不吉な予感「カサンドラ・クロス」

パニック

風の強い日に、空いている電車で鉄橋を通る時はドキドキします。

[原題]The Cassandora Crossing
[製作年]1976[製作国]西ドイツ・イタリア・イギリス
[日本公開]1976
[監督・原案・脚本]ジョルジュ・パン・コスマトス
[製作]カルロ・ポンティ
[原案]ロバート・カッツ
[脚本]トム・マンキーウィッツ/ロバート・カッツ
[音楽]ジェリー・ゴールドスミス
[上映時間]129

主な登場人物

ジェニファー・リスポリ・チェンバレン(ソフィア・ローレン):
女流作家、チェンバレンの元妻。チェンバレンにまだ未練がある模様。

ジョナサン・チェンバレン博士(リチャード・ハリス):
優秀な神経外科医。

ナバロ(マーティン・シーン):
ドレスラー夫人の愛人、登山家。実は国際指名手配されている麻薬の売人。

二コル・ドレスラー(エヴァ・ガードナー):
国際兵器製作業者の夫人。愛人ナバロと犬と不倫旅行中。

スティーヴン・マッケンジー大佐(バート・ランカスター):
アメリカ軍人。パンデミックを防ぐため列車の行き先変更を指示。

その他の登場人物

ハリー(O・J・シンプソン): 麻薬捜査官、神父になり潜入
エレナ・シュトラドナー(イングリッド・チューリン): 国際保健機構の主任医師
ヘルマン・カプラン(リー・ストラスバーグ): 老ユダヤ人セールスマン
スタック少佐(ジョン・フィリップ・ロー):アメリカ人少佐
チャドウィック婦人(アリダ・ヴァリ): 幼女カテリーナの母
トム(レイモンド・ラヴロック): 新婚の若い夫

あらすじ

ジュネーブの国際保健機構にテロリストが侵入し、爆弾を仕掛けるが、見つかりそのうちの二人が細菌室に逃げ込む。一人が撃たれた際に、薬品の瓶が割れ液体をかぶり、一人は逃げ出し、ストックホルム行きの大陸横断特急に乗り込んでしまう。薬品はアメリカ軍が極秘に開発していた細菌兵器だった。その頃、鉄道に乗っていた女流作家のジェニファーは元夫のチェンバレン博士と会っていたが邪険にされる。医師であるチェンバレン博士に軍から連絡が入り、詳細を隠し、犯人を探して欲しいと言う依頼される。探し出した犯人はすでに発症しており危険な状態だった。非常に感染力の強い病原体のため、犯人が乗った列車の乗客1000人がすべて感染したと考えられ、事件の発覚を恐れたアメリカ陸軍のマッケンジー大佐は、列車の行き先を変更させ、列車ごと破壊しようと試みる。乗客者リストをチェックすると大佐は、ドレスラ―の名前を見ていきまいた。ドレスラ―は西ドイツの兵器製造会社だった。次第に乗客まで発症し始め、銃を持ち防護服を来た兵に占拠されてしまう。カサンドラクロスを通ると聞き、錯乱するヘルマン。彼はかつて収容所で妻子を亡くしていた。カサンドラとは信じられないもののたとえだと車掌は語る。一方ニコルと一緒にいた若い愛人ナバロも発症し始めるが、神父に扮していたハリー(実は警官)に麻薬所持により逮捕されそうになる。逃げ出したナバロは銃を持って夫人を盾に威嚇するが、チェンバレン博士に諌められる。

どんな映画?

この映画は1970年代に量産されたパニック映画の一つです。
グランドホテル形式と呼ばれ、出演者にオールスターを配した群集劇は1970年代中盤に人気を博し、その先駆けとなったのが1970年のアメリカ映画「大空港」です。この映画は大ヒットし、エアポートシリーズを呼ばれ他3作つくられました。

1972年に客船が舞台の「ポセイドン・アドベンチャー」、1974年に巨大ホテル火災に挑む「タワーリング・インフェルノ」などの大作がハリウッドで製作されましたが、便乗とばかりに「カサンドラ・クロス」はヨーロッパ資本によりイタリア映画界のドン、カルロ・ポンティが製作しました。

この映画のパニックは
細菌感染したテロリストの一人が
大陸横断特急に逃げ込み
乗客全員に感染の疑いがあるというもの。

そこに乗り込んでいたのが
イタリアの生きる伝説ソフィア・ローレン演じる作家のジェニファー。
その元夫で神経外科医役に初代ダンブルドア校長のリチャード・ハリス。

二人は元夫婦だが何となくお互い未練がある感じなのに素直になれず反目してます。
何だか列車の様子がおかし〜な〜っと
あれ?違うとこ行ってない?

一方、西ドイツの世界的兵器メーカーの社長を夫に持つドレスラ―夫人は愛人と不倫旅行中。
その愛人ナバロはだんだん気分が悪くなり…

列車は運命の「カサンドラ・クロス」に向かっていく。

雨後の竹の子の様に次々作られたパニック映画でしたが、ネタ切れも相まって
だんだんとんでも映画になっていきました。
この「カサンドラ・クロス」もとんでも映画の1本と言われるのはそのラストシーン。ちゃっちくなってしまいましたがそこがまた味があっていいいかもという感じの必見の一本です。

スタッフ

監督のジョルジュ・パン・コスマトスは1973年に監督デビュー。この映画の大ヒットにより、シルヴェスター・スタローンを主演に迎えた「ランボー/怒りの脱出」、「コブラ」などアクション映画を撮られていました。

脚本にジョゼフ・L・マンキーウィッツの息子で007シリーズで知られるトム・マンキーウィッツ、アメリカの小説家でノンフィクション作家でもあるロバート・カッツ。製作にカルロ・ポンティ、音楽にジェリー・ゴールドスミスとヒットしなきゃ困る布陣となっております。

豪華出演陣

ソフィア・ローレン
ジェニファー役のソフィア・ローレンは現在85歳。イタリア映画界を代表する女優さんで、とにかく全てがダイナミック。目も口もでかく胸もでかい!あっでも足は細いです。カルロ・ポンティに見出されその後も公私を共にすることになりますが、ポンティ製作の映画に多数出演。1960年の「ふたりの女」では若い母親を演じアカデミー賞主演女優賞を受賞しております。イタリアを代表する俳優マルチェロ・マストロヤンニとの共演も多く、1970年のヴィットリオ・デ・シーカ監督の「ひまわり」は特に有名です。

リチャード・ハリス
医者でパニックを収めるリーダー役として登場するのがリチャード・ハリス。アイルランド出身の俳優さんで晩年に演じた「ハリー・ポッター」シリーズの初代ダンブルドア校長を演じて有名ですが、残念ねがら2作目でお亡くなりになりました。

マーティン・シーン
若いドレスラー夫人の愛人を演じていたのがマーティン・シーン。アメリカ人俳優のマーティン・シーンは最近ではチャーリー・シーンの父親で有名ですが、若い頃から多くの作品に出演。1973年のシシー・スペイセクと共演した「地獄の逃避行」、この映画と同年出演したのが「白い家の少女」、1979年のフランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」などで印象に残る役を演じております。この映画ではマーティン・シーンが一番頑張ったかな〜

エヴァ・ガードナー
国際兵器製作業者の夫人役のエヴァ・ガードナーはアメリカ人女優。エキゾチックで切れ長の瞳、黒髪に長身とそれまでとは違ったファムファタール像を確立しました。この映画の頃はすでにハリウッドから遠ざかりヨーロッパに拠点を移していた頃でした。

バート・ランカスター
1970年の「大空港」にも出演していたバート・ランカスターが、こちらの映画でも陸上待機です。非常な選択をするアメリカ陸軍大佐を演じています。余韻を残すラストにアクション少なめですがおいしい役でした。

イングリッド・チューリン
国際保健機構の主任医師を演じた、ローリー寺西似のイングリッド・チューリンはスウェーデン人女優。スウェーデンを代表する映画監督イングマール・ベルイマンの作品に多く出演。特に印象的なのが1969年のルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」でヘルムート・バーガーが演じる息子と近親相姦に陥る母親役でした。

O・J・シンプソン
神父になりすました麻薬捜査官を演じたO・J・シンプソン。元アメフトのスタープレイヤーでその人気は当時相当なものだったらしく、俳優として映画にも出演。1974年の「タワーリング・インフェルノ」や1978年の「カプリコン・1」は印象的です。ですが華々しい活躍が一転したのが1994年に元妻とその友人を殺害した容疑で逮捕された「O・J・シンプソン事件」は世間に衝撃を与えました。

アリダ・ヴァリ
幼女の母親役にちらりと登場するのがイタリアの大女優アリダ・ヴァリ。この頃よくカメオ出演的に登場してました。

まとめ

列車に乗って地獄行き

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