス(ジョゼフ・コットン):
売れない貧乏画家。ある日公園で不思議な少女ジェニーと出会う。

ジェニー・アップルトン(ジェニファー・ジョーンズ):
アダムスが公園で出会った少女。昔に閉鎖された劇場で親が芸人をやっていると言うのだが…

その他の登場人物

マザー・メアリー・オブ・マーシー(リリアン・ギッシュ):ジェニーが慕っていた修道院のシスター
ミス・スピ二ー(エセル・バリモア): 画廊のオーナー
マシューズ(セシル・ケラウェイ): 画商
美術館で絵を見る少女(アン・フランシス)

あらすじ

メトロポリタン美術館にある一枚の肖像画、描かれているのはジェニーと言う名の少女だった。
1934年、冬のニューヨーク。マシューズ&スピニー画廊を訪れた貧乏画家のアダムスはスケッチを持って売り込みに来た。大した作品ではなかったが女性店主のスピニーは彼を気に入り購入した。店を出たアダムスだが相変わらず貧乏で空腹。公園のベンチに置いてあった新聞の包み紙を見つけて拾う。すると少女がそれは私のだと声をかけてくる。アダムスは彼女に名前を尋ねると、その少女はジェニー・アップルトンと名乗った。彼女の両親は芸人でハマースタインのヴィクトリア座で手品や曲芸を披露していると言う。しかしそこはアダムスが子供の頃閉鎖したと言う。そんなことよりアダムスの絵が見たいと言うジェニー。彼女に絵を見せると、大きい教会なのに窓が小さいと言うジェニー。アダムスはコッド岬は風が強いからと答えると、この絵は水が黒くて怖いと言う。そしてここに灯台があったはずと。知っているのというとそんな気がすると答えるジェニー。ジェニーはアダムスに背景画はやめて人を描いたらとすすめる。彼女は歌を歌ってくれた後、好きな遊びだと言って3回回って一番望んでいることを言うのだと。ジェニーは回りながら大人になるまで待ってという。昔のことばかり話す彼女を変な娘だなと感じたが振り向くと彼女はいなくなっていた。下宿に戻り新聞紙にくるまれていたものを開けてみるとそこにはスカーフが入っていた。

どんな映画?

アメリカのファンタジー作家ロバート・ネイサンの小説を映画化した作品です。
昔の少女漫画によくあった設定の元祖というべきラブ・ファンタジーの傑作に仕上がっております。

ニューヨークマンハッタンにある世界最大級のメトロポリタン美術館に飾られている一枚の絵。
そこにはジェニーという少女が描かれていますた。

その絵には不思議な物語が隠されていたのです。

1934年の冬のニューヨーク。
売れない画家のイーベンは貧しさと
スランプに苛まれていました。
画廊で絵を売り込みますが、風景画では売れないと言う画廊主に共同経営の老婦人スピニーが彼の絵を気に入り購入してくれます。

空腹のあまりフラフラでセントラル・パークを歩くイーベン。
ベンチに新聞紙に包まれた何かを見つけます。

「それ私のよ」

と声をかけてきたのは雪だるまを作る少女でした。
彼女はジェニー・アップルトンと名乗り両親はヴィクトリア座の芸人だと話します。

イーベンは??でした。
彼女の言うヴィクトリア座はとうの昔になくなっていたからです。

少女はイーベンに
「大人になるまで待ってて」
と告げて消えるようにいなくなってしまします。
彼女が忘れて行った新聞紙の包みはスカーフが。

不思議な少女だな~
大人になるまでなんてそんな待てねーし
とぼんやり考えながら彼女の面影を思い出しながら絵を描いてみます。

包みの新聞紙は1910年のもので
フランスの舞台女優サラ・ベルナールが来日すると書かれています。サラ・ベルナールは1923年に亡くなっているのでこの頃既に故人のはず。
そこにはヴィクトリア座の広告が。

ジェニーのスケッチは高く売れ、
イーベンはスピニーに悩みを打ち明けます。
自分は芸術家として成功するのだろうかと。

イーベンが公園でスケートをしていると再びジェニーが現れます。
そしてなんだがちょっと成長しているみたい。
彼女は一体何者なのか?

摩天楼の間から太陽の光を浴びて
消えていくジェニー。幻想的で美しシーンです。
セントラル・パーク周辺にはこの頃すでに高層ビル群が立ち並んでいます。

売れない画家の青年が出会った不思議少女。彼女への愛で芸術的感覚に目覚める画家でしたが、中盤に彼女が既に故人だとわかります。
そんなはずない彼女は現実に存在すると、探し求めるのですがある真実にたどり着きます。
彼女の生前の願いはたった一つ
「愛し愛される誰かに出逢いたい」
と言うこと。
ジェニーの願望による残留思念が一人の画家に届いたのです。
この映画は一種の幽霊譚になるのですが、日本だと「牡丹灯篭」のような怪談になりますが、ロマンチックな悲恋として大変甘美に描かれています。
古典的名作映画の一本です!!

スタッフ・キャスト

監督のウィリアム・ディターレは1940年代にデヴィッド・O・セルズニックの独立プロで映画を監督。1945年にはジョゼフ・コットンとジェニファー・ジョーンズで「ラブレター」を監督。再び同じキャストで「ジェニーの肖像」を製作しました。

ノンクレジットですが脚本にはベン・ヘクトが名前を連ねています。
ジョセフ・フォン・スタンバーグが監督した初のギャング映画と言われている「暗黒街」(1927年)の原案者としてアカデミー賞原案賞を受賞
1932年にはハワード・ヒューズ製作、ハワード・ホークス監督の伝説のギャング映画「暗黒街の顔役」で脚本を担当。この映画は1983年にブライアン・デ・パルマ監督が「スカーフェイス」としてリメイクしております。1934年にクロード・レインズが主演した「情熱なき犯罪」では監督兼プロデューサーとしても活躍。ヒッチコック作品にも脚本、脚色に参加、ノンクレジットの場合もありますが、「海外特派員」(1940年)「救命艇」(1944年)「白い恐怖」(1945年)「汚名」(1946年)「パラダイン夫人の恋」(1947年)「ロープ」(1948年)などがあります。

ヒロインのジェニーを演じたジェニファー・ジョーンズはこの映画の後
最初の夫である「見知らぬ乗客」(1951年)で有名になったロバート・ウォーカーと離婚後、1949年にセルズニックと再婚。その後はローレンス・オリヴィエと共演した不倫映画「黄昏」(1952年)、「逢びき」のハリウッド版不倫メロドラマの「終着駅」(1953年)などに出演しヒットさせました。

脇には、バリモア家のエセル・バリモア、リリアン・ギッシュと大女優で固めております。

まとめ

愛した人が幽霊で地獄行き

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