家族崩壊の序曲「アメリカン・ビューティー」

ドラマ

女子高生くらいにの時に父親キモいと思うのは
ある意味正常な成長過程なんですけどネ

[原題]American Beauty
[製作年]1999[製作国]アメリカ
[日本公開]2000
[監督]サム・メンデス
[製作]ブルース・コーエン/ダン・ジンクス
[脚本]アラン・ボール
[撮影]コンラッド・L・ホール
[編集]タリア・アンウォー/クリストファー・グリーンバリー
[音楽]トーマス・ニューマン
[上映時間]122

主な登場人物

レスター・バーナム(ケヴィン・スペイシー):
42歳の広告代理店に勤めるサラリーマン。新しい上司ともうまくいかず、妻とはレスで16歳の娘ジェーンとも最近まともに話もしていない。

キャロライン・バーナム(アネット・ベニング):
レスターの妻。住宅販売の営業として働いてる。庭でバラを育て、中流階級の生活にこだわりがある。

その他の登場人物

ジェーン・バーナム(ソーラ・バーチ):レスターの16歳の娘。思春期真っ只中で父親を気色悪いと思いながらも気に掛けてほしいと思っている。
リッキー・フィッツ(ウェス・ベントリー):バーナム家の隣人。ジェーンに関心を持ち彼女をビデオで撮影している。
アンジェラ・ヘイズ(ミーナ・スヴァーリ):ジェーンの友人。モテることを鼻にかけている。
フランク・フィッツ大佐(クリス・クーパー):リッキーの父親。軍人で厳格。
バディ・ケーン(ピーター・ギャラガー):キャロラインの不倫相手
バーバラ・フィッツ(アリソン・ジャニー):フィッツ大佐の妻。リッキーの母親。
ジム・オールメイヤー(スッコト・バクラ):近所の同性愛者のカップルの一人。
ジム・バークリー(サム・ロバーズ):オールメイヤーのパートナー。

あらすじ

今年で42歳になるレスター・バーナムは今の生活にうんざりしていた。妻のキャロラインはエプロンをつけてバラの手入れをしているが幸せそうではなく、夫婦仲は冷え切っていたし、一人娘のジェーンは典型的なティーンエイジャーで常に不機嫌。2人はレスターを軽蔑仕切っていた。会社では経費節減のために人員削減すると警告され、レポートの提出を求められた。家の中は家族写真で飾られていたがどこか嘘くさいし、食事中の会話もチグハグで噛み合わず空回りするばかりだった。レスターとジェーンの会話を窓からビデオで撮っている少年がいた。不動産レディのキャロラインは家を売るために必死だったがうまくいかず悔し涙を流すことが多かった。ジェーンはロックウェル高校のダンシング・チームでチアをやっていた。その夜バスケの試合のアトラクションで踊ることになっていたため慌ててキャロラインが車でレスターを連れて行った。あまり気乗りがしていなかったレスターだったが、その中の一人の少女に心を奪われてしまう。彼女がじっと自分を見つめながら踊り、胸を開けようとするとそこからバラの花びら飛び交う妄想をしてしまう。外で待っていたレスターとキャロラインはジェーンからその少女が友人のアンジェラだと聞かされる。ジェーンの友人は僕の友人だとわけがわからないことを言う父に呆れるジェーン。ベッドの中でレスターは赤いバラの花びらに包まれたアンジェラを妄想し、20年ぶりの高揚感を得ていた。モデル志望のアンジェラは自分に男を惹きつける魅力があるとわかっていて、ジェーンに対しても上から目線だった。隣の家の少年リッキーはジェーンにビデオカメラを向け、彼女からは変態と罵られた。翌朝、レスターはジェーンがシャワーを浴びている間に部屋に入り、手帳からアンジェラの番号を調べ電話をかける。ジェーンが来るのがわかり慌てて電話を切って出ていくと、アンジェラからリダイヤルがかかる。ジェーンは、自分は電話していないと言うと手帳が探られていたことに気づく。リッキーの家は、厳格な海兵隊大佐の父と父に怯える母との生活だった。リッキーの家に二軒先のゲイカップルが挨拶に来たが、父は彼らに良い顔をせず、リッキーの前では彼らをひどく軽蔑しているような発言をした。そしてリッキーもゲイなんか気持ちわ悪いと父に話す。学校に来たリッキーを見てジェーンは隣の変態とアンジェラに話すとアンジェラはあいつは危ない奴だと言う。まっすぐジェーンに近づいて挨拶をしてきたリッキーに関心を持ち始めた。そして彼はアンジェラのことを一瞥もしなかった。

どんな映画?

アラン・ボールの脚本をイギリス出身の演出家兼映画監督のサム・メンデスが監督。サム・メンデスの映画監督デビュー作となっております。この映画は、第72回アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞の5部門を受賞しています。主演のケヴィン・スペイシーはこの演技でアカデミー賞主演男優賞を獲得し、映画自体はアメリカだけでなく、海外でも大ヒットしました。

シカゴ郊外の住宅街に暮らす
42歳のレスター
共働きの妻キャロラインが
こだわったインテリアに
彼女が庭でせっせと育てるのが
アメリカン・ビューティーという
品種のバラ
キャロラインがこだわる家具と
燭台が置かれた食卓で
流される音楽にも何となく
ウンザリ
夫婦仲は冷めていてレス状態。

一人娘のジェーンは高校生で
思春期真っ只中で常に不機嫌
両親のことを冷めた目で見ている感じ。
仕事も家庭も何となく
うまくいかず虚しい日々を送っています。
そんなある日
チアをやっているジェーンを
見学しにキャロラインに引きずられる
ように向かいます。

ぼーっと見ていると
チアの中に一際輝いて見える
女子高生アンジェラ!!
ジョーンの友達のアンジェラに
一目惚れしてしまった
中年男レスター
いやいや娘の友達だろ💢
って そんなのカンケーねーと
ばかりに娘のジェーンが
見てもわかるくらいメロメロに

そこからレスターの人生はバラ色
活力が湧き上がり筋トレを始め
突然会社を退職
隣に住むジェーンのストーカー
リッキーからクスリを買ったり
そんな父親の奇行を
目の当たりにしたジェーン

あんな父親死ねばいいのに…

バラ風呂に入っているアンジェラに手を伸ばすレスター。(妄想)

20世紀最後に登場し、当時のアカデミー賞の話題を総ざらいした映画で、劇場で観ました。鑑賞後わたくしは号泣していたのですが、隣で観ていた友人は

ハッ?ナニコレツマンネ

とのたまいました♪ まあ それくらい観る人にとって評価が分かれる映画だと思います。

1990年代に40代を迎えミドルエイジ・クライシスを描いた代表的な作品で、現在60代になられている方々でしょうかネ。90年代にアメリカを中心に起こったITバブル。それまで手作業だった仕事がパソコンの登場で、仕事の手順や価値観がガラッと変わった世代です。また、当然のように妻も仕事を持ち共働きであることで、夫の家庭での地位が微妙になってきていた世代でもあります。お隣にゲイカップルが幸せそうに暮らしていたりと、ライフスタイルの多様化も特徴的でした。
でも、まあどの時代でも父親が娘の友人に一目惚れしたら最高にキモいですけどネ。

同じくシカゴの裕福な一家の崩壊を描いたロバート・レッドフォードが監督した「普通の人々」(1980年)のオマージュとして、ラストに登場するクローゼットシーンが登場しております。

スタッフ・キャスト

中年の危機真っ只中のレスターを演じたのは、普通の人がよく似合うアメリカ合衆国の俳優ケヴィン・スペイシー。1986年のマイク・ニコルズ監督、メリル・ストリープ、ジャック・ニコルソン主演のロマンティック・コメディ「心みだれて」に、泥棒役で映画デビュー。1988年の再びマイク・ニコルズ監督のヒットラブコメ「ワーキング・ガール」に出演。1992年にデヴィッド・マメットの名作戯曲を映画化した「摩天楼を夢みて」に出演し、同年にはアラン・J・パクラ監督のサスペンス映画「隣人」で、文字通り夫婦交換を申し出る怪しい隣人を演じています。1995年にブライアン・シンガー監督の傑作サスペンス「ユージュアル・サスペクツ」でアカデミー賞助演男優賞を獲得、また、デヴィッド・フィンチャー監督の大ヒットサイコ・サスペンス「セブン」などで不気味な存在感を発揮。その演技力が注目されるようになり、クセつよの脇役から主役級に、1996年のジョエル・シュマッカー監督の法廷もの「評決のとき」や、1997年にカーティス・ハンソン監督のノワール映画「L.A.コンフィデンシャル」などに主要な役で出演。1999年に主演したサム・メンデス監督の「アメリカン・ビューティー」では、アカデミー賞主演男優賞を獲得しました。その後も、アラン・パーカー監督の社会派サスペンス映画「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」(2003年)や、ブライアン・シンガー監督の「スーパーマン リターンズ」(2006年)では、1978年のリチャード・ドナー版「スーパーマン」で、ジーン・ハックマンが演じたレックス・ルーサーを演じています。また、Netflixで配信された「ハウス・オブ・カード 野望の階段」では、2013年から2017年の間主人公の下院議員フランク・アンダーウッドを演じていましたが、現在は諸事情によりキャリアを中断しております。

ヘンリーの妻キャロラインを演じたのはアメリカ合衆国出身の女優アネット・ベニング。シャーリー・マクレーンの弟でプレイボーイとして名を馳せたウォーレン・ベイティの今妻としても知られており、お二人の間に4人のお子さんがいらっしゃいます。1989年にイギリス・フランス合作「危険な関係」を映画化した「恋の掟」で、悪趣味夫人メルトゥイユ侯爵夫人を演じています。1991年にはアーウィン・ウィンクラー監督の共産主義の疑いをかけられた映画監督を主人公にした「真実の瞬間」で、主人公を演じたロバート・デ・ニーロの妻役を演じています。同年、マイク・ニコルズ監督の「心の旅」でも主人公演じるハリソン・フォードの妻を演じています。さらに同年、夫となるウォーレン・ベイティと結婚するきっかけになった「バグジー」に出演されています。さらに、再び夫婦共演で「めぐり逢い」(1957年)のリメイク「めぐり逢い」に、イギリス映画「リチャード三世」(1995年)や、ティム・バートン監督のSFギャグ映画「マーズ・アタック!」(1996年)、マイク・ニコルズ監督の「2999年異性への旅」(2000年)、イシュトヴァン・サポー監督の「華麗なる恋の舞台で」(2004年)ではゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得しています。また、2010年に出演したリサ・チョロデンコ監督の「キッズ・オールライト」でもゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得しています。2017年の「リヴァプール、最後の恋」では、かつての大女優グロリア・グレアムを演じています。「アメリカン・ビューティー」(1999年)と「華麗なる恋の舞台で」(2004年)でアカデミー賞主演女優賞候補になっていますが未だに受賞ならずです。

まとめ

中年の危機で地獄行き

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