男と女の友情って成立しますかね?
[原題]Got and Monsters
[製作年]1998[製作国]アメリカ・イギリス
[日本公開]2000
[監督・脚本]ビル・コンドン
[製作総指揮]クライヴ・パーカー他
[音楽]カーター・バーウェル
[上映時間]105
主な登場人物
ジェイムズ・ホエール(イアン・マッケラン):
「フランケンシュタイン」を撮った元有名映画監督。現在は隠居中。
クレイトン・ブーン(ブレンダン・フレイザー):
若い庭師の男。純朴な青年。
その他の登場人物
ハンナ(リン・レッドクレイヴ): ホエールのメイド
ハリー(ケヴィン・J・オコナー)
デヴィッド・ルイス(デヴィッド・デュークス): ホエールの元カレ
べティ(ロリータ・ダヴィドヴィッチ): 飲み屋の女性
あらすじ
かつて「フランケンシュタイン」「透明人間」「ショウボート」を撮り、怪奇映画の第一人者だったジェームズ・ホエールは年をとり、メイドのハンナと隠居生活を送っていた。ある日庭師として屋敷にやってきたクレイトンに目を止め、話し掛けるようになる。彼はトレイラーで生活する、海兵隊くずれだったがたくましい肉体を持っていた。ホエールは久しぶりの取材中に気分が悪くなり、卒中と診断される。幸い運動機能に問題はなかったが、突然過去の記憶が去来し、彼を悩ませるようになる。子供時代の貧しい記憶、戦争の記憶。彼はクレイトンを見て、モデルになってくれないかと頼む。全部脱がないならとモデルを引き受ける。モデルをしながら二人で話をするが、ホエールはクレイトンと話していると、第一次世界大戦に出兵し、死んだ恋人のことを思い出すばかりだった。クレイトンは老人をおかしいなと思いつつも、元有名監督と知り合いになれたことが嬉しかったのだが。
どんな映画?
この映画はかつて怪奇映画の名手として「フランケンシュタイン」、「フランケンシュタインの花嫁」、「透明人間」の監督で有名なジェイムズ・ホエールが、1957年の5月にハリウッドにある自宅のプールで不審死を遂げたことに着想を得て撮られた作品です。
自殺で片付けられていましたが、当時ホエールがハリウッドで活躍している中でもゲイであることを公表していたと言われています。
長年の恋人(男性)と別れたホエール。
しかし、外では若い庭師クレイトンを見つめていました。
彼は海兵隊あがりでたくましく若い男でした。
クレイトン役はブレンダン・フレイザー、どことなくフランケンシュタインに風貌を似せています。
久しぶりに取材を受けることになったホエールでしたが聞かれるのは「フランケンシュタイン」や「フランケンシュタインの花嫁」など怪奇映画のことばかり。うんざりした彼は取材者に答えるごとに服を脱いでいくゲームを提案。取材者はブリーフ一丁になり、家政婦のハンナに白い目で見られます。
ホエールは脳卒中を起こし、過去の出来事がフラッシュバックするようになります。
ホエールはクレイトンに絵のモデルを頼みます。
絵を描きながら二人で話すうち、男の話になってしまします。ストレートのクレイトンは怒ります。
かつて庭のプールでたくさんの若い男たちが全裸で泳ぎまくっていたのを思い出し、恍惚の表情を浮かべるホエール。
ジェームズ・ホエール役はイアン・マッケラン。本当に彼にぴったりの役でした。
怒りはしたものの再びホエールの元を訪れるクレイトン。
はエールはクレイトンをジョージ・キューカーのパーティーに誘います。
ジョージ・キューカーは1944年「ガス燈」、1954年のジュディ・ガーランド版「スタア誕生」、1964年「マイ・フェア・レディ」女性を撮るのに長けた巨匠ですが、この映画ではゲイだったことは公然の秘密だと語られています。隠れゲイめと揶揄されています。
奇妙な友情を育んでいた二人でしたが…
フランケンシュタインの怪物のような歩き方をするクレイトン。
映画の中で「フランケンシュタインの花嫁」を観るシーンがあり、役としてもかつてフランケンシュタインを演じたボリス・カーロフと花嫁を演じたエルザ・ランチェスターと写真を撮るシーンが出て来ます。
「フランケンシュタイン」(1931年)では喋らなかった怪物ですが、続編の「フランケンシュタインの花嫁」(1935年)では話し酒を飲みタバコを吸って「友達」を探し求めます。純粋に友情を求めたクレイトと愛欲を求めるホエールとの悲しいすれ違いに不思議な余韻を残す映画です。
スタッフ・キャスト
監督は2015年「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」でも監督をしているビル・コンドン。2004年の「愛についてのキンゼイ・レポート」、2006年の「ドリームガールズ」を監督しています。この「ゴッドandモンスター」ではアカデミー賞脚色賞を受賞しています。自信がゲイであることも公言しているそうです。
ジェームズ・ホエール役のイアン・マッケランはジェームズ・ホエールと同じイギリス出身の俳優。昔から老け役が多くて「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでは白い魔法使いガンダルフを演じ非常に有名になりました。そして彼は「ゴッドandモンスター」と「ロード・オブ・ザ・リング」でアカデミー賞にノミネートされています。イアン・マッケランはゲイを公言していて、アカデミー賞を受賞した時のためのスピーチメモを常に用意しているそうです。まだまだ頑張っていただきたいものです。
若い庭師を演じたブレンダン・フレイザー。「ハムナプトラ」シリーズで人気俳優の仲間入りを果たしたにもかかわらず、2000年代以降何故かお目にかかれなくなってしまいました。2018年に自身がハリウッドのお偉いさん(男)からセクハラを受けていたと告発。やっぱり女だけでなく男もそそられる肉体であるんですなー。いやキャリアを分断されるの非常に残念なことですし、告発するのにもかなり勇気がいったと思います。
家政婦のハンナには父親がマイケル・レッドグレイヴ、母親が女優・レイチェル・ケンプソンというリン・レッドグレイヴ。ヴァネッサ・レッドグレイヴはお姉さんです。
まとめ
友情と愛情の間で地獄行き
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