ゲンナマ時代「禁じられた抱擁」

悪女

キャッシュレス化が進むと
できなくなるイベントが存在します。

札束ビンタとか。

[原題]La noia(The Empty Canvas)
[製作年]1963 [製作国]イタリア・フランス
[日本公開]1964
[監督・脚本]ダミアーノ・ダミアーニ
[製作]カルロ・ポンティ
[原作]アルベルト・モラヴィア
[脚本]トニーノ・グエッラ他
[音楽]ルイス・エンリケス・バカロフ
[上映時間]104

主な登場人物

ディノ(ホルスト・ブッフホルツ):
画家を目指す金持ち息子。最近絵が描けなくなり鬱々としていたが、老画家のところに通っていたモデルセシリアに興味を持つ。

セシリア(カトリーヌ・スパーク):
老画家の17歳のモデル。奔放な生格。

その他の登場人物

ディノの母(べティ・デイヴィス):ディノに実家に戻ってきて欲しいと思っている。
セシリアの母(イザ・ミランダ)
セシリアの父(ジョルジュ・ウィルソン)
リタ(ダニエラ・ロッカ):メイド

あらすじ

画家志望のディノは、隣の老画家バレストリエの所に来る若い娘のことが気になっていた。最近彼はまともに絵が描けなく、ただ白いキャンバスを見つめるだけだった。そして資金が底を尽きると金持ちの母の元に行き、金の無心をし、家におらず旅ばかりしている父親と同じだった。母はディノに家に帰ってきて欲しいあまり、金や車、メイドまであてがったが関心を示さなかった。結局実家に帰るのをやめ下宿に戻るが、隣の画家が亡くなったことを知る。皆若い娘に腹上死させられたと噂し合った。ふと隣を見ると画家の部屋に猫が入って行くのが見え、ディノも中に入っていった。画家の部屋を見ているとたくさんのヌード写真がその中にあの若い娘の写真があった。ふと見上げると同じ娘の姿があった。娘はモデルで合鍵を持っていたので私物を取りに来たと言う。ディノは彼女をモデルになってくれないかと自分の部屋に誘った。着いて来た彼女はとっととヌードに。17歳のセシリアにディノは正直に自分は今ほとんど絵が描けていないと真っ白いキャンバスを指差した。自分は何も興味がない女にも生きることにもと言うディノにセシリアは半ば呆れて帰ろうとする。しかしディノは帰ろうとするセシリアに窓から目配せして戻ってきたセシリアとキスをする。奔放に逢瀬を重ねる二人だったが、ディノは老画家ほどセシリアに夢中になれないと感じ、別れを切り出そうとするのだが。

どんな映画?

「禁じられた抱擁」はイタリアのネオリアリズム作家アルベルト・モラヴィアが、1960年に発表した「倦怠」を元にダミアーノ・ダミアーニ監督が映画化したものです。
公開当時ダミアーニ監督の前作「禁じられた恋の島」(1962年)に比べ芳しくなかったそうですが、60年代にイタリアでアイドル的な人気を誇ったカトリーヌ・スパークと、これまたドイツ産ジェームズ・ディーンと言われていたホルスト・ブッフホルツが出演しております。

画家を目指す青年ディノは肝心の絵がかけなくなり
真っ白なキャンパスを虚しく見つめるだけになっていました。
実は実家は金持ち
家に帰ると彼に戻ってきて欲しい母親はアレコレと 手を打ちますがディノには響きません。

そんな時
ディノが住むアパートの向かいに住む老画家が
亡くなったことを知ります。
ディノは彼の部屋に通う若い女セシリアのことが 気になっていました。

自分の部屋にセシリアを呼び込み
関係を持った二人でしたが、
やはり何事にも夢中になれないディノ。

ディノはセシリアと別れて旅に出ようとしますが そこはセシリアの方が上手
他の男とデートしているところを目撃し
俄然やる気に!
セシリアをものにしようと
金にものを言わせようとするのですが…

全裸に紙幣を張り付けるシーンで有名。
現在ヨーロッパはEUROなので統一紙幣になってしまいましたが、当時のイタリアのリラ紙幣は異様にでかいです!

この映画の魅力はなんと言ってもカトリーヌ・スパークの存在が大きいと思われます。とても十代に見えない小悪魔的な魅力とスタイルの良さはファンでなくても必見です。
また、ハリウッドの大女優べティ・デイヴィスが金持ちママン役で登場。金髪ボブカットで息子が家に戻るために高級車やメイド(性的目的の)を充てがったりと今なら中々の毒親ぶりを発揮しこの映画にアクセントを与えています。

1998年にセドリック・カーン監督が「倦怠」のタイトルでリメイクしています。

スタッフ・キャスト

監督のダミアーノ・ダミアーニはイタリアの映画監督兼脚本家。1960年に初の長編映画「くち紅」を監督。その後1962年にエルサ・モランテの小説「アルトゥールの島」を映画化した「禁じられた恋の島」を監督。この映画がご当地で大ヒット。この映画はサン・セバスチャン国際映画祭でグランプリを獲得しました。翌年は「禁じられた抱擁」、その後マカロニウエスタンの「群盗荒野を裂く」(1966年)や、「痴情の森」(1968年)、「シシリアの恋人」(1969年)などを監督されています。

原作はイタリアの小説家アルベルト・モラヴィア。モラヴィアはベルナルド・ベルトリッチ監督の「暗殺の森」(1970年)の原作の「孤独な青年」や、ジャン=リュック・ゴダール監督の「軽蔑」(1963年)の原作者としても知られています。

ヒロインのセシリアを演じたのは当時モノホンのハイティーンだったカトリーヌ・スパーク。フランス出身ですが、主にイタリアで活躍。1960年にジャック・ベッケル監督の傑作脱出映画「穴」に、面会に来る女の子役で出演。同年イタリア・フランス合作、アルベルト・ラットゥアーダ監督の「十七歳よさようなら」で主演。翌年にはイタリアで日本でもブレイクのきっかけとなった「狂ったバカンス」(1962年)や「太陽の下の十八歳」、「追い越し野郎」などに立て続けに出演し、ブレイクしました。長身にスラリと伸びた長い足、猫系の大きな瞳で小悪魔的に男を翻弄する若い女性の役が非常にハマりました。さらに翌年には「禁じられた抱擁」と60年代に次々と映画に出演。1968年にはバスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ監督のイタリア式エロコメディ「女性上位時代」ではフルヌードを披露しています。ですが70年代になると人気が急落、B級映画やホラーなどの端役に転じてしまいました。

主演のディノを演じたのはドイツが生んだ国際派俳優ホルスト・ブッフホルツ。1955年にジュリアン・デュヴィヴィエ監督の伝説のカルト映画「わが青春のマリアンヌ」のドイツ版に出演。こちらの映画は現在DVDで見られる「わが青春のマリアンヌ」はフランス版で、ドイツ版は主人公のマリアンヌ・ホルトとイザベル・ピアの女性陣はそのままですべて配役が代えられて撮影されたものです。マリアンヌに恋するヴィンセント役をドイツ版ではホルスト・ブッフホルツが演じていました。英語圏の映画に進出し、国際的に知られるきっかけとなったJ・リー・トンプソン監督のイギリス映画「追いつめられて」(1959年)に名優ジョン・ミルズと共演。その後ハリウッドで黒澤明監督の「七人の侍」(1954年)を勝手にリメイクした「荒野の七人」(1960年)に年若いガンマンを演じ世界的に知られるようになりました。その後も多くの映画に出演し、1997年にロベルト・ベニーニ監督の「ライフ・イズ・ビューティフル」のレッシング医師役の出演でも知られています。

金持ちで威圧的なママンを演じたべティ・デイヴィスは、1962年にロバート・アルドリッチ監督の「何がジェーンに起こったか?」に出演したことがきっかけに再ブレイクを果たしていました。怪演女優として♪1964年にはポール・ヘンリード監督の双子サスペンス映画「誰が私を殺したか?」や同じくロバート・アルドリッチ監督の「ふるえて眠れ」などに立て続けに主演を果たしました。

その他の出演陣として、イタリアの国際派女優ルネ・クレマン監督の「鉄格子の彼方」(1949年)に出演したことで知られるイザ・ミランダがセシリアの母親役で出演しております。

まとめ

紙幣がでかくて地獄行き

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