ロリコンてファンタジーでしょ?
[原題]Lolita
[製作年]1962 [製作国]イギリス・アメリカ
[日本公開]1962
[監督]スタンリー・キューブリック
[製作]ジェームズ・B・ハリス
[原作・脚本]ウラジミール・ナボコフ
[撮影]オズワルド・モリス
[上映時間]152
主な登場人物
ハンバート・ハンバート(ジェームズ・メイソン):
大学教授。パリからアメリカに来て下宿屋の娘愛称ロリータに一目惚れ。
ドロレス・ヘイズ(スー・リオン):
愛称ロリータ。未亡人の一人娘。奔放なティーンエージャー。
その他の登場人物
シャーロット・ヘイズ(シェリー・ウィンタース):ロリータの母
クレア・クィルティ(ピーター・セラーズ):テレビの脚本家
メアリー・ローレ(ロイス・マクスウェル):看護師
あらすじ
ハンバート・ハンバートはある男に会うために車を走らせていた。その男を殺すために。
その4年前。英国人フランス語教授ハンバート・ハンバートは一夏を過ごすためパリからアメリカのニューハンプシャーのリゾートタウン、ラムズデールに降り立った。秋にはオハイオ州のピアズレー大学で教鞭をとる間のつなぎだった。そこで友人から紹介されたラムズデールの下宿で、ハンバートは女主人の娘愛称ロリータに眼を奪われる。庭で麦わら帽にサングラス、ビキニ姿で日光浴中のロリータ。下宿屋の女主人は未亡人で女手一つでロリータを育てていた。3人の穏やかな生活が続き、とあるパーティに参加したハンバートは未亡人がハンバートに気があると聞かされるが、ハンバートはロリータを見つめるばかりだった。そのパーティにはテレビ脚本家の男クィルティがおり、未亡人と前に関係があったようだ。当のクィルティは未亡人のことは覚えていなかったが、ロリータのことは覚えていた。周囲が気を使いハンバートと未亡人を二人っきりにすることに。下宿に戻った未亡人はハンバートにグイグイ迫るが途中でロリータが戻ってくる。喜ぶハンバートを尻目にロリータは母親を挑発するような態度をとる。思春期で母親の言うこと聞かず遊び回るロリータに手を焼いた未亡人はロリータを女子ばかりのサマーキャンプに放り込むことを決めてしまう。出発の朝、車に乗り込もうとしたロリータは落ち込むハンバートの元に駆け寄り抱きつく。もうお別れねというロリータにハンバートは悲しみを隠せなかった。誰も居なくなったロリータの部屋のベッドでうなだれるハンバート。メイドが声をかけハンバートに未亡人からの手紙を渡す。そこには愛の告白とこのまま出ていって欲しい、さもなくば結婚してロリータの父親になって欲しいと書かれていた。
どんな映画?
この映画は、ロリータ・コンプレックスの語源となった問題作、ウラジーミル・ナボコフ原作の「ロリータ」(1955年)を最初に映画化した作品です。
オープニングはハンバート・ハンバートが
ロリータの足にペディキュアをしているシーン。
いきなりキモいですねー。
そこからハンバート・ハンバートが車を走らせた屋敷で
ある男を拳銃で殺害します。
ことの始まりはその4年前
パリからアメリカにやって来たハンバート教授は
一夏を過ごす下宿を紹介されます。
その家の女主人は典型的な欲求不満おばさん
グイグイ迫ってくる感じに辟易していると
庭にいたのはビキニ姿のロリータちゃん!!
一目で彼女を気に入ったハンバートはそこで過ごすことになるのですが…
うーんやっぱり布団クンクンはキモいよなー。
原作でのロリータは12歳の少女ですが、さすがにそれはまずかろーと年齢を上げて撮影当時14歳のスー・リオンが抜擢。
ロリータ役は当初イギリス系アメリカ人の女優ジル・ハワースにオファーされたそうですが、その頃彼女と契約していたオットー・プレミンジャーに拒否されたとのこと。
一方、原作者のナボコフが想定していたロリータはフランス映画「地下鉄のザジ」(1960年)に出演していたカトリーヌ・ドモンジョ。
カトリーヌ・ドモンジョってあんた
映画を観た方ならおわかりだと思いますが、いたずら好きの男の娘ようなお転婆な女の子で
当時のフランスでは国民的アイドルになりましたが色気とか性的魅力はまだまだ皆無。
そんな子に発情するなんてどんだけ変態なんだよ!!(注:個人的な意見です)
また、映画ではばっさりカットされてしまった「アナベル・リー」のエピソード。少年の頃のハンバート・ハンバートが想いを寄せて死んでしまった少女の面影をロリータに重ねているということ。映画ではハンバート・ハンバートが何故ロリータに執着するかが描かれていないので、ただ単に50代のおっさんが10代の女の子に一目惚れするという形になってしまっています。
当時の検閲で性的描写はできなかったものの、映画自体は賛否両論を呼び15歳未満は観ることができなかったにもかかわらずヒットしました。
ロリータ 我が愛 我が腰の炎
ってキモいけど、少女への倒錯と過去への憧憬は実に文学的なんですよネ。
少女だけが持つ限定的な美しさ、残酷さ、傲慢さは輝いてるし、魅力的です。その価値が限定的なのは、真のロリコンが大人になった元少女に全く関心を示さなくなるということ。でもそれって、ずっと少女を追い求め続けなければいけなくなる、まさに生き地獄なんじゃないだろうか…
1997年にエイドリアン・ライン監督によって再映画化されました。こちらでは当時17歳のドミニク・スウェインがロリータ役でハンバート・ハンバートにジェレミー・アイアンズと中々のキャスティングでこちらは性描写もはっきり描かれておりましたが、評価の低いものでした。個人的にはキモいジェレミー・アイアンズが、よりキモく切なく描かれていたので好きですヨ。
スタッフ・キャスト
監督はアメリカ合衆国の奇才スタンリー・キューブリック。1953年に初の長編映画「恐怖と欲望」を監督。フィルム・ノワールの「非情の罠」(1955年)や「現金に体を張れ」(1956年)を監督。カーク・ダグラスと共同制作した「突撃」(1957年)や「スパルタカス」(1960年)など名声を得るものの、完璧主義で全部自分の手柄にしたい監督はハリウッドの共同製作システムになじまず、1961年にイギリスに移り住み以後はほとんどの映画をイギリスで製作してます。なのでキューブリック監督はアメリカというよりイギリスの印象が強いです。そんな監督がイギリスに渡り初の監督作品となったのがこの「ロリータ」でした。
ハンバート・ハンバートを演じたジェームズ・メイソン。ハンバート・ハンバート役には知的紳士がイメージされ、ローレンス・オリヴィエやピーター・ユスティノフ、レックス・ハリソンやデヴィッド・ニーヴンなどイギリス人俳優が想定されたそうですが、結局当初からのジェームズ・メイソンに決定。1950年代に50代に突入し文字通り円熟期を迎えたジェームズ・メイソン。エヴァ・ガードナーと共演した「パンドラ」(1951年)、ダニエル・ダリューと共演した「五本の指」(1952年)、ジュディ・ガーランドと共演した「スタア誕生」(1954年)、ヒッチコック監督では悪役として「北北西に進路を取れ」(1959年)登場しています。
愛称ロリータを演じたスー・リオンは撮影開始時には14歳で、終了する頃に15歳を迎えていました。幼い頃からモデルや子役としてテレビに出演。この映画の出演をきっかけに広く知られるようになりましたが、その後は低迷。17歳で後に「ブレードランナー」の脚本家となるハンプトン・ハンチャーと結婚するも離婚。その後は当時珍しかった黒人男性と結婚離婚、服役囚と結婚したりと私生活は混迷。2019年に73歳でお亡くなりになっています。
胡散臭い男クィルティを演じたのはイギリスを代表するコメディ俳優ピーター・セラーズ。ピーター・セラーズと言えば「ピンク・パンサー」シリーズのクルーゾー警部で有名ですが、スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情 ホニャララ〜」(1964年)で一人三役を演じて有名です。
またもや悲惨な末路をたどる未亡人役のシェリー・ウィンタース。1955年に出演した「狩人の夜」のように、子供目的の相手とあっさり結婚して不幸になる未亡人をこの映画でも演じています。
また、ちょい役に007シリーズの初代マネーペニーのロイス・マクスウェルが登場しています。
まとめ
ロリコンはやっぱり地獄行き
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