舞台女優の舞台裏「イヴの総て」

ドラマ

女優界の下克上。

[原題]All About Eve
[製作年]1950[製作国]アメリカ
[日本公開]1951
[監督・脚本]ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
[製作]ダリル・F・ザナック
[原作]メアリー・オル
[衣装デザイン]イーディス・ヘッド
[音楽]アルフレッド・ニューマン
[上映時間]138[配給]20世紀フォックス

主な登場人物

マーゴ・チャニング(べティ・デイヴィス):
40歳に差し掛かったスター女優。

イヴ・ハリントン(アン・バクスター):
マーゴのファンから彼女の付人になる。

アディソン・ドゥイット(ジョージ・サンダース):
嫌味ったらしい演劇批評家。イヴの正体に気づく。

その他の登場人物

ビル・サンプソン(ゲイリー・メリル): 演出家、マーゴの恋人
カレン・リチャーズ(セレステ・ホルム): 劇作家ロイドの妻
ロイド・リチャーズ(ヒュー・マーロウ): 劇作家
マックス・フェビアン(グレゴリー・ラトフ): 演劇製作者
バーディ(セルマ・リッター): マーゴの付人
ミス・カズウェル(マリリン・モンロー): 新人女優
フィービー(バーバラ・ベイツ): イヴの付き人希望

あらすじ

演劇界の権威ある賞サラ・シドンズ賞の授賞式、この年の受賞者はこの賞最年少のイヴ・ハリントンだった。拍手で迎えられる彼女を大女優のマーゴとその友人のカレンは冷ややかな目で見つめていた。カレンはいつのころだったかと回想する。今が6月でそれは去年の10月、まだ一年も経っていない。霧雨の降る日のNY、マーゴ・チャニング主演の「老女の森」が上演されていた。カレンが劇場の前に到着し裏口に回ろうとすると、ださいレインコートに帽子の女に声をかけられる。いつも劇場の前に立っていた女だった。カレンはマーゴにイヴを引き合わせ、イヴはウィスコンシン出身で子供の頃から演劇が好きでマーゴとロイドの劇の熱狂的なファンだという。イヴは夫が出征し、消息を知るためサンフランシスコに来たが戦死したと聞かされてそのまま残りマーゴの芝居をみて励まされたとしおらしく語った。その話にマーゴをはじめカレンたちも同情的になった。ハリウッドに行くという若手演出家でマーゴの愛人でもあるビルを見送りにイヴを連れて空港に向かった。マーゴはビルに向うでグラマー女優に気をつけてというがビルはグレゴリー・ペックじゃないといいキスをして別れを惜しむ。そのままイヴはマーゴの家に住みつき、イヴはマーゴに献身的に尽くした。しかし行き過ぎたイヴの行動に次第にマーゴは苛立つようになる。

どんな映画?

今からちょうど70年前の映画にも
かかわらずアカデミー賞で打ち立てた
記録が未だに塗り替えられていません。

1930年代に活躍した映画女優エリザベート・ブルクナーをモデルにした裏幕ものの傑作で、映画史を語るなら必見の映画です。
いえ語らなくても必見です。

演劇界で最も権威ある賞の受賞式。
最高の栄誉に輝いたのは若く実力のある新人女優イヴ・ハリントンでした。

しかしそれを冷ややかに見つめる
人々がいます。
彼らは本当のイヴを知る人たち。

大女優マーゴの友人でもあるカレンは
イヴとの出会いを思い出していました。
雨の中劇場の外で出待ちをしている若い女性。
それがイヴでした。
カッパを着た地味な格好でいかにも田舎から出てきたような感じ。
カレンはマーゴの大ファンだというイヴに感心し、実際のマーゴに会わせてくれます。

マーゴは大女優ながら歯に絹着せぬ物言いと率直さで、イジらしいイヴをすぐに気に入ります。
イヴはマーゴの為なら何でもしますー!
という感じで彼女の付き人になることに。

その頃マーゴは40歳にさしかかり
若い役を演じることに限界を感じていました。
杉村春子はだいぶご高齢になっても娘役やってましたけどネ。

そんなマーゴの心理につけ込むように
徐々にイヴは本性を露わにしていくのでしたー

シオらしくマーゴたちに謝辞を述べるイヴ。

この映画が伝説のお化け映画なのは
その受賞歴にあります。
1950年のアカデミー賞は熾烈を極めて、同じくハリウッドの裏幕ものの傑作ビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」があり、こちらの映画が脚本賞を受賞しております。
結果的に第23回アカデミー賞において、14の賞にノミネートされ、結果的に作品賞、監督賞、ジョージ・サンダースが助演男優賞、脚色賞、ヒッチコック監督の衣装デザインでも有名なイーディス・ヘッドが衣装デザイン賞の6部門を受賞しました。14部門ノミネートは当時では「風と共に去りぬ」(1939年)の13部門を抑えて最多、1997年に「タイタニック」がタイ記録に並びますが、現在でもアカデミー賞史上最多ノミネートは変わりません。

ほんでこの映画はまだブレイク直前のマリリン・モンローが新人女優役で出演していることでも有名です。この年にはジョン・ヒューストン監督の「アスファルト・ジャングル」にも出演し徐々に知名度を上げてきました。

何だかゾッとするラストにホントに怖い映画だな〜と
子供の頃初めて観て思いましたね〜

したたかで貪欲でないとトップに昇り詰めることはできないし、トップに身を置いたとしてもまた、次の若い女がその地位を虎視眈々と狙って行く。
追うものと追われる者の逃れられない宿命ですね〜

スタッフ・キャスト

監督兼脚本のジョーゼフ・L・マンキーウィッツは、この映画の前年に「三人の妻への手紙」においてもアカデミー賞監督賞、脚本賞をダブル受賞、「イヴの総て」では監督賞と脚色賞のダブル受賞、2年連続で4つの賞を受賞しているのは今のところマンキーウィッツ監督ただ一人です。この年マンキーウィッツ監督は自身の「復讐鬼」の脚本賞でもノミネートされていました。

主演の追い落とされる大女優マーゴ役のベディ・デイヴィスは、「青春の抗議」(1935年)、「黒蘭の女」(1938年)に続いて3度目のアカデミー賞主演女優賞受賞なるかと話題でしたが、イヴ役のアン・バクスターと票がわかれてしまい結局どちらも受賞することができませんでした。ですが、この共演がきっかけでベティ・デイヴィスとゲイリー・メリルは実際に結婚しました。自身4度目の結婚で10年の結婚生活でした。

イヴ役のアン・バクスターはローティーンでブロードウェイの舞台に立った実力派。1942年にオーソン・ウェルズ監督の「偉大なるアンバーソン家の人々」に出演。翌年にはビリー・ワイルダー監督の「熱砂の秘密」でヒロインを演じ、1946年に「剃刀の刃」でアカデミー賞助演女優賞を受賞、1953年にはヒッチコック監督の「私は告白する」で神父役のモンゴメリー・クリフトを翻弄する主婦を演じ、フリッツ・ラング監督の「青いガーディニア」では事件に巻き込まれるOLを演じました。晩年はブロードウェイ版「イヴの総て」で今度はマーゴ役で出演しました。

役得でアカデミー賞助演男優賞を受賞したのがイギリス人俳優のジョージ・サンダース。「レベッカ」(1940年)「マン・ハント」(1941年)「幽霊と未亡人」(1947年)など大体嫌な奴の役なんですが、この映画でも…やっぱりやなやつでしたねー。

まとめ

踏み台にされて地獄行き

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