年の差地獄「さよならをもう一度」

ドラマ

若い男と同世代の男なら、今だったら若い男を選ぶんでしょうかね~

[原題]Goodbye Again
   Aimez-vous Brahms ?
[製作年]1961[製作国]フランス・アメリカ
[日本公開]1961
[監督・製作]アナトール・リトヴァク
[原作]フランソワーズ・サガン
  「ブラームスはお好き」
[脚本]サミュエル・テイラー
[音楽]ジョルジュ・オーリック
[上映時間]120

主な登場人物

ポーラ・テシエ(イングリッド・バーグマン):
バツイチ40歳の室内装飾デザイナー。彼氏に同世代のロジェがいるが浮気癖に少し悩まされている。

フィリップ・ヴァン・デル・ベシュ(アンソニー・パーキンス):
25歳のアメリカ人青年。母親がポーラに仕事の依頼したことをきっかけに彼女に興味を持つ。

その他の登場人物

ロジェ・デマレ(イヴ・モンタン): ポーラの五年越しの彼氏
テレサ・ヴァン・デル・ベシュ(ジェシー・ロイス・ランディス): フィリップの母
メイジー1(ジャッキー・レイン): ロジェの浮気相手
メイジー2(ジーン・クラーク): 〃
メイジー3(ミシェル・メルシェ): 〃
ナイトクラブの歌手(ダイアン・キャロル)

あらすじ

離婚経験のある40歳の室内装飾家のポーラは5年付き合っているトラック会社の重役のロジェに約束をすっぽかされてばかりだった。ロジェと自分はあえて結婚を選ばず自由だとポーラはメイドに話すが、メイドには孤独だと言われてしまう。ロジェはポーラとの約束をすっぽかしながら若い娘たちを浮気を繰り返していた。ある日ポーラは仕事のためヴァン・デル・ベシュの屋敷を訪れる。そこで若い男フィリップと出会う。裕福な家庭で豪華な装飾を求めていた夫人の25歳の息子だった。法律事務所で事務員として働いていたフィリップだが仕事ぶりはいい加減だった。彼ははしゃぐほどポーラに真剣に恋してしまった。フィリップはポーラに近づき「ブラームスはお好き?」と彼女を誘った。二人でブラームスを聞きながらポーラはパリのカフェでロジェと出会った頃を思い出していた。積極的に迫って来るフィリップにポーラは迷い始めるが、はっきりしない関係のロジェとも別れることができなかった。ポーラは電話でフィリップにもう会わないと伝える。その夜フィリップはバーで歌手の詩に聞き入る。さよならをもう一度と。

どんな映画?

「悲しみよこんにちは」で10代でセンセーショナル・デビューを果たしたフランソワーズ・サガンが5年後の1959年に23歳で発表した小説「ブラームスはお好き」の映画化になります。
パリを舞台に大人の恋愛映画です。

40歳バツイチのキャリアウーマン、ポーラには5年付き合っている同年代の彼氏ロジェがいますが、
彼は忙しいと言って約束をすっぽかしてばかり。
仕事を口実にしていますが、その実若い女と浮気三昧です。

そんなポーラはある日仕事で室内装飾の依頼を受けた大金持ちの家を訪れます。
そこで、その家の息子フィリップと出会います。
彼は仕事にあまり熱の入らない25歳のアメリカ人青年。

フィリップはポーラを気に入り若いだけあったぐいぐい迫ってきます。
ストレートに愛情を表現してくるフィリップに徐々に惹かれていくポーラ。
ですが、スマートで大人で気心も知れているロジェとの関係も振り切れないポーラでしたが…

ロジェと別れを決めて車を走らせるポーラ。
涙で目の前が曇るのを思わずワイパーを回してしまい泣き笑い。

この映画はアメリカではイマイチの評価だったもののフランスで好意的に迎えられ、アンソニー・パーキンスがカンヌ映画祭で男優賞を受賞しています。

アラフォー美魔女のイングリット・バーグマン。ですが歳を取れば取るほど恋愛には慎重になるもの。
大事なのは自分の気持ち。
でも周囲の圧力に負けてしまうのは
自分の方が思慮分別のある大人だから。そう自分にいい聞かせるのけど、やっぱり本当の気持ちに嘘はつけない。
何だか物悲しいラストはオットー・プレミンジャー監督の「悲しみよこんにちは」(1957年)のラストを彷彿とさせます。

この映画から50年近くの年月を経て
フランスで最強歳の差カップルが誕生しています。24歳の歳の差をものともせず結ばれたフランス第25代大統領
エマニュエル・マクロン大統領とブリジット夫人です♪

スタッフ・キャスト

監督はロシア出身(現ウクライナ)のアナトール・リトヴァク。活動初期はヨーロッパで活躍。フランスで1936年にシャルル・ボワイエとダニエル・ダリューが主演した「うたかたの戀」を製作・監督します。この映画は1989年にオーストリアの皇太子が令嬢と謎の死を遂げた「マイヤーリンク事件」を題材とし、これを純愛による心中事件としてロマンティックに描いて映画化されたもので、世界的にヒットし高い評価を得ました。戦後はハリウッドで活躍し、バーバラ・スタンウィック主演の「私は殺される」(1948年)や、オリヴィア・デ・ハヴィランドが主演し精神病院を描いた「蛇の穴」(1948年)などを監督し、女優たちの演技が高く評価される作品となりました。また1956年にイングリッド・バーグマン主演に「追想」を監督。この映画でバーグマンに2度目のオスカーをもたらしました。

主演のイングリッド・バーグマンは1940年代後半から1950年代半ばまで、ロベルト・ロッセリーニ監督との不倫スキャンダルによってアメリカでの映画出演が出来ずにいましたが、アナトール・リトヴァク監督の「追想」(1956年)によってアメリカ映画に復帰します。そして2度目のアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。この映画で再びアナトール・リトヴァク監督作に出演し、中年女性の葛藤を演じています。

ポーラの腐れ縁の彼氏ロジェを演じたのがフランスで歌手、俳優として活躍したイヴ・モンタン。1946年に出演した「夜の門」で歌った主題歌の「枯葉」が大ヒット、俳優としては何と言っても1953年に出演したアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の名作サスペンス映画「恐怖の報酬」じゃないでしょうか?この映画でニトログリセリンを運ぶ男を演じ映画とともに高く評価されました。その後も多くの作品に出演し、中でもギリシャの社会派映画監督コスタ=ガヴラスの三部作「Z」(1969年)「告白」(1969年)「戒厳令」(1972年)の出演が有名です。またフランスのオスカー女優シモーヌ・シニョレと結婚していたことでも知られています。

アンソニー・パーキンスの母親を演じたジェシー・ロイス・ランディスはヒッチコック監督の「泥棒成金」(1955年)ではグレース・ケリーの母親を演じ今度は「北北西に進路を取れ」(1958年)ではケーリー・グラントの母親を演じているお母さん女優でした。
また、ロジェが声をかける若い娘の一人で出演しているミシェル・メルシェはフランスの恋愛大河小説「アンジェリック」の映画版で主人公アンジェリクを演じて人気を博しました。その他カメオ出演でユル・ブリンナーとジャン・ピエール・カッセルが登場しています。

まとめ

自分の選択に落ち込んで地獄行き

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