政界は闇だらけ「野望の系列」

ドラマ

黒歴史の一つや二つ誰にでもあるでショ

[原題]Advise & Consent
[製作年]1962[製作国]アメリカ
[日本公開]1965
[監督・製作]オットー・プレミンジャー
[原作]アレン・ドルーリー
[脚本]ウェンデル・メイズ
[撮影]サム・リーヴィット
[編集]ルイス・R・レフラー
[タイトルデザイン]ソウル・バス
[音楽]ジェリー・フィールディング
[上映時間]139

主な登場人物

ロバート・レフィングウェル(ヘンリー・フォンダ):
元学者。現在の大統領から新国務長官候補に任命されたが、学者肌で政界からも敵が多い。

ロバート(ボブ)・マンソン(ウォルター・ピジョン):
上院多数党院内総務。大統領の友人で相談役。レフィングウェルを国務長官にしようと暗躍する。男やもめでセレブのドリーと密かに交際している。

その他の登場人物

シープライト(シープ)・クーリー(チャールズ・ロートン): 議員歴40年の政界の怪物、上院議員。5年前に委員会で恥をかかされたレフィングウェルに私怨を持っている。
ブリガム(ブリッグ)・アンダーソン(ドン・マレー):与党若手上院議員、同性愛の過去がある。現在は妻子がいる。レイフの友人
レイフ・スミス(ピーター・ローフォード):与党若手上院議員、独身貴族。
ドリー・ハリソン(ジーン・ティアニー):政界に精通しているセレブ。自宅を社交場に提供している。マンソンと密かに交際している。
大統領(フランチョット・トーン):病身の為、自分の意志を継承してくれるのはレフィングウェルしかいないと考えている。
ハーリー・ハドソン(リュー・エアーズ):副大統領。婦人に人気があるが、大統領の器ではないと思っている。
ハーバート・ゲルマン(バージェス・メレディス):レフィングウェルの元部下。現在は財務省の事務官。彼が共産党に関わっていたと証言する。
ジョニー・レフィングウェル(エディ・ホッジス):レフィングウェルの息子
スタンリー(スタン)・ダンタ(ポール・フォード):マンソンの片腕
フレッド・ヴァン・アッカーマン(ジョージ・グリザード):野心家の与党若手上院議員。親レフィングウェル派の急先鋒。
エレン・アンダーソン(インガ・ホワイト):ブリッグの妻
ベッシー・アダムス(ベティ・ホワイト):野党の女性上院議員

あらすじ

ダンタ上院議員が新聞に目をやると、慌ててタクシーに乗り込みパーク・ホテルに向かった。次の国務長官の候補が、レフィングウェルが上がっていたからだ。ホテルの部屋に着くと上院多数党院内総務のボブにどういうことかと尋ねるが、マンソンは大統領と電話していた。前長官が死んで2週間以上経っていた為、新たに長官を任命しなければいけないと朋友のマンソンに相談する。大統領は外交手腕のあるレフィングウェルがいいのではと提案するが、マンソンは彼は有能だが革新派で議会内に敵が多い人物だと話す。続けて与党で長年権力があるシープが承認を妨げるだろうと話すと、大統領はシープと取引するよう指示した。マンソンとダンタは部屋を出て、向かいの若手議員レイフの部屋を訪ねようとすると、その扉から金髪の女性が出て来る。マンソンはレイフに人選について、友人のブリッグに電話して感触を確かめて欲しいと依頼する。問題のシープはあくまでレフィングウェルの人選には反対で、彼では国を滅ぼしかねないと断言。マンソンとダンタはシープに、5年前に聴聞会で彼に恥をかかされたのを恨みに思っているのだろう、そんな前のことで根に持つとはと話すと、シープは自分にとってはついこの間の出来事だと言い放った。議事堂に入ると野心家の若手上院議員のフレッドが、仕切りにレフィングウェルを推していることをアピールしてきた。フレッドはマンソンに、次の聴聞の小委員会で自分を委員長に推薦してくれと耳打ちした。マンソンはレフィングウェルの家に電話をかけると、息子のジョニーが応対しすぐに父親に伝えたが、留守だと伝えろと指示する。レフィグウェルは息子に長官への意欲を少なからず示した。婦人たちに人気のあった副大統領のハドソンは議長も兼任し、議長には投票権はないが同票の場合は違った。マンソンが議会で審議の提案をし、長官の任命審議が始まった。シープを抑えるために、委員長はブリッグが適任だろうと話がつき、本人も快く引き受けた。議会ではシープ派のノックスによるレフィグウェルの痛烈な批判がされており、マンソンが発言を求めると遮られ、今度はシープが発言し始めた。候補者が1人だけなのがおかしいと批判すると、若手のレイフがシープに老害だと批判する。シープはあくまであの男を選んではいけないと言い放った。その夜のドリー・ハリソンのパーティーでマンソンはフレッドから恨みめいたことを言われるが、親レフィングウェル派だと言う。マンソンは副大統領のハーリーから、自分は大統領の器ではないことはわかっているので大統領の本当の病状を知りたがった。マンソンは去年の手術は失敗していると伝えた。パーティーが終わった後、密かにマンソンはドリーの部屋に入り2人は密かに交際していた。

どんな映画?

アメリカ合衆国の記者出身の作家アレン・ドルーリーのピュリッツァー賞受賞作を、オットー・プレミンジャー監督が映画化。ヘンリー・ファンダ、チャールズ・ロートン、ウォルター・ビジョン、ジーン・ティアニーなどの豪華な出演陣も見どころの一つです。

上院多数党院内総務のマンソンは
大統領から電話で
次の国務長にレフィングウェルを
任命すると相談されます。
しかし学者出身の
レフィングウェルには敵も
多く賛成票を得るには
時間が必要だと感じていました。

特に政界の妖怪シープは
5年前に聴聞会でレフィングウェルに
恥をかかされたことがあり
未だに根に持っています。
大統領とは旧知の仲のマンソンは
病を患っている大統領のためにも
レフィングウェルを国務長官にと
賛成票集めに頭を悩ませます。

レフィングウェルが国務長官に
ふさわしいか審査する小委員会が
開かれることになり
レフィングウェルを推している
という若手議員のフレッドは
野心もありマンソンに自分を
小委員会の委員長にしてくれと
頼んできます。

しかしマンソンは委員長に
フレッドのライバル議員である
若手で堅実なブリッグに依頼します。
幼い子どもと妻がおり理想的な
家庭を築いていたブリッグは快く
委員長を引き受けます。

一方、大統領に万が一のことがあったら
代わり大統領を務めることになる
副大統領のハドソンは
ご婦人方には人気はありますが
自分は大統領の器ではないと弱気。
議長も兼ねる副大統領は
賛成票と反対票が同数になった時に
投票権が与えられます。

そしてレフィングウェルの
小委員会が始まるのですが…

小委員会で偽証し無いことを宣誓するレフィングウェル

原作は、上院特派員として政治記者の経験があったアレン・ドルーリーが1959年に発表した小説「アドバイスと同意」で、この小説はベスト・セラーとなり1960年にはピューリッツァー賞フィックション賞を受賞しています。

レフィングウェル役のヘンリー・フォンダが主演にクレジットされていますが、ヘンリー・フォンダはストーリーの中盤で途中退場。実質的な主役は院内総務のマンソンを演じたウォルター・ビジョンになります。
院内総務はアメリカ合衆国の議会で、上下各院に存在する院内会派のまとめ役で、この映画のマンソンは上院多数党院内総務になります。 この映画は、アメリカ合衆国議会が舞台になっており、映画の中で議会内を地下鉄で移動しているシーンがあります。この地下鉄は、連邦議会議事堂の地下にあり議員や関係書のみが乗ることを許されているトロッコ列車のような車両になっており、地図に乗っていない地下鉄として有名です。

友人でもある大統領の意志を尊重したいマンソン。
国務長官としての能力よりも、単に個人的にレフィングウェルが気に入らないだけのシープ。

偽証してしまったと感じるレフィングウェル。
正しい事を通したいと大統領にも意見するブリッグ。
自分は大統領にふさわしくないと考えるハドソン。
ブリッグをライバル視する若手議員のフレッド。
それぞれの思惑が交差する政界。
この映画は政界の内幕を描きながら、共産主義、同性愛などを扱っています。

政治家殺すのに刃物はいらぬ
スキャンダルの一つでもあればいい
を地で行くストーリー展開と、無駄死に感が否めないラストに、政治家同士の権力闘争なんて、国民にはクソの役にも立たないのと感じ更に脱力しますネ。

スタッフ・キャスト

与党若手上院議員のブリッグを演じたのは、アメリカ合衆国出身の俳優ドン・マレー。1956年にジョシュア・ローガン監督のロマンティックコメディ映画「バス停留所」で映画デビュー。この映画でマリリン・モンローの相手役を演じていますが、実際に恋愛関係に陥ったのは、こちらも映画デビュー作だったホープ・ラング。ホープ・ラングとはこの後ご結婚され、お二人の間には俳優のクリストファー・マレーがいらっしゃいます。俳優としては、フレッド・ジンネマン監督の「夜を逃れて」(1957年)、ロバート・マリガン監督、スティーヴ・マックィーン主演の「ハイウェイ」(1965年)などに出演。1981年にはブルック・シールズ主演の青春鬱映画「エンドレス・ラブ」で、ブルック・シールズの父親役を演じ悲惨な結末になっております。その後もフランシス・フォード・コッポラ監督の「ペギー・スーの結婚」(1986年)で主演のキャスリーン・ターナーの父親(?)役や、2017年の「ツイン・ピークス」リミテッド・イベント・シリーズにもご出演されています。

独身プレイボーイの若手上院議員スミスを演じたのがイギリス出身の俳優ピーター・ローフォード。有名であることで有名なお方として知られています。1944年にアメリカ合衆国の映画「ドーヴァーの白い崖」で、主人公のアイリーン・ダンの息子役で出演。1945年の「ドリアン・グレイの肖像」では、ドナ・リード演じるグラディスの求婚者を演じています。イギリスの上流階級出身の長身イケメンで、「若草物語」(1949年)ではローリー役など、若い頃は主に爽やかイケメン役で人気を博していました。ローフォードを一躍有名にしたのが、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの実の妹パトリシア・ケネディとの結婚で、フランク・シナトラのファミリーとしても有名でした。1960年にはシナトラ一家勢揃いの映画「オーシャンと十一人の仲間」にもちゃんと出演されています。また、1964年にポール・ヘンリード監督、ベティ・デイヴィス主演の双子サスペンス映画「誰が私を殺したか?」に出演されていますが、その後の離婚やシナトラ一家からの離脱などで人気が低迷、晩年まで俳優として活動されていたもののかつての華やかさとはかけ離れて生活をされていたそうです。

まとめ

政界は伏魔殿で地獄行き

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